CL京都マスター3位 解説と経緯 【サーナイト&ニンフィアGX・ムウマージ 】

4月14日に行われた京都大会で、マスターリーグ3位(同率)になりました。

せっかく注目頂いているので、記事にしました。
使用したサーナイト&ニンフィアGX・ムウマージのデッキの紹介と、
至った経緯や事後の分析を記しています。

半年前の9月、東京大会でも経緯を記事にしました。
覚えていた何人かが、「今回も同じアプローチ?」と声をかけてくれましたた。

練習しないポケモンカード (CL2019 東京大会)

自分としても残念ですが、今回はそれらしいことができていません。
やろうとして、失敗しました。

デッキ自体の話に加えて、その辺りも少しだけ触れていきます。

デッキコード[xD48cc-n2nFie-GaxDKx]

[1]デッキの解説

デッキの本質は「ダメージロック」です。
要点を箇条書きします。

(1)こだわりメットを付けたサナニンフはワザ1回では倒れない
(2)ワザでエネルギーを動かし、疑似的にトランスまんたんコンボ※1を使える
(3)リセットスタンプ、ミラクルマジカルGXで相手の解決札を流せる

※1 公式ページに解説あり

(1)を基本として(2)でダメージを無力化しつつ、相手にダメージを蓄積させるがメインプランです。
レシリザのGXワザやピカゼクのエレキパワー多用で倒されますが、
手札を大量消費する必要があり、(3)リセットスタンプで流してやれば被弾率は低くなります。
サナニンフ1体が倒れても、2体目が生き残れば良いのです。

そして万能の補佐がムウマージです。

(1)ブルー/アセロラの多用で手札が増えない構造的問題を打開
(2)リセットスタンプの効果を高める
(3)カウンターキャッチャー起動で相手主力に先制攻撃

場に残しておくこともでき、相手のマーシャドー(やぶれかぶれ)/リセットスタンプの対策までしてくれます。
これだけ優秀で、サイドテンポ的に2回までノーリスクはお買い得。

対戦中の運用は、
(1)ようせいのうたでエネ加速
(2)アセロラで加速済みサナニンフに交代 or タッグスイッチでエネを集めて攻撃開始
(3)以降はダメージロックを目指す
となります。

この流れ、実は後攻の方が効率が良いです。
しかし先攻を譲るとマーシャドー等で詰む可能性があり、可能な限り先攻を選択していました。
(とはいえ、13試合中3~4回しかじゃんけん勝ってません)

[2]調整

桜坂杯※2の決勝トーナメントで見た、やんばるさんのサナニンフムウマージが始点になっています。
トーナメント終盤の対戦で、レシリザボルケを「[1]解説」のダメージロックの動きで圧倒していました。

観戦の記憶を、3月のシティーリーグ大阪1位・逆雨さん※3の公開リストで補完して、初期案を構築しました。
(これを使うに至った理由は[4]で述べます。)

そこから紆余曲折経て実際の使用リストに至るのですが、期間が短く完全な理解はできていません。
理解できない部分は定跡※4として処理し、意識して調整した部分のみ記載します。

※2 MTリーグのタイトルの一つ
※3 後に知ったのですが、Noteに解説記事(有料)があるようです。
※4 十分に検討し結果を残した構築には、合理性と環境への対策が盛り込まれているはず。
 時間がない中で全てを再検討するのは非効率です

●採用したカード
・ゼルネアス SM4A
フーパ(バンデッドガード)対策です。
タッグスイッチで即時起動でき、ゼルネアス◇と違ってブルーの邪魔をしません。

ワザ「みちびく」により、初手に引いても多少の事故耐性があります。
できるなら入れたくない1枚ですが、フーパはLOの他にジラサンなどに入っていることもあり、無抵抗ではいられません。

超エネとムウマージSM4Aを入れて、ワザ「くろまじゅつ」で対処することも考えました。
ですが、悪抵抗があって倒されにくいゼルネアスにしました。

実際の対戦では、キュウコン(ひかりのけっかい)を倒したのが1回、初手に引いたのが2回、うち負けが1回です。
五分五分ですが、準優勝とベスト8にフーパが採用されており、決して間違ってはいなかったのでしょう。
(ゼルネアスだけで勝てるかはわかりません)

・リセットスタンプ 3枚採用
対戦中に2回使いたいので3枚。
サイド落ちはもちろん、序盤に「ふしぎなことづけ」前の手札圧縮で雑に使うことがあるので、減らしませんでした。

・タッグスイッチ 3枚採用
使用する回数も、タイミングも多いです。
1枚から調整を始めて、3枚まで増えました。

使用タイミングは、
(1)後攻2ターン目の攻撃はじめ
(2)まんたんと併せてグッズ枠で回復
(3)ミラクルマジカルGXの起動 → 1体にエネを集めるのはハイリスクなので、原則的にタッグスイッチから起動します
(4)ゼルネアスの起動
(5)エネを引けなかったとき、ベンチからエネを補充
などなど。

・フェアリーチャーム雷 & 無人発電所
必要性を理解しきれなかった2種類です。
対ピカゼクだと思うのですが、サナニンフvsピカゼクはジムバトルで1回しただけで、よくわからず。
定跡に従い、継続して採用しました。

●採用しなかったカード
・マチスの作戦
参考にした2デッキに限らず、大抵のムウマージ型TAGTEAMに入っているようです。
何度か対戦して使いどころがわからず、採用に疑いを持ちました。

(1)使いたいときに手札に持つハードルが高い
(2)サポートでやりたい事をグッズでも実現できる
   グズマ → カウンターキャッチャー
   アセロラ → タッグスイッチ&まんたんのくすり
   ジャッジマン → リセットスタンプ

検討の結果、上記2つの理由で不採用としました。
ただし、マツリカやカルネを使うなら再検討が必要と思います。

・マツリカ
不採用というか、初期案で考慮対象外でした。
高コスト(=サポ枠)のエネ加速とダメージロックは方向性が異なり、コンセプトの強度が下がります。

ただし当時はカキ型のレシリザを知りませんでした。
知っていたら検討したかもしれません。

・レスキュータンカ
ムウマージを2回使うにあたって、進化ラインのどちらかがサイド落ちするケースが多く検討に上がりました。
対フーパでゼルネアス使いまわしもできます。

想定する利用パターンが限定的で、保険料(デッキスペース1枚)が高額と判断し不採用。

・隠密フード
ラフレシア(にがにがかふん)で詰まないための1枚。
悩んだ末に不採用。ゼルネアスと枠の取り合いでした。

TAGTEAMデッキで隠密フードの採用が一般的になっていることから、
ラフレシア・ドンカラスGXを使っていたグループが継続使用すると思えませんでした。

とはいえ、バリヤード(かいしゅうふうじ)相手にアセロラが使えるので、魅力はあります。

[3]本番

当日の対戦成績は以下の通りです。

予選スイスラウンド
1回戦:ルガルガンGX・ランドロス 〇
 ゼルネアススタート、しかもサポートがなく苦しい試合でした。
 「みちびく」度に手札を流され、しかし相手も動けず、何とかなりました。
 
2回戦:レシラム&リザードンGX・ボルケニオン 〇
 お互い普通に回っていたと思います。

3回戦:ゾロアークGX・ルガルガンGX・アローラキュウコン(GX)・ペルシアンGX 〇
 メタモン◇にダブル無色を付けてきて、メルメタルGXかと恐怖していたらアローラキュウコン(ひかりのけっかい)。
 相手にエネが付かず数ターンお見合いしましたが、攻撃してきたタイミングでタッグスイッチ→アセロラでゼルネアスにチェンジ。
 アローラキュウコンを倒せました。

4回戦:レシラム&リザードンGX・ボルケニオン 〇
 この組み合わせたくさんしたので、記憶が曖昧です。

5回戦:ガブリアス&ギラティナGX・ひかるミュウ 〇
 相手はひかるミュウからスタート。
 ですが、エネサポなしの事故で最後までワザを使われませんでした。

6回戦:TAGTEAMツールボックス・ひかるミュウ 〇
 相手はフェローチェ&マッシブーンGXからスタート。
 あまり回っていないようで、アセロラやまんたんで粘られつつ、ミラクルマジカルGXを追加効果付で打ち込んで決めに行きました。
 対戦後、ルカリオ&メルメタルGXがサイド落ちだったと聞かされます。危なかった。

7回戦:レシラム&リザードンGX・ボルケニオン ×
 ゼルネアススタート。
 サポートはありますが、常に手札1枚足りなくて有効手が打てず、押し切られました。

8回戦:デスカーン 〇
 デッキ構造的に有利です。
 カウンターエネの奇襲に注意しつつ、デスカーンを倒していきました。

9回戦:ゾロアークGX・ルガルガンGX・ペルシアンGX・カウンターエネ 〇
 ゾロアークGXを倒してサイド逆転した途端、ヒードランSM5S(鋼タイプ)+カウンターエネ+カウンターゲインで、無傷のサナニンフを倒されました。
 危なかったですが、リセットスタンプ+無人発電所の誤魔化しが効いて、ヒードラン除去に成功します。

10回戦:レシラム&リザードンGX・ボルケニオン・ヒードランGX他 〇
 あなぬけのヒモでこだわりメットなしのサナニンフを落とされ、危ない序盤に。
 リセットスタンプ等で粘りつつ、レシリザの除去に成功します。
 他のポケモンも出てたので、残りサイド3枚はレシリザ以外から。

決勝トーナメント
1回戦:レシラム&リザードンGX・たね色々 〇
 ジラーチなど居てリセットスタンプが決まりにくいのですが、2体目のサナニンフは守り切れました。
 カキがサイド落ちだったそうで、助かりました。

2回戦:レシラム&リザードンGX・ボルケニオン 〇 ニコ生配信
 こちら先攻、サナニンフ2体とムウマージが並ぶ上々のスタートでした。
 しかし、後攻2ターンまでにレシリザに5エネが付き、カスタムキャッチャーでメットなしサナニンフを呼ばれて倒されます。
 残りのサナニンフにメットはありますが、炎エネ追加のダブルブレイズGXで倒される、ほぼチェックメイトの盤面でした。
 
 ふしぎなことづけからワンダーラビリンス◇とリセットスタンプに繋げて、相手が動けないのをお祈りするだけです。
 祈りが通じてサナニンフ倒されず、5エネレシリザを除去してペースを作れました。

3回戦:レシラム&リザードンGX・たね色々 ×
 先攻でしたが、相手1ターン目からカキ成功。
 2ターン目にベンチのムウマを進化させ忘れる痛いミスがあり、マーシャドーで流されて動けないターンが生じました。
 負け。

結果:
3位 (同率)

[4]選択の経緯

「[2]調整」でも述べたように、桜坂杯でやんばるさんの対戦を見たことが直接の原因です。

ですが、私は「強そうだから」でデッキを決めることを基本的にしません。
取得可能な情報を加工して、トップダウンアプローチでデッキを検討するのがメインです。

これは現時点で合理的な方法論でなく、単に趣味の問題です。
私にとってポケモンカードは、「手段を問わず勝ちを目指すもの」ではなく、「手段を選んで到達点を競うもの」です。

しかし、今回は失敗しました。
やりたい方法でデッキを絞る段階まで到達できなかったため、フィーリングで決めました。
(詳細は[7]へ)

その中でムウマージ入りサーナイト&ニンフィアGXを選んだ理由。
動きが好みだった事と、ムウマを含むデッキだった事が大きいです。
アイコンにするくらいムウマが好きですが、ムウマが活躍できるレギュレーションはそんなに多くありません。

これも何かの縁だと思い、ある種てきとーにデッキを決めました。

続く流れは「[2]調整」に書いた通りです。

時系列がシビアで、デッキを見たのが日曜日。
月曜日にサナニンフを購入し、
火曜日にデッキリストを起こし、
水曜日にジムバトルでテストプレイ。
金曜日に練習会でプレイを覚えて、そのまま本番になりました。
(土曜日は観光)

実はもう一つ、直前まで検討していたデッキがありました。
しかしこれは新種のデッキタイプで、採用に足るエビデンスがありませんでした。
今回唯一、定量的な観点の決断だったかもしれません。

[5]要因分析

どれだけ準備を重ねても、運がなければ結果につながらないと考えます。
まして準備不足ですから、今回の入賞はは運にたっぷり補助してもらった結果でした。

デッキの動きが良かったのもありますが、次の3つが特に大きかった。

(1)仮想敵・レシリザとの対戦が多い → 13試合中7回がレシリザ
(2)知らないデッキとの対戦が少なかった
(3)知らないデッキとの対戦で、相手の事故に助けられた → 5, 6回戦

レシリザとの対戦を見たのがデッキ選択のきっかけですから、対レシリザの習熟度が最も高いのです。
知らないデッキという不確定要素を回避したことが、今回の成績につながったと思います。

[6]おわりに

良い事も悪い事も、主観的事実に基づいて正直に書きました。
曖昧な部分が多く、トッププレイヤーの皆さんに比べると見劣りすると思います。

ここまで、環境考察の話をしていません。
なぜなら、明確な考察をしていないからです。

感覚的には4月7日の桜坂杯の決勝トーナメントの分布がベースになっています。
ですが、感覚を明確化することはしませんでした。
独自データを持たない状態で考察しても、世間の記事以上になると思えません。
ネットで見られる環境考察を利用させてもらいました。

私はチームには所属していません。
だからこそ、多くの方のお世話になりました。
直近2週間に限っても、主催のケーゼットさんを始めとした桜坂杯の皆様、練習会を開いたCAHNGさん、まえじまさん、誘ってくれたこりさん等々。
書ききれない人も含め、皆様のおかげです。ありがとうございました。

この辺りで記事を終わりにします。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

[7]おまけ:分析しようとして失敗した話

準備を始めた当初は、何かしらのロックデッキを使うつもりでした。
相手の行動を縛れば考慮する手が減って、練習不足でも差を縮められるからです。

では何をロックするべきかというところで、分析の出番でした。

●公開デッキのカード種類をグラフ化して傾向を調べた
12月以降にプレイヤーズクラブで公開された、マスター・オープンのデッキ全ての採用カード種類をグラフ化しました。
それがこちら。

見てわかる通り、傾向と言えるほど大きな流れはありません。
であるなら、ロック対象の種類にこだわるより、単純に高性能のロックカードを選択するべきと考えます。

それは何か。オムスターでした。
しかし単に近い構築のTAGTEAMに無力ですし、他に強力なロックカードも見つけられず、ロックデッキ案は流れます

他にもグラフ化や自動化を色々試していたのですが、どれもうまくいきませんでした。
データ不足、知識不足など問題があり、京都大会まで形にできる見込みがありません。

諦めて、「[4]選択の経緯」の流れに入っていったのでした。

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