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「海の命」で目指す個別最適な学び④

これは2年前のセミナーで示したスライドです。

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この考え方は今も変わっていません。ICT×インクルーシブ教育の授業は、いつもこうでありたいと考えています。今回の「海の命」では、各自が課題を設定しました。国語的には「高度な課題」「それほどでもない課題」というような分類もできるのかもしれませんが、どの課題も「自分の中から出てきた課題」で、導き出した答も「本文に根拠を求めながら自分で考え抜いて出した答」です。そこに優劣をつけようとする子は一人もいませんでした。誰もがお互いにお互いの考えを尊重し合っていました。

となると教師も、この学習の全プロセスをきちんと見て評価すべきでしょう。

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個別最適な学びって本当にすごく楽しいのですが、見るべきところがたくさんあって、なかなか大変です。

さて、では今回のような「海の命」の学習が成立するためには何が必要だったのでしょうか。まず、「物語文の学習って、だいたいこうやって進めるよね」と言うことに対する共通認識は欲しいところでしょう。

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もちろん、これは6年生だからこういうことになるわけで、発達段階が違えば求められるものが変わってくるのは言うまでもありません。それにしても、やはり「ベーシックな学び方」に対する共通認識は欲しいところで、そこはその学級でそこまでにどのような積み重ねがあるか、というのが効いてくるところだろうと思います。

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ICTの活用経験も必要です。この学級の子どもたちは、昨年のコロナ休校明けから一人一台環境で学習してきましたので、タブレットはもはや完全に文具となっています。そうした経験、「こういうことがしたかったら、あれを使えばいいよね」という経験をたくさん積んでいることは、やはり大切です。

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そして、協働的な学びの経験も必要です。ただ協働的に学んだというだけでなく、様々な形態で学んできた経験が必要です。対面での話し合いはもちろん、ブレイクアウトルームでの話し合い、チャネル上での議論等、色々な形で協働的な学びをしてきているかどうか、その積み重ねは非常に効いてきます。

教える側の事情で言うと、やはりいくつか欠かせないものはあったように思います。

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オンラインフォームは絶対に必要ですね。これがなかったら子どもたちの考えを吸い上げるのも一苦労でしたし、評価なんて到底、出来たものではありません。

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Teamsもフル活用しました。今回、アウトプットの形も子どもによってさまざまだったので、どのような形式でも受け付けてくれるTeamsの存在は本当に有難かったです。チャネルを細かく分けることも、評価をする上では非常に役立ちました。

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そして、もはや当たり前となっている感はありますが、学習者用デジタル教科書も必須アイテムです。特に本文抜き出しができるマイ黒板は、児童が思考を整理したり、考えを交流させて話し合ったりするときにかなり役立ちました。

今回の「海の命」の学習は、私にとっても子どもたちにとってもかなりチャレンジングなものでしたが、苦労しただけのことはある豊かな学びになったのではないかと自負しています。しかし、これが個別最適な学びなのだとしたら、それを日常的に行っていくためには、まだまだ整えなければならない環境や、開発しなければならない技術は色々とあるでしょう。

それらを越えて、ICT×インクルーシブ教育が個別最適な学びを取り入れていくことは正しい組み合わせだと考えています。ただ、そのための道のりにはなかなか厳しいものがあります。挑戦は、まだまだ続けていかねばならないでしょう。

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