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キムソクジンの愛と冒険 4


愛されている、と思った。
人によっては恋人のような存在だったり、遠くから共にがんばる毎日を応援し合う仲間のような存在だったり、さみしい日に一緒に遊んでくれる友達だったり、アイドルとファンという一瞬で途切れてしまう曖昧な虚構の中で私たちはいつの間にか、お互いのかけがえのないものになっていたのかもしれない。
それは良いことだろうか。
自分たちはそれぞれの人生を生きるのに、彼だけを縛る恐ろしい絆になってしまってはいないだろうか。
きっといつか、勝手に裏切られたと感じる日が来ても私は君を嫌いにはならないからどうか自由気ままに自分の人生を生きていって欲しいと願うばかりだ。



ジンくんは言った。
「最近はファンの皆さんが望んでいることが僕のやりたいことです。」

そう言ってジンくんはしばしの別れの前にとんでもなく温かくてすてきな歌を一つと、いつでも笑顔にしてくれる思い出を余るほどにたくさん残してくれた。
しかもジンくんが見せてくれたコンテンツは、どれも(例外はあれど)世界のアミたちが比較的気軽に観ることのできるYouTubeやみんなが大好きな人気番組だったり“いつでもどこでも何度でも観れるもの”という心遣い付きだ。
実家から帰るときに抱えきれないお土産を持たされるみたいに、今アミたちのスマホの中には、かわいかったジンくんの大量のスクショや観きれていない動画のリンクが溢れているだろう。
ジンくんは一連の活動の裏側を追ったコンテンツの中でしきりに「ファンの皆さんが喜んでくれるものがいいと思う」「ファンの皆さんが喜んでくれるかどうかが一番重要な気がする」とくり返していて、インタビューのメッセージでも「いつも皆さんが望んでいることをやっていきたい。最近はファンの皆さんが望んでいることが僕のやりたいことです。」とまっすぐな眼差しで話してくれていた。


何かのファンになってこんなに愛されていると感じたことはない。
それはARMYになったその日から何度も感じてきた感覚で、コンサートで、音楽の中で、何度も受け取ってきた感情で、アイドルとファンという虚構の中の楽しさを飛び越えて“大切にされている”というこの胸をいっぱいにするあの気持ちの正体を、ジンくんの言葉や行動に気付かされたような気がした。
ジンくんのくれた歌を聴くとき、気を緩めると涙が溢れそうになる。
それはその声の温度や言葉にめいいっぱいの愛を感じるからだ。


ジンくんの言葉にはいつも心がある。
とても率直で飾らなくて温かくて、‘The Astronaut’の活動を追いかけながら、だからこそジンくんの周囲に集まってくる人たちはみんな穏やかでとても澄んだ瞳をしているのかもしれないと思った。
‘The Astronaut’のTeaserにチャングのような真っ白い犬の姿があった。
ジンくんのアイデアなのかどうかは分からないけれど、チャングみたいな白い犬やオデンやオムクみたいなフクロウモモンガがグッズ紹介の動画の中にも映り込んでいた。それはジンくんの会えなくなったペットたちへの変わらない愛情のように感じてまた胸の奥がじんわりと温められるような気持ちになった。“義理堅い”というと少し大袈裟な気もするけれど、そういうジンくんの真心を感じるところがとてもとてもすてきだと思う。
ジンくんは私たちにたくさんの贈り物を用意してくれていたみたいに、普段から周囲の人たちにも同じように接しているのだろう。(メンバーたちにも親戚のお家で作られたフルーツを配って歩いていたみたいに。)
惜しみなく人に与えることのできる人は本当にすてきな人だと、きっとこの世界に生きる多くの人が知っているのに、自分がそうなれる人はとてもとても少なくて、だからジンくんはやっぱりちょっと変わっている。とても身近で庶民的に感じさせてくれるし誰よりも常識的だけど、どこにも馴染んでなくて特別で美しい。
だからジンくんのような人になりたいと願っても、誰もジンくんにはなれない。


ジンくんはたくさんのコンテンツの撮影中「僕は僕のことを好きでいてくださるファンの皆さんが喜ぶようなことをやりたかったんです。なぜなら皆さんが楽しんでくれたら僕も楽しいので。」と話していたけれど、人に惜しみなく与えるジンくんのすてきさもきっとこの考え方から発生しているのだろう。
そのジンくんの哲学はおそらくずっと変わっていないもので『BON VOYAGE S2』ハワイでのナムジュンとの食事中に話していたことを思い出した。

僕を幸せにする為に、率直に言うと相手を利用するんだ。
相手を笑わせて、僕を笑わせるんだ。
悪く思えば、本当に悪くなって
僕がいつも明るく思って良い方に考えれば良くなるじゃん。
だから最初から良い方に考えると
良くなるんじゃないかっていうのも、僕の考えだよ。
僕はそうやって幸せになるから。

BON  VOYAGE S2より


がんばるジンくんをみて笑顔になった私たちの姿に、ジンくんもまた笑ってくれているのだろうか。
初めての場所に緊張している姿も、長く続いている番組の空気感に一瞬で適応して見せた賢い姿も、仲の良い人との番組ではとても自然な姿でいたり、たくさんの引き出しからその場に合わせて取り出してくれたジンくんの色々な姿はどれもとても可愛くて品があって、見ているだけで幸せな気分にさせてくれるものだった。

その中で出演したお酒を飲むコンテンツの中で「人生で何を一番したいですか?」と聞かれたジンくんは「僕たちがうまくいっている理由の一つがメンバー同士で望むことがあってもお互いに譲歩すること」だと答えた。
「誰かが自分が優れていると思っても自分が望むままに行動すればチームを維持することはとても大変です。
でもお互いにその一線を超えず、お互いがメンバーたちに譲り合うから僕たちのチームを維持できると僕は思っています。」と。
「人生で何を一番したいか?」という質問に対してのこの回答は、その質問自体考えるまでもないのだという意味にもとれる。

ジンくんは「僕は僕自身とBTSとファンの皆さん、それ以外にはあまり興味がないので」とも言っていたけれど、2022年のジンくんにとって、それはリップサービスでも何でもなく心から本当に思っていることなのだろう。
そしてその言葉たちに“嘘がない”と信頼させてくれることも考えてみれば当たり前のことではない。
ホソクくんのソロデビューのリスニングパーティーを覚えているだろうか?
その場にいた誰よりもオシャレをしてとてもかっこいい姿で現れたジンくんは、パーティー会場に知り合いがパンPDとPdoggさんしかいなくて、会場の隅でウェブトゥーン読んでホソクの曲だけ聴き終えたら会場を“脱出”したのだと話していた。そして帰宅後ゲームをしていたら心が癒されたと言っていたジンくんは、その美しい顔からは想像もできないオタクっぽさを持っていて、とてもとても可愛かった。自分を大きく見せようとしない飾らなさが堅い信頼に結びついているのだろう。
そしてジンくん自身、自分を飾らない自然な姿のおかげでこんなに世界の人から愛されることになったのだと自負しているところも面白い。(ランニングマン談)


すぐ目の前に迫ってきた、私たちがこれから迎える新しい季節はどんなものになるだろうか?
案外ときどきふらりとスマホの中に現われて全くさみしい思いなんてしないのかもしれないし、時が過ぎていくのはあっという間なのかもしれない。
それでも会えない時間の中で、ジンくんにもらった愛に見合う人になれるよう、自分を磨いていけたらいいと思っている。ジンくんのような人には到底なれないけれど、恥ずかしいことばかりの人生だけど、それでも今日よりも少しだけ良い人になっていたい。
そして何より、ジンくんが過ごすこれからの時間に心配事や辛いことが一つもなければいいと願っている。


余談だが、先日YouTubeのとあるVlogを流しながら忙しなく出かける準備をしていたら画面の中からジンくんの大きな声が聴こえてきた。画面に目をやるとVlogの主の食事中の姿が映っているだけで彼女がごはんを食べながら観ていたテレビの画面は映ってはいなかったけれど、おそらく『ランニングマン』を観ていたのではないかと思う。
予想外に知らない人の暮らしの喧騒の中から突然登場したジンくんの声はやっぱりかわいくて、思いもよらない場所で大好きな人にバッタリと偶然出くわした時のような気分で少し笑ってしまった。

気がつけば、いつの間にかあまりにも日常になってしまった。
薄情な私はよそ見をして自分の人生を楽しむけれど、ふと一人になった瞬間耳にするジンくんたちの歌声や笑い声は、まるで知らない街から自分の住む街に帰って来たときの窓の外の知ってる風景のようにとてもとても安心するのだ。
とても大切で、とても特別で、とても身近なものになりすぎてしまった。
だから離れてしまったらすごく寂しくなるんだろうか?
2年前なんて昨日のことみたいに覚えているから、なんてことないと思いながら、ふと謎のスイッチが入って大泣きしたりする日があるんだろうか。


いつかジンくんは言っていた。
君ががんばったことは僕が知ってるから
君自身さえそれを知っていればいいと。
だけど今は、これからは、君ががんばったことを私たちが知っているよ!と知っていて欲しい。
明るい姿だけを見せたくて努力していると話していた君からはみ出した、元気のなさを見透かして、コンサートのたびにこれで最後なのかもとフライングして泣きそうになっていた瞳に、気づいても気づかないふりをして、そうして通り過ぎた季節が、今はもう思い出になったように、あっという間にまた次の季節が巡るのだろう。

2周分の季節が巡って夏の足音が聞こえる頃には、
きっとすてきな歌を聴かせてね。
きっとまた、何時間もこっちがよそ見してしまうほどの長い時間、
一緒にゲームをして遊ぼうね。
その時に始まる新しい愛と冒険の続きは今以上にもっとすてきなものになるから。

「これからもがんばって、僕はいつも君を応援しているよ。」と言っていたすてきな人へ


これからもがんばって、
でもがんばりすぎないでね。
私はいつも君を応援しているよ。


砂浜に「ARMY♡」の文字を書いているジンくん



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