非エンジニアのためのハッカソンマニュアル:9つの役割

 最近、ハッカソンやメイカソンといったイベントが増えています。大抵は、チームを組み、短期間で、サービスや商品のアイデア出しからプロトタイピングまでを行い発表するという、非常に魅力的なイベントです。

 私も、これまでにいくつかのアイデアソンやハッカソン、ものづくりプロジェクトに参加してきました。例えば、Engadgetが主催している電子工作部のハッカソン。それから、プロジェクションカード「心霊写真」の企画~製造販売のプロジェクトなど。ハッカソンはエンジニアのイベントというイメージを持つ方も多いかもしれませんが、私はエンジニアではありません。


 今回は、「私のような非エンジニアが、どんな役割でハッカソンを楽しんだらいいのか?」をテーマに、アイデアや留意点を紹介できたらと思います。どうすればチームに貢献できて楽しめるのかを試行錯誤してきた経験や、エンジニアの方へのヒアリングをもとに、初級編から上級編まで9つの役割にまとめてみました。プロジェクションカード「心霊写真」の具体的な事例も、参考までに併記しています。少し長いですが、非エンジニアの方のハッカソン参加に少しでも参考になれば、嬉しいです。

※この記事は、猫とロボット社の飯田さんが主催する、山手線ガジェットメーカーズでの雑談から生まれました。飯田さんありがとうございます。

初級編

①ユーザー

 誰もが担うことができるのに重要な役割、それが「ユーザー」です!ほとんどのアイデアの良し悪しは、ユーザーの課題やニーズに応えるものかどうか、で決まるといっても過言ではありません。最もニーズに詳しいのも、競合商品や売り場に詳しいのも、そして最もその商品への情熱を持っているのも、実はユーザーだったりするのです。
(「心霊写真」の場合:私自信がアナログゲームオタクで、こんなゲームが欲しいというイメージや、こんなところで売りたいという夢を持っていたことが、ゲームを作るきっかけになりました。)

-ユーザー(自分や身近な人)の課題やニーズを掘り下げて、できるだけ具体的に、情熱をもって伝える。
-アイデアやプロトタイプへのフィードバックを、常にユーザー目線で返す。

②サポーター

 有志のプロジェクトだからこそ必要になる役割、それが「サポーター」です!盛り上げ役兼、雑用係…運動部のマネージャーのようなものかもしれません。ハッカソンなどの強制力のないチームワークにおいては、モチベーションの維持がもっとも重要になります。頑張るエンジニアの方々を、心理的、
物理的に支えましょう。
(「心霊写真」の場合:ものづくりコミュニティ「品モノラボ」に持っていって誉めてもらうことで、チームはモチベーションを保てました。)

-必要なものや差し入れの買い出しに行ったり、ちょっとした雑用をしたりを、積極的にする。
-アイデアやプロトタイプへの感動や、他の人の働きへの感謝の気持ちを、素直に伝える。

③マーケッター

 初心者もやりやすく、最初から最後まで作業として貢献できる役割、それが「マーケッター」です!ユーザーの課題やニーズに関する事例や統計情報、競合商品・サービスに関する情報を集め、分析しましょう。構想段階ではアイデアを洗練させるきっかけになり、プレゼン時にはアイデアの説得力を高めることができます。
(「心霊写真」の場合:facebookグループを作り、みんなで、似た商品の記事を見つけたら放り込むようにしました。)

-ユーザーニーズに関する情報を集め、アイデアの改善やプレゼンに活用する。
-競合する(似ている)アイデアに関する情報を集め、差別化やポジショニングを考える。

中級編

④リサーチャー

 独りよがりになりがちなアイデアの価値を、客観的に調べる役割、それが「リサーチャー」です!ユーザーインタビューや行動観察などを通して、課題やニーズの分析を行えば、説得力が高まります。また、プロトタイプの価値検証や技術の実証実験を行うことで、チームメンバーの自信になり、実際のユーザー以外の人にもその価値を伝えることができます。
(「心霊写真」の場合:プロトタイプを自分達でプレイしたり、小さい子に遊んでもらった様子をムービーにしたりしました。)

-ユーザーインタビューや行動観察を行い、その分析結果を、アイデアの改善やプレゼンに活用する。
-プロトタイプを実際に動かしたり、使ってもらい、意見を聞いたり、効果を検証したりする。

⑤プロモーター

 アイデアの価値を、わかりやすく魅力的に、多くの人に伝える役割、それが「プロモーター」です!誰に、どのようなメディアで、どんな風に説明すれば魅力が伝わるのかを考え、準備をしましょう。ハッカソンでは最終発表がゴールになりがちですが、web上に作品や制作プロセスについて掲載したり、展示会に出したり、営業活動を続けることで、その後に面白い展開が待ち受けているかもしれません。
(「心霊写真」の場合:説明ムービーやwebサイト、展示会での展示ブースを作ったり、いろんな賞に応募したりしました。)

-どんな風に伝えたら魅力が伝わるかを考え、プレゼンの準備をする。
-作業中の場面や最終プロトタイプを写真などできちんと記録し、ハッカソン後にweb上で情報を見られるようにまとめる。
-展示会や営業先を見つけてきて、アプローチする。

⑥デザイナー

 非エンジニアでも、エンジニアと一緒にものづくりできる役割、それが「デザイナー」です!アイデアによっては、グラフィックやUI/UX、プロダクトデザインなど多岐に渡るデザインが必要になり、時にはそれが、価値のコアになることもあります。写真を撮ったり、キャッチコピーを考えたりするのも良いでしょう。初期段階からスケッチやモックを作ることで、チームの共通理解やモチベーションを高めることもできます。
(「心霊写真」の場合:ゲームのカードやアプリに使うグラフィック、コンポーネントやパッケージのデザインまで、試行錯誤で作り上げました。)

-スケッチやモックで、アイデアをどんどん視覚化し、チームでイメージを共有する。
-エンジニアと相談しながら、必要なグラフィックやUI、プロダクトのデザインを制作する。
-プレゼンやプロモーションに使う、写真やキャッチコピーを制作する。

上級編

⑦プロジェクトマネジャー

 プロジェクトを推し進め、強い意志をもって完成までこぎつける役割、それが「プロジェクトマネジャー」です!ハッカソンという場に限られた、小さな経営者ともいえます。どんな状態にしたいのか、そのためには誰がいつまでにどのような作業をするのか、今どこまでできているのかを、ファシリテーションしながらはっきりさせ、方向修正していきます。場合によっては、必要なリソース(お金や人材)を手配する必要も出てくるかもしれません。
(「心霊写真」の場合:ゲームマーケットでの100個販売をゴールにして、お金を集めたり、スケジュールと役割分担を決めて進めていきました。)

-場のファシリテーションをしながら、ゴール設定や役割分担、スケジュールを決めて合意形成をする。
-お金を工面したり、必要なスキルをもった仲間を引き入れる。

⑧とにかくなんでもやる人

 アイデアの実現に向けて絶対必要になる役割、それが「とにかくなんでもやる人」です!なんのこっちゃと思われるかもしれませんが、非常に重要なんです。アイデアが新しいものであればあるほど、絶対どこかに、チーム全員が経験したことのないハードルがあるはずです。そのときに、誰かが率先して学び、新しい解決策を探り、そのハードルを乗り越えることをしないと、まあいっか、で終わってしまうのです。
(「心霊写真」の場合:パッケージを作ったり、梱包屋さん向けの手順書を作ったり、お店に送る請求書を作ったり、全てが、見よう見まねの初体験でした。)

-誰もやったことのないToDoが出てきたら、やり方を調べたり、人に聞いたりして、とにかくやってみる。

⑨その他専門職

 新しいアイデアを考える上で特別な強みになる役割、それが「その他専門職」です!例えば、法律の専門家であれば、アイデアに関連しそうな特許や規制を、詳しく調べて伝えることができるでしょう。外国語のスキルがあれば、グローバルなアイデアにすることも可能です。
(「心霊写真」の場合:特になし。)

-持っている専門的な知識(法律、外国語など)を生かして貢献する。


以上、9つの役割をあげてみました。複数の役割を担えば、より広く貢献することができ、楽しめると思います!この他にもあるかもしれませんし、そんなもんいらない、というご意見もあるかもしれません。最近では、ハッカソン主催者側が、何らかの役割をサポートしてくれるものも多くなってきています。

・・・と、ここまで読んでくれて、「そんなことできない、ハッカソンめんどくさい!」と思ってしまった方がいたら、すみません。そうです、ハッカソンて、泥臭くて面倒くさいんです。でもその分、楽しいし、仲間ができます。そして、普段仕事ではやっていない上記のような役割を担ってみることで、大きな学びがあります。私はといえば、本業では③とか④の人なのですが、「心霊写真」のプロジェクトを通じて、①から⑧までを体験し、新たな世界が開かれた感じでした。ぜひ、ひとりでも多くの非エンジニアに、ハッカソンの場を存分に楽しんでもらえたら、と思います。


あとがき:最初にハッカソンに参加したときから、ハッカソンって、仕事の縮図みたいなところがあるなあと思っていました。記事を書いてみたら、ほんとに、会社の中の縮図みたいになったなと思いました。最近、シンギュラリティ後の人間の職業、みたいな記事をよく見ますよね。でも当分は、ここに書いた9つの役割のいくつかが出来てれば、職を失わないんじゃないかなー、どうかな。

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inagram

コメント2件

グループワークをする際にこの9つの役割を紹介させていただきました。
レーダーチャートにしてワークの開始時に配布し、どの役割ならどの位できそうかを記入してもらい、終了時の振り返りにもう一度記入してもらうというやり方で使いましたが、納得感があったようです。
ありがとうございました!
ご丁寧にお知らせいただきありがとうございます!とても光栄ですー。レーダーチャートにするのは面白いアイデアですね!納得感があったとのこと、とても良かったです。
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