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「海の命」で目指す個別最適な学び②

初回の授業は、進め方を説明した後に全文を読み、ふり返りフォームに入力するところで終わりました。ふり返りフォームには次の質問を3つ入れました。

「海の命」を読んで考えたいこと(不思議に思ったことや、みんなの意見も聞いてみたいと思うこと)を書きましょう。

つまり、自分なりに課題にしたいと思ったことを3つあげさせたわけです。これにより34人×3=102の課題が集まってきたので、グルーピングをしました。その場面をご覧ください。

課題が発表される度に子どもたちからは「あー!」「それ、私、それ、私!」「え、俺じゃないの?」と歓声が上がります。そう、自分の中から出てきた課題だから完全に「自分事」になっているのですね。だからこその歓声なのだろうと思います。

テーマごとにグループに分かれて議論し、その議論の結果を受けて各自が考えをスライドやマイ黒板にまとめていきます。ここでは、一つだけ紹介しましょう。

スライド29

グループでは2つの説が出たんですね。それを踏まえて自分の意見はどちらかを明確にして根拠も書いている。国語的にはバッチリです。でも、この子、実は最初のふり返りで「僕は自分で物事を考えて行動することが苦手だから少し大変になりそう。」と書いていた子です。そんな不安を抱えながら始めた学習だったのに、自分の中から出てきた課題に友達と向き合うことでしっかりと考えることができているわけです。そして、グループ外の友達からもポジティブな反応をたくさんもらえました。

スライド30

さて、グループで課題に取り組んだ後は、個人の課題です。グループでかなりの課題を解決したとは言え、まだまだ取り組みたい課題はたくさん残っています。各自がそれぞれの興味関心に応じて設定した課題に取り組みます。

まだ完全に答えが固まっていない段階で、ランダムに組んだグループに分かれて中間発表会をするのですが、その様子をご覧ください。ブレイクアウトルームでの話し合いです。

このムービーの中で発表している子の「太一は大人になってからはどのようなことを思いながら魚を釣ったのか」という課題は、考えようによってはどうとでも答えられてしまいます。本文には詳しい記述がないので、自分で適当なことを考えて「こうだと思います!」と言い切ってしまうこともできなくはありません。

しかし、それでは国語の勉強になりません。そこで私が口を酸っぱくして言っていたのが「本文に根拠を求めること」でした。これが効いて、この子は本文をじっくりと読んで、その記述から「こうではないか、ああではないか」と考えたわけです。つまり、本文に書いていないことを想像するために本文を詳しく読んだわけで、非常に読解が進んだわけです。

ある種、理想的な展開とも言えるかと思いますが、このグループの学び、もう少し掘り下げてみると色々な示唆が得られました。(続く)

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