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タイヤを使うポイント

走行力学-4

タイヤを使うポイント

タイヤを最大限に使い切る

いかに優れた動力性能を持っていても、タイヤが安定的に動力を路面に伝達しなければ、速く走ることはできない。サーキット走行において、タイヤの性能をいかに最大限に引き出して使うか。つまり最大限のグリップを引き出すためにはどうすればいいか。
 この質問を本誌でお馴染みのレーシングドライバー&モータースポーツアドバイザーの壷林貴也氏にぶつけた。すると彼は、巷には「最大限のグリップを引き出せないドラテク」がいくつも存在し、それがあたかも正しいように語られていると言う。ここでは、その過ちを確かめ、正しいドライビングについて再考したいと思う。

内圧は自己管理

タイヤの性能を最大限に発揮するためには、タイヤ自体の適正な温度および内圧が欠かせない。もちろんタイヤは温めれば温めるほどいいわけではない。過度の温度上昇は熱ダレや内圧上昇などデメリットも出てくる。したがって適正内圧を探ることがまず適正なドライビングをおこなう上での第一歩となる。
 タイヤの内圧に関して、これはマシンの重量やタイヤ銘柄、その日のコンディションによって千差万別なので、自分で美味しいところを探るしか方法がない。また、チューナーやプロショップのノウハウにもなる部分である。昨今は、タイヤ空気圧モニタリングシステムが一般化したのでユーザー自身で見極めることが容易になったようだ。冷間からスタートして、最もグリップする状態の内圧を覚えておけば良いのだ。「ひとりでサーキット走行に来ても、空気圧の調整はできる。内圧は基本的に個人で管理、調整すべき」と壷林氏は言う。
 基本的にラジアルタイヤはストリートユースを意識した柔いつくりになっているから、レスポンスを上げるためにメーカー推奨地より内圧を高めに取る傾向がある。しかし、軽量化したクルマの場合はその限りではない。もともとタイヤはサイズを問わず1トン以上のクルマを支えるように開発されている。1トンを切る軽量マシンに履かせる場合、相当低い内圧がベストだということもある。
 確かに、同じタイヤ銘柄の同じサイズを履いていても、重量級4ドアターボマシンとスーパーセヴンが同じ内圧で良いはずがない。また、低ければ良いというものでもない。壷林氏の過去の経験を述べると、1.0kg/cm2を切る内圧が最適だったクルマがあった。が、あまりも推奨値を外すと思わぬトラブルが発生することもあるので、このあたりは先人達の意見を聞きながら慎重に試していきたい。

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