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支援の展望ー外務省

外務省 
国際協力局 国際保健政策室長
江副 聡氏

「誰の健康も取り残さない」
 日本政府はユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を保健協力の中心に位置付け、2015年に策定した国際保健外交戦略「平和と健康のための基本方針」でも、政策目標に明記している。①人間の安全保障を具現化するため、公衆衛生危機・災害などの外的要因から個人を守る体制を構築する、②生涯を通じた基礎的保健医療の継ぎ目のない利用を確立し、UHCを達成する、③上記2点の達成に向け、日本の保健人材、知見、医薬品、医療機器および医療技術ならびに医療サービスを活用する、というものだ。
 菅義偉総理大臣は2020年9月26日の国連総会演説で、新型コロナの国際協力におけるUHCの重要性に言及し、「誰の健康も取り残さない」と決意を表明された。具体的には、①日本は、ワクチンを普及させるCOVAXファシリテ
ィを含むACTアクセラレーターのような国際的な協調枠組みを支援する、②東南アジア諸国連合(ASEAN)疾病予防管理センター(CDC)の支援など、将来の危機に備えた国際保健医療システムの強化、③健康安全保障のため
に水・衛生、栄養など幅広い関係領域の環境整備、といった内容だ。すでに総額約1,700億円を手当てし、来年度にかけて計5,000億円の新型コロナ危機対応緊急円借款も表明された。

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