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第4章:子どもにとって最善の子育てとは 養育計画の作成~別離後の子育ての取決めガイド~

カナダ司法省のウエブサイトに掲載されている
Making Plans
A guide to parenting arrangements after separation or divorce
How to put your children first
という冊子の「第4章」を翻訳・紹介します。

 別居や離婚をする際には、子どもに関する子育ての取決めをする必要があります。これは、あなたともう一方の親が、子どもを中心とした協力的な養育関係を築いている場合が最も容易です。子どもを中心に考える協力的な養育関係の詳細については、「第3章:別居後の子育て-子どもに焦点を当てる」を参照してください。子育ての取り決めをする際には、主に3つの種類の決定が必要になります。即ち、
  ・子どもの教育や健康などについて、どのように決定するか
  ・子どもがどこで生活するか、それぞれの家族とどのくらいの時間を過ごすか
  ・ 将来的に子育ての問題で意見の相違が生じた場合、どのように解決するか

子の最善の利益

 子育ての取決めを結ぶ際には、子の最善の利益に焦点を当てることが重要です。子育ての取決めは、何よりも子どもの身体的、精神的、心理的な安全、安心、ウェルビーイングを守り、サポートするものでなければなりません。
 このような取決めを実現するための最善の方法を見つけることは必ずしも容易ではなく、考えるべき要素がたくさんあるかもしれません。子どもや家族はそれぞれ違うので、自分の状況に合った方法を考えることが大切です。子どもの目線に立って考えてみてください。
 子育ての取り決めに着手する前に、今起きていることに対する子どもの考えや気持ちを理解しようとすることが大切です。そうすることで、子どもにとって何が最善なのかを決めることができます。また、子どもが現状を理解し、あなたが子どものニーズを考えていることを伝えることもできます。今、お子さんに声を聞かせてあげることで、将来的には誰にとっても楽な状況になるでしょう。今、子どもに声をあげてもらうことで、将来的には誰にとってもやりやすくなるでしょう。
 子育てに関する決定をする際に、子どもの意見を考慮する方法については、第5章の「子どもの視点を取り入れる」で詳しく説明しています。
 離婚法では、子育ての取り決めをする際に考慮すべき点についての指針が示されています。
  ・子どもの年齢と発達段階に応じた子どものニーズ。これには以下が含まれます。
   〇安定の要求
   〇医療上の必要性、発達上の問題、精神衛生上の課題、学習上の困難など、子どもに特別なニーズがある場合
  ・子どもとそれぞれの親、兄弟姉妹、祖父母、その他の子どもの人生において重要な人々との関係の性質と強さ
  ・それぞれの親が子どもともう一方の親との関係をサポートする意思があるか否か
  ・別居前の子どもの養育状況と、子どもの世話をする将来の計画
  ・子どもの意見や好み
  ・それぞれの親の子どもの世話をする能力と意思
  ・先住民族の養育や遺産を含む、子どもの文化的、言語的、宗教的、精神的な養育や遺産に関連した養育問題について、各親がもう一方の親とコミュニケーションをとり、協力する能力

 家庭内暴力
 離婚法は、子どもの安全、安心、ウェルビーイングを他の全ての要素よりも優先しています。
 同法は、子どもや一方の親に対する家庭内暴力が子の最善の利益に関連することを特に強調しています。例えば、裁判所は以下の項目を考慮しなければなりません。
  ・家族に暴力を振るったことのある人が、子どもの世話を十分にし、子どものニーズを満たすことができるかどうか
  ・両親が子育ての問題に協力できるかどうか
 同法が指摘するもう一つの要素は、子どもの安全、安心、ウェルビーイングに関連する他の民事命令、刑事命令や訴訟事件があるかどうかです。例えば、家族に対する暴行で過去に刑事上の有罪判決を受けていたり、家族の誰かが関与している児童保護命令が出ているケースなどが挙げられます。

 その他の考慮すべき要素
 離婚法に記載されている要素は、あなたがそれだけ考えておけば良い要素というわけではありません。
 全ての家族や子どもは唯一無二の存在です。子どもにとって最善の子育ての取決めを結ぼうとするときに考えるべき他の要素があるかもしれません。
例えば、ある状況では、問題のある薬物使用や深刻な精神的健康問題に関する懸念が、あなたの決定に影響を与えるかもしれません。
 別のケースでは、子どもに特別な才能があり、その才能を考慮する必要がある場合もあります。
 子どものニーズに関する詳細は、オンライン資料「様々な年齢と発達段階における子どもの反応の仕方」を見て、カナダ司法省の家族法のウェブページを参考にてください。これらの情報は、どのような子育ての取決めが子どもにとって最善かを考える際に役立つでしょう。
 また、ソーシャルワーカーや心理学者などのメンタルヘルスの専門家に相談することで、子どものニーズを理解し、そのニーズを満たす子育ての方法を考えることができるかもしれません。

意思決定責任

 子育ての取決めで重要なのは、意思決定責任です。

 意思決定責任とは、子どものウェルビーイングに関する重要な決定を行う責任を意味します。これには、子どもに関する以下に項目の決定が含まれます。
 ・健康管理
 ・教育
 ・文化、言語、宗教、精神性
 ・重要な課外活動

 重要な意思決定は、様々な方法で行うことができます。
  ・共同意思決定責任:あなたともう一方の親がお互いに相談し、一緒に決定します。
  ・単独意思決定責任:一人の親が決定します。
  ・分割(並行)意思決定責任:一部の決定(例えば、健康や宗教など)はあなたが責任を負い、他の決定(例えば教育など)は一方の親が責任を負います。
 あなたの置かれた状況で、どの方法が適切かは、子の最善の利益に照らし合わせて慎重に検討する必要があります。
 あなたと一方の親が子育ての問題でお互いにうまく協力できるのであれば、共同意思決定責任はあなたにとって良い選択肢となるかもしれません。
 一方で、あなたと一方の親がうまくやっていけない場合や、虐待が原因で力関係が崩れている場合、一緒に意思決定をしなければならなかったり、分割して意思決定をしなければならなかったりすると、子どもたちが紛争にさらされる可能性があります。例えば、どちらかが健康に関する意思決定を担当し、もう一方が教育に関する意思決定を担当している場合、特に過酷な学校のプログラムが子どもの健康に影響を与えるかどうかについて意見が合わないかもしれません。このような意見の相違をどのように解決するかを検討することが重要です。

 注意事項
 子育ての取決めをする際には、安全性について考えなければなりません。両親間の暴力により安全面での懸念が継続している状況では、一般的に共同意思決定責任は適切ではありません。両親間の定期的な接触やコミュニケーションを必要とする取決めは、更なる家庭内暴力の機会につながる可能性があります。詳しくは、「第6章:特別な問題」をご覧ください。

 また、子どもの居住地の変更、州や国以外での休暇、パスポートの申請、パスポートやその他の重要書類の保持、旅行の同意書への署名など、その他の問題にも対処する必要があります。
 子育ての取決めをするときは、デリケートな問題や、あなたと一方の親が同意しない可能性のある特定の問題について考えることをお勧めします。例えば、夫婦のどちらかが子どもに新しいパートナーを紹介したい場合の対応、子どもにソーシャルメディアの使用を許可するかどうかとその方法、子どもの画像をソーシャルメディアで共有するかどうかとその方法などが挙げられます。全てを事前に決めておく必要はありませんが、将来の紛争を避けるためにも、デリケートな問題をどのように決定するか、今のうちに話し合っておくとよいでしょう。
 あなたが離婚法の下で子育て取決めをしていない場合は、あなたの住む地域の家族法に関する情報について州または準州政府のウェブサイトを訪問することをお勧めします。
 例えば、あなたがケベック州に住んでいる場合は、両親は健康管理、教育、宗教のような子どもの重要な決定が含まれている親権を共有しています。両親は、その親権をどのように行使するかを互いに決定することができます。

離婚法の用語について

 2021年3月1日より、離婚法では「監護Custody」や「アクセスAccess」という用語が使われなくなりました。このセクションでは、子育ての取決めを作成する際に覚えておくべき用語のリストを紹介します。

 養育時間Parenting time
 養育時間とは、子どもが物理的に親と一緒にいるかどうかにかかわらず、子どもがどちらかの親のもとで過ごす時間のことを指します(例えば、子どもが学校に通っている時間も含まれます)。養育時間は、スケジュールで定められている場合もあります。旧離婚法の下で「アクセス」を有していた親であれば、今は「養育時間」を有することになります。
 裁判所が別段の命令をしない限り、養育時間を有する親は、子どもの健康、教育、福祉に関する情報を他方の親や第三者(例えば、学校、医者)に求める権利があり、また与えられねばなりません。

 意思決定責任Decision-making responsibility
 意思決定責任とは、健康、教育、文化、宗教、重要な課外活動など、子どものウェルビーイングに関する重要な決定を行う責任のことです。離婚法では、旧監護命令で「監護」を有していた親は、現在「意思決定責任」を有しているとされています。
 一人の親が子どもに関する全ての決定の責任を担う場合、その親が単独意思決定責任を持ちます。両方の親が意思決定責任を持っている場合、両親が共同意思決定責任を持ちます。

 養育命令Parenting order
 児養育命令とは、裁判所が下す命令で、子どもがそれぞれの親と過ごす時間、それぞれの親の意思決定責任、子どもが一方の親と過ごす際にどのようにコミュニケーションをとるかなど、子育ての取決めに関する重要な内容を定めたものです。

 養育計画Parenting plan
 養育計画とは、子どもと同居していない親が、両方の家庭でどのように子どもの世話をし、重要な決定をするかを記したものです。どのようなタイプの子育ての取決めにも合意することができますが、子の最善の利益に適うことに焦点を当てる必要があります。

 コンタクト(接触)Contact
 コンタクトとは、子どもにとって特別な存在でありながら親ではない人(例えば祖父母)が、裁判所の命令に従って子どもと過ごす時間のことです。裁判所は、子の最善の利益に適うか否かに基づいて接触命令を出します。

 共同養育時間Shared parenting time
 共同養育時間とは、子どもがそれぞれの親と少なくとも40%の時間を過ごす状況を指します。この言葉は通常、養育費の観点から使用されます。共同養育時間は、以前は共同監護Shared custodyと呼ばれていました。

 分割養育時間Split parenting time
 分割養育時間とは、複数の子供がいる場合に、それぞれの親が少なくとも1人の子供に対して60%以上の育児時間を持つことを指します。この言葉は通常、養育費の観点から使われます。分割養育時間は、以前は分割監護split custodyと呼ばれていました。

大部分の養育時間Majority of parenting time
 大部分の養育時間とは、子どもが一方の親と60%以上の時間を過ごす状況を指します。この言葉は通常、養育費の観点から使われます。大部分の養育時間は、以前は単独監護sole custodyと呼ばれていました。

旧離婚法の用語について

 監護Custody
 監護とは、以前は離婚法で使われていた法律用語で、現在も一部の州や準州で使われています。監護とは、親の一方または両方が子どもに関する重要な決定を行う権限のことを指します。また、養育時間のスケジュールと、子どもに関する決定がどのように行われるかの両方を説明するために使用されることもあります。監護には、単独監護や共同監護など、様々な種類があります。
 単独監護とは、一人の親が子どもの教育、宗教、健康管理などの問題について主要な決定を行うことを意味します。一般的には、子どもは主にこの単独監護を有する親と一緒に暮らすことになります。また、この親が単独で意思決定を行い、養育時間の大半を占めることになります。
 離婚法に基づく共同監護とは、両方の親が一緒に子どもに関する主要な決定を行うことを意味します。親は、子どもが主に親のいずれかと一緒に住んでいる場合でも、共同監護を持つことができます。共同監護を持つ親は、現在、養育時間は勿論、共同意思決定責任も持っています。

 アクセス(接触)Access
 アクセスとは、離婚法で以前使われていた法律用語で、親または他の人が子供と過ごす時間のことを指します。通常、ここでいう親は子どもと主に生活している方の親ではありません。あなたが以前の離婚法の下で「アクセス」を持っていた親であれば、今は養育時間を持っています。

 州および準州の法律Provincial and territorial legislation
 多くの場合、養育問題は州や地域の法律に基づいて決定されます。そのケースは、例えば、両親が別居しているが離婚していない場合や、結婚していなかった場合などに起こります。
州や準州によっては、「後見guardianship」、「監護」、「アクセス」や「親権parental authority」などの用語が使用される場合があります。

養育時間Parenting time

 子育ての取決めでもう一つ重要なのは、子どもがそれぞれの親と一緒に過ごす時間です。養育時間は、子の最善の利益に基づいて配分する必要があります。あなたは、スケジュールであなたの養育時間を設定することができます。
 養育時間のスケジュールは、子どもが一般的にそれぞれの親と過ごす時間について、できるだけ明確にする必要があります。また、誕生日、母の日、父の日などの休日や特別な日、宗教上や法定の休日を含めることができます。
 養育時間のスケジュールに同意する際には、実用的かつ現実的であることが重要です。
 あなたと一方の親は、あなたの仕事や他の約束事のように、あなたの個々のスケジュールについて考えたいと思うかもしれません。また、子どもと過ごすためにどのような交通手段が必要かを考えておく必要があります。例えば、一方の親が車を持っていない場合、特にあなたともう一方の親がお互いに近くに住んでいない場合は、公共交通機関の利用可能性などを考えなければなりません。
 両親の間の移動は、子どものスケジュールの中で自然なタイミングで行われる方が、子どもにとっては楽です。例えば、一方の親が子どもを保育園や学校、スイミングスクールに送り届け、もう一方の親が迎えに行くという方法です。これにより、子どものスケジュールが乱れるのを防ぐことができます。

覚えておいて下さい
 あなたにとって都合の良いことではなく、子どもにとって最善になることに焦点を当ててください。あなたと一方の親は、子どもの活動や社会的な約束を考慮に入れるべきです。

 一般的には、子どもが両方の親と継続的かつ有意義な関係を築き、それぞれの親がもう一方の親との関係をサポートしていることを知っている方が、子どもにとっては最善です。しかし、それぞれの家庭は唯一無二であり、最善のスケジュールを決める魔法の公式は存在しません。
 子どものニーズは年齢によって変化します。例えば、発達段階に応じて、ティーンエイジャーには上手くいくスケジュールでも、乳幼児には適していないことがあります。オンライン資料「様々な年齢と発達段階における子どもの反応の仕方」には、子どもの年齢や発達段階、子どもが抱えている可能性のある問題についての情報が掲載されています。
 主に一方の親と暮らし、もう一方の親と頻繁に一緒の時間を過ごすことが子どもにとって最善の場合もあります。また、両方の親とほぼ同じ時間を過ごすのが子どもにとって最適な場合もあります。このタイプの取決めは、子どもが少し年長で、両親が次のようなケースに当てはまる場合に最善です。
  ・お互いに近くに住んでいる
  ・互いの育児能力を尊重する
  ・お互いに協力し合うことができる
  ・養育時間のスケジュールに柔軟に対応できる
 このタイプの取決めがうまくいくためには、両方の親が共同子育ての関係を維持できるかどうかが重要です。
 場合によっては、特に安全上の問題や懸念が継続している場合には、一方の親との養育時間を制限したり、養育時間中に監視を付けたり、親が子どもを送迎する際に第三者に交換を監視してもらったりすることが、子どもにとって最善の場合もあります。
 合意したスケジュールについては、柔軟かつ現実的に対応する必要がある場合もあります。例えば、ママが子どもと一緒にいる時間に郊外でのスポーツ大会があり、活動への送迎はパパが行う場合、ママと一緒にいる時間を再設定する必要があるかもしれません。また、悪天候やその他の事情により、往々にしてスケジュールが乱れることもあります。これは当然のことです。
最後に、両親は数ヶ月間、養育時間スケジュールを「試して」みて、子どもにどのように作用するかを確認したいと思うことがあります。両親は、しばらくしてからスケジュールがどのように機能しているかを話し合い、必要に応じて変更を加えることに同意します。これは、多くの場合、うまくいきます。しかし、両親の間に問題があって裁判になった場合、裁判官は、子どものためになっていると判断したスケジュールを変更したくないと思うかもしれません。裁判所は子どもの安定を重視しており、正当な理由があり、その変更が子の最善の利益になる場合にのみ、子育ての取決めを変更します。

 子どもの両親ではない特別な人との時間
 養育時間のスケジュールに、子どもの人生にとって重要な両親以外の人を含めることも可能です。例えば、子どもが定期的に祖父母と過ごしている場合は、スケジュールに祖父母との時間を含めることができます。
 通常、祖父母やその他の近親者など、子どもにとって特別な人は、どちらかの両親の養育時間に子どもに会うことになります。両親は一般的に、祖父母のような特別な人との時間に対応するためにスケジュールに余裕を持たせることができます。
 しかし、時にはそれができない場合もあります。離婚法では、祖父母などが子どもと過ごす時間を確保するために、接触命令を申請することができます。裁判所は、それが子の最善の利益になる場合にのみ接触命令を出します。

将来の子育ての問題を解決する

 子育ての取決めをする際には、あなたと一方の親との間で将来的に子育てに関する意見の相違があった場合に、それをどのように解決するかを考えることも重要です。これは、あなたと一方の親が共同意思決定を行うことに同意した場合に特に重要です。
 通常、意見の相違を裁判によらずに解決することができれば、それが最善です。例えば、あなたは裁判所に行く前に問題を解決しようとするメディエーターと話をすることに同意することができます。様々なタイプの家事紛争解決の詳細については、「第5章:子育ての取決めを作成するための選択肢」を参照してください。

養育費

 あなたと一方の親が、子どもにとって最善の子育ての取決めに合意したら、養育費を計算する必要があります。

 養育費とは、子どもを経済的に支えるために、一方の親が他方の親に支払う金額のことです。

 連邦政府養育費ガイドラインとは何ですか?
 連邦政府養育費ガイドラインは、離婚法に基づいて作られた規則です。このガイドラインは、離婚時に親が支払うべき養育費の額を示す規則と表(連邦政府養育費表)を定めています。ガイドラインは法律であり、裁判官が命令する可能性のある養育費の金額を示すことができます。

 連邦政府養育費表では、あなたの収入、一方の親との間にいる子供の数、あなたが住んでいる州または準州に応じて、基本的な養育費の額が定められています。

 これらの表を参考にして、必要となる養育費のおおよその金額を知ることができます。養育費の額を事前に把握しておくことで、一方の親との合意が得られやすくなります。

 覚えておいてください
 あなたは、離婚法に基づき、養育費を計算するために、完全で正確な最新の家計情報を提供する義務もあります。
 手引書「連邦政府養育費ガイドライン:一歩一歩」は、養育費の計算方法について詳しく説明しています。また、カナダ司法省のオンライン「養育費表検索」ツールは、親が支払わなければならない養育費の基準額を調べるのに役立ちます。

 子育ての取決めは養育費に影響するか
 子育ての取決めが養育費の額にどのように影響するのか、よくわからないという人がいます。連邦政府養育費ガイドラインの下では、養育費の額を決定するために多くの基準が使用されていることを覚えておくことが重要です。 次の点に注意してください。
  ・子どもが60%以上の時間を片方の親と過ごしている場合、一般的にはもう片方の親が養育費を支払うことになります。両親が共同で主要な決定を行うことを要求する子育ての取決めによって、養育時間に基づいた養育費支払いの規則を変更することはありません。
  ・両親が「共同養育時間」の取決めをしている場合、つまり子どもがそれぞれの親と過ごす時間が40%以上の場合、片方の親が引き続き養育費を支払います。このような場合、裁判所が考慮する要因は幾つかありますが、例えば、共同養育時間に関わる親の負担増などが挙げられます。
  [訳者注]共同養育時間の場合、それぞれの親が子どもの養育に要するコストを求め、コストの少ない方の親がコストの多い方の親に養育費を支払います。支払額はこのコスト差にそれぞれの親の収入差等の補正を加えて決定します。詳細は「連邦政府養育費ガイドライン:一歩一歩」The Federal Child Support Guidelines: Step-by-Stepをご覧ください。

 子どもと家族の給付金

 両親が別居または離婚した場合、養育時間のスケジュールによっては、子どもと家族の給付金に影響が出る場合があります。連邦政府の児童手当や税額控除は、家族法上の規則ではなく、所得税法に基づいていることを知っておくことが重要です。裁判所命令で片方の親が特定の税額控除や手当を受けることになっていても、所得税法の規則ではそれが認められない場合があります。
 別居や離婚をした場合、子どもと家族の給付金にどのような影響があるのかを理解する必要があります。規則を知っていれば、ただでさえ大変な時期に、不満や経済的困難を経験する可能性が低くなります。
 カナダ歳入庁(CRA)は、カナダ児童手当や物品サービス税/統合売上税控除のような、税金に関する事項や子どもと家族の給付金を管理しています。CRAが管理する手当や控除プログラムの詳細については、子どもと家族の給付金のウェブページをご覧いただくか、CRAの給付金問い合わせ電話(1-800-387-1193)にお問い合わせください。

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