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<論文>穿刺手技スキルは3か月で落ちる

See One, Do One, Forget One: Early Skill Decay After Paracentesis Training.
J Gen Intern Med. 2020 Sep 23.
doi: 10.1007/s11606-020-06242-x

イントロダクション
内科レジデントは穿刺手技を行うが、プログラムには能力評価や能力維持のための標準的な方法がなく、代わりに完了した手技の回数のカウントくらいである。本研究では、レジデントの穿刺手技における能力の経時的な変化について検討した。

方法
2016年から2017年にかけて、内科レジデント(n=118)が穿刺シミュレーショントレーニングを受けた。能力は、チェックリスト、グローバルスケール、委任スコアを組み合わせたParacentesis Competency Assessment Tool(PCAT)を用いて評価した。PCATではまた、最低合格基準(MPS)と監視下訓練基準(UPS)の2つのカテゴリー別カットポイントスコアが定義されている。レジデントは、3ヵ月後と6ヵ月後にシミュレーションラボに戻るか(A群、n=60)、6ヵ月後にのみシミュレーションラボに戻るか(B群、n=58)に無作為に割り付けられた。各セッションでは、評価指導医がレジデントのパフォーマンスを評価した。データを分析し、各セッションでレジデントのパフォーマンスを初期訓練のスコアと比較し、6ヵ月後のグループ間のパフォーマンスを比較した。

結果
初期訓練後、すべてのレジデントがMPSを達成した。UPSを達成した者の数は、A群24名(40%)、B群20名(34.5%)、p=0.67で、両群間に差はなかった。A群を3ヵ月後に再検査したところ、PCATの各項目の成績は有意に低下し、MPSとUPSを達成したレジデントの割合も低下した。6ヵ月後の再試験では、A群はB群よりも有意に成績が良く、MPSは52人(89.7%)、UPSは20人(34.5%)であったのに対し、B群はそれぞれ25人(46.3%)、2人(3.70%)であった(いずれの比較でもp<0.001)。

無題

考察
穿刺スキルは、トレーニング後3ヶ月ですぐ低下する。しかし、再訓練によってスキルの低下を食い止めることができるかもしれない。研修後6ヵ月後にUPSを満たしたレジデントはごく一部であった。このことは、PCATを用いて客観的に能力を測定することで、一人立ちして穿刺手技を行うことが許可されていたレジデントから、さらなる管理監督が必要なレジデントを再分類することができることを示唆している。


<感想>
6か月ぶりにテストをした人が9か月目にどうなるのか気になるところです。よく,1年も現場を離れると怖くてやれなくなるなんて聞きますが,そりゃそうだよなという感じでしょうか。シミュレーションラボをもっている病院はまだまだ少ないと思いますがやはり重要ですね。



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