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「海の命」で目指す個別最適な学び③

実は、この発表した子は、最初の授業の後のふり返りで、この進め方を「初めて行う形式で、不安です」と書いていた児童でした。

しかし、実際に進めていくうちに「『学ぶこと』を自由に決められる」ことは「まあまあ自分に合っている」と思えるようになり、「『学び方』を自由に決められる」ことは「自分に合っている」と言い切れています。

そして、「どんな力がついたのか」については、「根拠を探して、自分の意見を確かなものだと主張する力。友達とは価値観とか感じ方が違うので、全く一緒な意見になったり、真逆になったりすることを理解し、受け入れる力。」と書いています。ここまで立派に書かれると、「最初の不安はどこにいっちゃったの?」と突っ込みたくなるくらいです。

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「友達とは価値観とか感じ方が違うので、全く一緒な意見になったり、真逆になったりすることを理解し、受け入れる力」と書けるのは本当に凄いな、と思いますが、「確かにその力がついたのだろうな」と思わされたのは、この子がグループでの中間発表を経てたどりついた結論のマイ黒板です。

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真ん中の下の付箋で、中間発表会で「海全体には気持ちはないのでは?」と指摘されたことで「少し考えが変わった!」と書いています。しかし、左の「最終的な意見」では、「自分を成長させてくれる機会を与えてくれた海やクエに対して感謝している」と書いています。これは別に指摘されたことを無視したわけではなく、自分が思っていなかったことを指摘されたことで、もう一度深く考えて自分の強い意見ができた、ということなのでしょう。個別→グループ→個別、という進め方がうまく機能したのではないかと思われます。

このように、高い成果をあげた子、納得のいく答えを出せた子は他にもいますが、全体としてはどうだったのでしょうか。単元終了後のふり返りを見てみましょう。

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「『学ぶこと』を自由に決められる」ことに対して否定的な考えを持っている子が4人います。それぞれ納得がいく理由ではあります。

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「『学び方』を自由に決められる」ことに対しても否定的な意見を書いている子が二人います。

どちらのスライドにもある黄色でぬられたコメント。これ、実は同じ子が書いたものです。これがどの子かというと、実は先程のブレイクアウトルームでの話し合いで質問をしていた子なのです。この子の単元終了後のふり返りを見てみましょう。

ヨッシー

最初は「大変そうだけど楽しそう」と書いていたのに、やっていくうちに「あまり自分に合っていない」と考えるようになっています。ただ、書かれているものをよく読むと、やり方が合っていなかったということよりも、自分のアウトプットに「満足がいかなかった」ということではないかと思われます。他方、自分にどんな力がついたかについては、「今までよりも文を深く読んで根拠を見つけ出す力が付いたと思ってる。」と答えていますし、私もそう評価しています。

となると、こうした子には、個人→グループ→個人、で学習した後、もう一度グループでも良かったかな、とも思います。そこで友達からきちんと他者評価を得ていれば、自己評価も変わったのではないでしょうか。

では、ICT×インクルーシブ教育と個別最適な学びとの関係をまとめてみましょう。(続く)

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