居石信吾

ニンジャヘッズ。現在逆噴射小説大賞 投稿作「ポスト・ポストカリプスの配達員」の続きを連…

居石信吾

ニンジャヘッズ。現在逆噴射小説大賞 投稿作「ポスト・ポストカリプスの配達員」の続きを連載中。

マガジン

  • 絶罪殺機アンタゴニアス外典『押し潰されそうな空の下で』

    バールさん( https://note.com/beal )が連載中の絶罪殺機アンタゴニアスの二次創作小説「押し潰されそうな空の下で」のまとめマガジンです

  • 居石信吾過去短編集

    古い電子地層から発掘された居石の短編が収録されています

  • 逆噴射小説大賞2022自作品まとめ

    居石信吾が逆噴射小説大賞2022に投稿した作品がまとめて読めてしまう素晴らしきマガジン

  • ソウルフィルド・シャングリラ

    未来ディストピアボーイミーツガールSFライトノベルです。

  • 逆噴射小説大賞2021投稿作

    逆噴射小説大賞2021に居石信吾が投稿した作品が読めてしまう驚異的マガジン

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ポスト・ポストカリプスの配達員 総合目次

 自己増殖する数京個のポストに飲み込まれ、文明は滅亡した。  果てしないポスト・ポストカリプス世界を、配達員〈サガワー〉の少年と配達員〈ポストリュード〉の少女が往く。  襲い来る怪物! モヒカン! アルティメット・カブ!  愉快痛快パワーワード娯楽SFアクション小説! 登場人物紹介 ヤマト・タケル 主人公。男。配達員〈サガワー〉。17歳。サハラでナツキを青ポストの中から発見し、世界の真実とアルティメット・カブを廻る闘いへと巻き込まれる。 カネヤ・ナツキ ヒロイン。女。配達

    • 【完全版】死ンデレラ #パルプアドベントカレンダー2023

       昔々ある所に、死ンデレラと呼ばれる娘が、継母と二人の姉と共に暮らしておりました。意地悪な継母らは死ンデレラを虐めて家庭用原子炉の死の灰の掃除をさせるので、彼女は死の灰被りと呼ばれているのでした。  ある日、王子様は長年争う帝国との決着をつける為、強者を選抜する武闘会を開くことにしました。 「死ンデレラ、貴女は留守番よ! だって貴女は何の取り柄もないからね!」  王国の子女たる者、自らを兵器と成し王家の藩屏となるべしというのは、死ンデレラも実の親から聞かされ育ったので、忸怩た

      • 死ンデレラ

         昔々ある所に、死ンデレラと呼ばれる娘が、継母と二人の姉と共に暮らしておりました。意地悪な継母らは死ンデレラを虐めて家庭用原子炉の死の灰の掃除をさせるので、彼女は死の灰被りと呼ばれているのでした。  ある日、王子様は長年争う帝国との決着をつける為、強者を選抜する武闘会を開くことにしました。 「死ンデレラ、貴女は留守番よ! だって貴女は何の取り柄もないからね!」  王国の子女たる者、自らを兵器と成し王家の藩屏となるべしというのは、死ンデレラも実の親から聞かされ育ったので、忸怩た

        • Re:End

           綺麗に終わろうね、という約束を、石楠花栖花は果たせなかった。  そして私は約束に囚われたまま、今も生きている。  誰かの悪意によろめいた。水筒の中身が飛び出し制服を濡らす。私が振り返る前に忍び笑いは潮を引き、31名の女子高生が帰り支度をしている教室の粘ついた圧力に顔を上げることすら出来ない。  俯いたまま、教室を出た。 「雛罌粟さん」  人のいない階段の陰で、改めて水筒の中身を飲もうとした私は、呼ばれて振り返った。 「えいっ」  水筒を取り上げられて、あろうことか飲まれ

        • 固定された記事

        ポスト・ポストカリプスの配達員 総合目次

        マガジン

        • 絶罪殺機アンタゴニアス外典『押し潰されそうな空の下で』
          9本
        • 居石信吾過去短編集
          6本
        • 逆噴射小説大賞2022自作品まとめ
          3本
        • ソウルフィルド・シャングリラ
          30本
        • 逆噴射小説大賞2021投稿作
          4本
        • 絶罪殺機アンタゴニアス外典 〜この熱き血潮に懸けて〜
          7本

        記事

          盤蠱覚龍征伐譚

           今朝、お爺が死んだ。梁に縄をかけ、ぶら下がっていた。私は苦労してお爺を下ろすと、予め掘ってあった墓穴に埋めた。  私が残ったのは怪我で動けないお爺の世話のためだった。お爺がどうやって首を縊ったのか、私は墓の横に座りそればかりを考えていた。  やがて大地が脹らみ、戻った。  龍の呼吸。  後三回の呼吸で、この国は滅びる。  蕃古という国名は、元は「万呼」といった。臥龍の上に建つ国は、龍が万回の呼吸をした後、龍の目覚めの時に滅びる。皆知っていて、放置した。龍の一呼吸は人間の暦

          盤蠱覚龍征伐譚

          溶け去りし日々のマキナ

           暗転。  えーっと。  どこまで話したんだっけ。  そうだ、ロス・アラモスの老人達が世界をこうしてしまった所だったね。万物理論を超えた〈投影理論〉が世界から秘密を剥ぎ取ってしまった。秘密がない世界に耐えられなくなった人類は世界を弄り回す事にした。多分、そんな所だろうと思うよ。  余談だけど、投影理論が発表された当時、物理学用語としての〈ディスプレイ〉を実体のディスプレイと勘違いした陰謀論者共が「この世界は上位存在に演算された結果を映しているに過ぎないのだ!」と喚き散らした

          溶け去りし日々のマキナ

          西日の差すこの部屋で

          西日の差すこの部屋で 『――これは何かの間違いか?』 『分からない』 『――何故こんなところにいるのだ?』 『分からない』       *  ――西日が、暑い。  部屋の中央に立っていた私は吹き出る汗を拭った。拭ってもまたすぐに汗は吹き出る。身につけている入院患者が着るようなゆったりとした白い服は、汗でべったりと皮膚に貼りついていた。クーラーがないのならせめて窓を開けろと言いたいが、窓は嵌め殺しだったし、部屋には誰もいなかった。嵌め殺しの窓にカーテンやブラ

          西日の差すこの部屋で

          シンギュラリティ・クリスマス

           窓の外から流れる「きよしこの夜」で目が覚めた。  今日も、クリスマスだ。  1999年の12月24日だったそうである。いわゆる「強いAI」、ニコラウスが発表され、当時の脆弱なネットに接続された瞬間にそれは起こった。  その瞬間の混乱が延々と続いているとも言えるし、混乱等何も起こらずただ新しいステージへ人類は進んだのだと言う人もいる。現状に不満を述べる事は自由だが、ニコラウスが市民へと付与する社会信用ポイント(良い子ポイント、と皮肉って呼ばれる事もある)の加算係数が低下する

          シンギュラリティ・クリスマス

          Twitterでは強がりましたが落選がクソ悔しくてのたうちまわっています ぐわああああああ 来年こそ覚えてやがれよ!!!

          Twitterでは強がりましたが落選がクソ悔しくてのたうちまわっています ぐわああああああ 来年こそ覚えてやがれよ!!!

          ポスト・ポストカリプスの配達員 あらすじ&各話リンク

          あらすじ かつて戦争を支えたインフラである自己増殖するポスト。だが事故により数京個のポストに飲み込まれ、文明が滅亡してから三百年。  果てしないポスト・ポストカリプス世界。そこは増殖するポストから出てくる物資によって支えられていた。だがポストからは怪物が出てくる危険もある。  ある日、ポストから物資を集める職業である配達員の少年・ヤマトは、伝説の青ポストから冷凍保存されていた謎の少女配達員・ナツキを見出す。  襲い来る怪物をナツキは召喚した巨大スーパーカブ型ロボット、アルティ

          ポスト・ポストカリプスの配達員 あらすじ&各話リンク

          ポスト・ポストカリプスの配達員 第三話

          「て、敵? なんで同じ種類の機体同士で争ってんだ……!?」 『ナツキ、搭乗を』  トライのコックピットが開放され、ナツキは俺に返事をせずにそのまま跳躍し収まる。 『重力制御開始。ダークマター圧縮効率102%。ダークエネルギー取得率70%』  トライが淡々とシステムログを述べる。周囲の景色が再び歪み始め、俺は慌てて退避する。砂に半ば埋もれていた宅配ボックスの殻を発見し、お守り代わりに頭から被った。 「ま、待たんか! 吾輩も入れろ!」  筋肉ゴリラのような撤去人が無理やり入り込ん

          ポスト・ポストカリプスの配達員 第三話

          ポスト・ポストカリプスの配達員 第二話

          「で、少年の名前は? サガワー? ってことはこの時代にもまだ佐川救世軍は存在するのかな?」  俺はその名が出てきた事に驚いた。佐川救世軍とはポストカリプス前文明に存在した民間軍事会社であったが、郵政省が国内の通信リソースを専ら軍事利用に割り振ってからは空いたニッチを埋めるように民間向け郵便事業にも手を出し巨大コングロマリット化した。  配達員とは佐川救世軍にあやかって呼ばれだした名だが、長い年月のうちに人々はそのことを忘れ去っていた。つまり、こいつらは本当に1200四半期――

          ポスト・ポストカリプスの配達員 第二話

          ポスト・ポストカリプスの配達員 第一話

           自己増殖した数京個のポストにより、文明は崩壊した。今世界で最もポピュラーな職は配達員と撤去人だ。  俺は配達員の方をやっている。ポストに稀に入っている食料や水を探し出して、売り捌くのだ。ちなみに撤去人はポストを憎んでいるので丸ごと引っこ抜いてしまう。  俺が今いるここは、かつてサハラ砂漠と呼ばれていた場所だ。今は砂の代わりにポストがびっしりと屹立する。  ポストを一個一個調べて当たりがあったらスーパーカブに積む。カブも増殖するので世界中の乗物はコレになった。  その時頭上

          ポスト・ポストカリプスの配達員 第一話

          #逆噴射小説大賞2022 セルフライナーノーツ

           今年もwebパルプ小説の祭典、逆噴射小説大賞が終わった。今年からレギュレーションに小変更が加わり、投稿作が一人2作までに制限されたのでどうなるかなと思っていたら最終的に260超ものパルプ小説が集まり俺はシャッポを脱いだ。新規参加者もかなり見かけ、イベントとしての強さを感じた。  自分も二作投稿したので、それらの解説や反省点などを書いていこうと思う。  ちなみにヘッダー画像はAIに頼んだら出てきたCORONAっぽいビールとタコスっぽい料理です。 一作目:ピリグリムは月に触れ

          #逆噴射小説大賞2022 セルフライナーノーツ

          泥と鯨のワルツ

           泥は、腐った臭いがする。  真上にある太陽が、果てなく続く泥海を炙る。ポコポコと音を立ててガスが湧き、黒い泥が僕の肌に跳ねた。  叢外れの漁場にハマシアと来たのは、伝説の《雷鯨》を獲る為だ。次の新月に、僕達は成人する。底辺の僕らが麗しのエレミアに求婚するには最早伝説に縋るしかないという訳だった。浮靴を履いているとはいえ、舫も無しにこんな沖まで出るのは危険だがそれも承知の上だ。  コーンと甲高い金属音が鳴った。泥に音叉を突き立てて聴音していたハマシアが驚愕し顔を上げる。 「お

          泥と鯨のワルツ

          ピリグリムは月に触れる

           大陸竜の卵が孵った夜、僕は生まれた。  ピリグリムと名付けられた竜と同じ名を頂戴した僕は、従竜師の老爺に育てられた。 「お前達は彼処まで行くんだ」  背棘丘の頂き。白い子竜を頭の上に乗せた僕の背中を叩きながら、老爺が指を差す。釣られて見上げた先には、昼間でも鮮やかに浮かぶ満月。そこから金色の光が時折降り注ぐのを見て、僕は尋ねた。 「師匠、あれは何?」 「あれはニニギだ。お前たちがいずれ成るものだ」  幼かった僕は、言葉の意味もよく分からないままに頷いた。ピリグリムが連られて

          ピリグリムは月に触れる