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今野敏はすばらしいエンタメ作家だ!最新作『署長シンドローム』を読んで

 今野敏の隠蔽捜査シリーズはすべて読んできているが、その続編とも言えるのが、最新作『署長シンドローム』である。隠蔽捜査シリーズの主人公はこんなキャリア警察官僚、いるわけがないと誰もが思うような「変わり者」警視長(警察官僚として上から3番目の地位)竜崎伸也である。
 彼は警察庁広報室長だった時に、大学受験をひかえた息子がそのストレスのために大麻に手を出してしまった。同期の警視庁刑事課長が「隠ぺいしろ」とアドバイスするのを振り切り、その事実を上司に報告」。懲罰人事として警視庁大森署長に左遷される。警察官僚の世界では、不祥事を起こして左遷された場合、即、退職して天下るそうだが、日ごろから「国家公務員は国民のために働く」ことを公私ともに公言してはばからなかった彼は、その人事を受け入れて、大森署長として赴任する。そこから始まる「隠蔽捜査シリーズ」は、スピンオフも含めると10巻を超えた。
 大森署に赴任して3年、竜崎もついにキャリアの道に戻り、神奈川県警刑事部長となる。その後、大森署に署長として赴任したの40代の美貌女性キャリアである藍本小百合。それが、この『署長シンドローム』なのだが、今野敏のエンターティナーとしての面目躍如ともいえる作品だ。ものすごく楽しませてもらった。

e-honより紹介文
大森署を長年にわたり支えてきた竜崎伸也が去った。新署長として颯爽とやってきたのは、またもキャリアの藍本小百合。そんな大森署にある日、羽田沖の海上で武器と麻薬の密輸取引が行われるとの報が!テロの可能性も否定できない、事件が事件を呼ぶ国際的な難事件に、隣の所轄や警視庁、さらには厚労省に海上保安庁までもが乗り出してきて、署内はパニック寸前!?藍本は持ち前のユーモアと判断力、そしてとびきりの笑顔で懐柔していくが…。戸高や貝沼ら、お馴染みの面々だけでなく、特殊な能力を持つ新米刑事・山田太郎も初お目見え。さらにはあの人物まで…!?

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