見出し画像

上下水道コンサルタントで働かれている方へのインタビュー

第七回目の建設取材をさせていただきました。今回は建設業界で働かれてから28年目という、長く建設業界に身を置かれているSuzuki様にお話を伺いました!28年のうち26年は上下水道コンサルタントとして働かれている方で、上下水道に携わっている方にお話をお聞きすることは初めてだったので、とても興味深かったです。きっと学生の方にはそういう道もあるのかという発見になると思います!ではご覧ください!

もし、「これ頑張ってるな」「良いね」と思ってもらえたら、ぜひnoteにスキやシェアをしてもらえたら嬉しいです!


【対象者様の情報】

・その会社で働いて何年目か:26年目
・建築業界に入って何年目か:28年目 
・給料:給与取得者の階層の中で上位5%
・職種:上下水道コンサルタント
・働く場所(オフィスか現場か):主にオフィス

【インタビュー内容】

(インタビュアー:梅野(以下、U)、今回のインタビュー対象者:Suzuki 様(以下、S)とします)

U:本日は貴重なお時間をいただきありがとうございます!SuzukiさんのXのプロフィールに掲載されていたリンクを拝見させていただいて、建設のコンサルタントとして働かれているということを知って、お話をお聞きしたいと思っていたので、こうして取材をお受けしてくださり嬉しいです!よろしくお願いいたします!

S:こちらこそよろしくお願いします。

U:ではさっそくインタビューに入っていきます。まず、現在の会社で働かれて何年目かを教えてください。

S:今の会社は26年目になります。

U:現在の会社に長くお勤めなのですね。では、建設業界に入ってから何年目になるのでしょうか?

S:その前に別の建設コンサルタントの会社に2年程いたので、28年目になります。

U:では現在、どの様な会社で働かれているかを教えていただいてもよろしいでしょうか。

S:はい、今は建設コンサルタントという大きな括りの中でも上下水道コンサルタントという、上下水道に特化した建設コンサルで働いています。

U:ありがとうございます。

取材風景1

設計、計画、経営等に関する依頼を受ける

U:具体的にどの様な案件を受けられているかというのも説明していただいてもよろしいでしょうか?

S:はい。上下水道に関する設計、計画、経営等に関する依頼を受けて、コンサルティングを行っています。主に公共事業、公益事業に関することです。発注者は水道事業や下水道事業で、設計、これからの計画や経営に関するコンサルティングをしてその対価を得てます。イメージしやすいものだと、水管橋が崩落したり、水が噴き出したりということをニュースで見ることがあると思うんですけれども、その様なことが起こらないように事前に調査・検討・計画をしたり、施設を作り替えるときの設計を行ったりをしています。あと身近なことであれば、水道料金ですね。私たちの身近な水道の料金をどれくらい値上げするべきかというのを検討することも行います。

U:ありがとうございます。主に建設の面から水道・下水道が機能する為のお仕事をされているのですね。

S:そうですね。水道も下水道も両方を対象としています。私の立場としては、今はその両方を見ている立場で、どちらかといえば専門は水道分野です。

U:ありがとうございます。建設コンサルタントという仕事についてもう少しご説明をお願いしてもよろしいでしょうか。

S:はい。分かりやすく言えば設計、設計に至るまでの計画や、経営の相談だったりと幅広い仕事を行います。設計では上下水道に関する図面を描くのはもちろん、その工事のための発注の積算支援等を行います。設計に至るまでの事業の計画もします。今後、10年20年の間に何をしなきゃいけないかといった計画を策定したり、事業経営に関する検討をしたりします。そういったところも含めて相談に乗るから、建設コンサルタントですね。
仕事の幅が広いのが特徴です。

U:丁寧にご説明いただき、ありがとうございます。

U:先ほどのお話の中の経営に関することの相談というのは、主に水道事業や下水道事業の経営の相談ということでしょうか?

S:そうです。お客さんは公共事業の発注者で、わかりやすく言えば役所です。役所は毎年、予算を取って、その予算を有効に使って・・・という一年を繰り返しているんですね。その中で例えば、来年いくらぐらいの予算が必要かって考えた時に、何をしなければならないか、いくらぐらいのお金がかかるか、となればこういう仕事をこのぐらいで予算を取ったらいかがでしょうかといった提案を行うこともあります。
継続してそのお客さんと関わり、良き相談相手になるというのが建設コンサルタントです。

U:具体的に説明してくださり、ありがとうございます。自分の中であまり理解ができていなかった部分の理解ができました!

水道料金の検討は民間に依頼される

U:先ほどお話していただいた水道料金の値上げについてなのですが、役所とかそういった行政が全部最初から最後まで決めていると思っていました。

S:決めるのは役所や市長といった行政なのですが、決定する為の判断材料を得るのに民間に検討の依頼を行っているというのが一般的です。役所の中にも、知識があって料金の検討といったことができる方はいるとは思いますが、料金改定を5〜10年やってないっていう所が多いんですよね。役所は異動もあるのでそのノウハウを知る職員が少なく、今の人材不足という状況もあり、検討は民間にお願いするという流れになっています。

U:ご丁寧にありがとうございます!そういった理由があるのですね。料金はどのぐらいの頻度で検討の依頼があるのでしょうか?

S:そうですね。考える機会は、最短で1年に1回ですね。これは決算が1年に1回あるので、その時に1年の経営状況を見て評価・検討が可能です。現実的に毎年料金は上げられないですよね。法律等では3年から5年に1回となっているので、それが料金改定の検討やその依頼の頻度の目安となっています。
この3年から5年という数字は、市長の任期や議員の任期の4年にも関係していて、この任期中に水道料金値上げを行うかどうかということにも関わってくることなんですよね。時期によって、どうしても今年は難しいということもあります。事業の計画は10年という期間で立てられることが多いので、中間で1回見直すと考えれば、3〜5年に1回という頻度は妥当なのかなと思います。最近、インフレで資材や電気代も値上がりしているので、そういう時にはどうしても料金を見直さざるを得ないというのはあります。

U:詳しくありがとうございます!お話を聞いて公民の授業を思い出して、自分の疑問となっていた部分が解消されました!ありがとうございます!

川上の部分に主に関わっている

U:お客様が公共事業関連だと、既存のお客様で固定されているのでしょうか?

S:一概に固定とは言えないです。長く付き合いがあるお客さんもいますし、その時だけだったりすることもあります。今後も付き合いたいと思われないとそうならないですよね。
お客さん側もその都度お願いする人を変えると説明するのが大変だと思うので、できればお客さんの事情をよく知っていて信頼できる人や会社に継続してもらいたいという気持ちはあると思います。

U:そうなのですね。そんなに頻繁に変えるようなイメージはなかったので、お聞きできて良かったです!

U:公共事業が中心ということでしたが、公共事業以外に民間からは受けているのですか?

S:受けていますよ。公共事業が100%ではないです。たまに民間企業からの依頼もります。水道事業を経営している役所以外にも、例えば空港とか、ダムとか色んな事業の中にも水に関わる施設があるんですよね。なので、その水回りの設計や計画だったりも受けたりすることはあります。大学も含まれますね。

U:そうなのですね。まとめた言い方をすると、結構大きい施設からの依頼が多いのですね。私は現在理系の学部に所属していて、実験等を行うのですがその液体の処理に関して水道というのは関わりが深いと思います。

S:確かにそうですね。水道といっても今の仕事ではあまり家の中の水道設備っていう感じではないですね。各家に至るまでの設備であったり、水源から水を処理したりといった川上の部分といえばイメージがしやすいですね。

U:ありがとうございます。仕事の内容についてをお聞きするのは一旦ここまでです。私が理解しやすいように丁寧に説明してくださり、ありがとうございました!!

浄水場 イメージ画像

1ヵ月の平均残業時間は20時間以下

U:では次に勤務時間について教えてください。

S:普段は9時から17時30分です。昼休みが1時間あるので実労働時間は7.5時間です。
残業時間は人によって少しばらつきがあるのですが、会社が発表している1ヵ月の平均残業時間は20時間以下です。

U:ありがとうございます。私が思っていたより残業時間が少なくて驚きました!

S:そうですね。昔は多かったというのが事実でして、私も昔は100時間や200時間弱ぐらい残業をしていた時代もあります(笑)。もちろんその状態がずっと1年続いていたというわけではなく、繁忙期に限りそれぐらい働いていました。過重労働が色々と社会的な問題になり、働き方改革から残業時間を減らそうという動きがあったので、今は残業時間が少なくなりました。

U:ありがとうございます。確かに26年もお勤めされていると、昔と変わったところっていうのを実際に体感されていますよね。
では次にどのくらいのお給料かというのもお聞きしてもよろしいですか?

S:そうですね。具体的な数値は控えますが、給与取得者の階層の中で上位5%の中に入るということです。会社がモデル年収というのを公表していないので、少し曖昧な数字で回答させてもらいました(笑)。

U:答えにくい質問だったのにも関わらず、お答えしていただきありがとうございます!

自分の生活に跳ね返ってくる部分にやりがいを感じる

U:では続いて、お仕事のやりがいについてお聞きしたいです。

S:そうですね。自分の生活に跳ね返ってくる部分にやりがいを感じます。
私は元々は、都市計画の方に興味があったんですね。新卒時の進路はそっちの方に進んで、仕事をしていく中で面白さを感じていました。そこで仕事をしていて、上下水道の方に興味をもったことから、そちらに方向転換をして今に至ります。もちろん今でも都市計画や街づくりに関心があります。現在は、街づくりを直接はしていませんが、今の水関連の仕事で街づくりを支援する立場になったと言えます。そういう意味では、街づくりをする技術者という位置にいると自分は捉えていて、街に住んでいる当事者として街に貢献できることがやりがいに繋がる部分です。
水道はほとんど水道管という形で地下に埋まってはいるのですが、水源からの取水や、水をきれいにする浄水場、タンクで水をためる配水池等、地上に出ているものもあるんですよね。町の中に所々あって地味で気づかれないようなものではありますが、時々地上に現れてくる構造物があることにも面白さを感じます。結果的にその水が使用者の方に届いて、直接的にありがとうございますと言われることはなくても、間接的に水圧が悪かったのが良くなったとか、水質が良くなったとか、美味しくなったとかも中々聞かないですけど、静かに水の問題が解決すれば良いなと思います。水に関する問題が解決して、生活しやすい街になる。自分の生活に跳ね返ってくるところが良いなと思って仕事をしています。
国内はもう水道が普及していて「あたりまえ」になっているので、水道に対してのありがたさがは普段は分かりにくいんですよね。
そんな中でも、災害や事故とか料金上げとかが話題になっていて、難しい問題を抱えているというのが今の水道です。問題があるということは解決しなきゃいけないことが沢山あるということなので、仕事としてやることがあって、まだまだ可能性があるのかなと思います。
一方、海外では日本の企業が上下水道の施設を新たに整備するのを担うことがあります。実際に私も何回かヘルプでいったことがあり、水道を新たに作るといった仕事にも関わりました。現地の役所の方や住民の方から、感謝の言葉をもらうこともあるので、今の日本では味わえない経験ができます。

U:詳しくありがとうございます!海外の部門もあるのですね!

S:そうですね。海外事業部に自分は所属していないのですが、ちょっと手伝ってくれって呼ばれた時に行くことがあるぐらいですね。

U:そうなのですね。普段は国内のお仕事だと、よりお仕事の違いというのを感じる場面が多いですよね。

海外業務における協議風景

都市計画の仕事もコンサルタントをしていた

U:都市計画の関連のお仕事をされていたというお話が先ほどございましたが、それはどんなお仕事をされていたのですか?

S:その仕事もコンサルタントでした。担当する事業は公共事業だったり、民間のデベロッパーの仕事だったりです。例をあげると、ニュータウンの開発とか、リゾートとかゴルフ場、あとディズニーシーができるまでの期間に交通量を調査するという仕事もありました。ただ、自分が入社した時はバブルがもう終わっていたので、リゾート開発が以前よりは落ち込んでいたんです。それまでは、スキーブームでスキー場を作ったり、それ以外ではゴルフ場を作ったりというのが多かったんです。
10年20年もリゾート系のものを長く続けている事業があったので、その中でまだ生き残っている部分をやっていた時もありました。その時代は中々新しく開発事業が動くことが無くて、公共事業側にシフトしつつあるなっていうのを2年間という短い期間だったんですけど、実際に関わって仕事をする中で感じていました。都市計画や街づくりで働いていくのも面白いと思ったんですけど、ある事業の際に上下水道の分野を担当することがありました。その際に、会社に詳しい人がおらず、でも自分は上下水道の分野に興味を持ち始めたので、詳しい人がいるところでやってみようかなという思いになりました。幅広く街づくりに関わっている建設コンサルタントは、あらゆる部門をやっている会社もあります。でも、その様々な分野の中に得意な部分と得意ではないけどやっているっていう部分もあります。得意な分野があるということは安定しているので、技術者も育ちやすいのですが、得意ではないけど事業としてやっているという部門だと、その部門の人材確保や育成は簡単ではないというのが現実です。
得意な分野を持っている会社を選ぶ。自分の場合は上下水道だったのですが、会社の「得意」と「自分の好き」がマッチしている所を選んで転職しました。得意と好きを見極めて会社を選んだ方が良いなというのは自分自身の実感です。得意と好きの両方が上手くマッチすればそれが1番です。

U:そうですね。自分の得意と好きというのがマッチできたら仕事の中の楽しさというのは大きいですよね。現在就職活動中なのでそこは私も大事にしたいと思っている部分です。
説明してくださった以前の仕事の内容が、時代背景が分かるものだったのでお話をお聞きしていてとても面白かったです!

図面通りに施工できないことも・・・

U:では次の話題に移らさせていただきます。今まで働かれていて、大変だったエピソードを教えてください。

S:そうですね。大変だったことは沢山ありますね(笑)。いっぱいあるのですが、1つ挙げるとすれば、現場では図面通りに施工ができないこともあることです。現場に行ってみて、「こんな設計はできない」と言われることが昔はよくありました。今も完全に無い訳ではないんですけど、そうなってしまった時の対応が大変でした。特に若い頃はそういう事態って突然やってきたとき困ります。こういう時の対処法は普段教育を受ける部分ではないので、急がないといけない中で、周りの方からの協力もいただきながらも頑張って対処するというのが大変でした。その時代はまだ建設コンサルタントの技術者を育てるという風土が発注者や建設会社にも少なからずある時代だったんですよね。自分はまだ20代で若手だったこともあり、失敗があっても、悪者を探したりするのではなく、皆でリカバリーして解決しましょうという空気を周りが作ってくれたのが良かった所だと思います。
その頃の時代は設計だけではなくて、工事の監理もお願いしますという依頼が今よりもありました。建築だと当たり前なんですけど、自分たちが設計したものを現場で施工する方と一緒に完成するまで関与していくことで色々と学ぶことが多かったです。
大変なこともありましたが、なんとかやり切って解決したので、後から振り返れば良い話になっていますね(笑)。

U:そうですよね。それはSuzukiさんはじめ、皆さんが頑張られたからですよね!!

S:ありがとうございます(笑)。
良い思い出だと、日本で色々な仕事をした後に海外のプロジェクトのメンバーに入らせてもらったことがあり、色んな企業と合同で1つのプロジェクトをやるという経験をしました。メンバーはゼネコンや、メーカー、役所、弁護士、銀行等の様々な業界・職種の方で、仕事を作るようなところから関与しました。
社会の色んな職業の人と一緒に仕事をするのは中々ない貴重な体験ですし、色んな発見をすることもできました。世の中の凄い方々を目の当たりにすることもできて、刺激を受けることができました。
こういったプロジェクトは会社の代表として参加しているので、任された役割を果たすことが大事です。プロジェクト自体は色々あって最終的には結果が得られなかったのですが、自分の役割を果たした結果、普段は関わらない方々から信頼を得ることができて、自信を持てる経験となったことや、次の仕事にその経験を活かすことができたことも良かったと思っています。こういった経験から、若い方には国内だけでなく海外の仕事にも是非関わってほしいなと思います。

U:ありがとうございます。長く働かれているからこそ様々な経験をされてきているのがより伝わりました。


取材風景2

設計者は現場での判断が求められる

U:先ほどの最初の方のお話の中で、現場でも働くとおっしゃってましたが、こういう設計だからこういう感じにしてほしいというのを現場で伝えるという解釈で合っておりますか?

S:設計の意図が伝わりきらないということがあると、その説明を行うことがあります。また、現場ではその設計だと〇〇の部分で難しいことがあるから変えたいっていう話があります。設計者としてどうしても譲れない設計(発注)者の思想もあるのですが、法律や基準があるので、それからは外れないようにしつつも設計思想をどこまで具現化するかというのを判断して、色んな現場の制約がある中で解決策を探っていくことが求められます。

U:そうなのですね。詳しく説明していただいたおかげで、場面までも思い浮かべることができました。水道や下水道でもそのようなことがあるのですね。

S:建築だと地上にあるので、設計段階で構造物と設備の取り合いを気を付けています。例えば、ダクトとか配管が貫通するかとか、設備がうまく機能できるかを考えつつ、実際に使う時の人の維持管理の動線や、メンテナンスの時の搬入もできるかというのを考慮して設計します。一方、地下に水道管を布設したり、トンネルでシールド工法を使うことがありますが、工事を行う時に想定していない事態が起こることがあります。これに対しては設計者の判断が求められます。

U:ご丁寧にありがとうございます。地下で作業するとなったら、見えにくいしその現場に行ってみないと分からない部分は結構多そうですね。

S:そうですね。先ほどは水道の例を挙げましたが、建築でも設計者が現場で判断を迫られることがあります。例えば、支持層という固い地層があって、そこまで杭を打ちましょうってなったときに、設計の段階で予めボーリング調査はしているんですけど、大体代表地点しかやっていないので、その中間の地点で固い地層の広がりや深さが設計時の想定と異なることがあります。そうすると杭が入らないとか、杭が短いとか、これで良いのか悪いのか等が議論になります。そのときに大丈夫ですとか、大丈夫じゃないので杭を増やしましょうという判断が求められます。もちろん、他の方もこれでいいかという確認はするのですが、最終判断を求められるのは設計者です。そういう部分でのせめぎ合いもあります(笑)。

U:そうだったんですね。全然知らなかったです。設計者は描くだけで終わりではないのですね。

水道管埋設工事のイメージ画像

街をよくすることに関心をもって考えた結果、今の道になった

U:前職での続きになってしまうのですが、都市開発や街づくりに興味をもった理由やきっかけをお聞きしたいです。

S:自分が住んでいた場所はかなり田舎だったので、田舎の不便さ等から街をなんとかできないのかなということを感じたことがあったから街づくりを選んだのだと思います。なんとなく感じた思いがきっかけになったと思います。初めの分岐点は、理系か文系かという選択肢で理系を選んだ所からです。もの作りをする側に行きたいという思いがあって、建設系とか機械系の分野に進みたいというのは思っていました。そこから自分が住む街を良くしたいという思いからどんなものがあるのかを調べて、興味をもったのだと思います。
今思うと、地元に対して何かできたかというとできていると言うのは難しいです(笑)。もしかしたら、地元の政治家になるキャリアの方が直接的に街づくりに貢献できたかもしれません(笑)。ただ、その街づくりの中でどの部分を担うかという観点では、作り手になることが自分には向いているかなということと、「街を良くすること」に関心を持って、それをするにはどのような仕事があるのかなというのを考えていった結果、今の道になったのだと思います。

街づくりの中で弱い立場の水道をなんとかできないかなと感じていた

U:では、Suzukiさんは社会人になってから大学院に進学されておりましたが、その理由をお聞きしてもよろしいでしょうか。

S:きっかけとやりたいことがあったので進学しました。
まずきっかけですが、先ほどの合同プロジェクトでの経験がきっかけでした。学部時代は大学院に行くなんて全く思っていなかったのですが、社会に出て働いて、海外の合同プロジェクトの仕事で他の会社の方々と関わったとき、初めの挨拶の際に自己紹介の中で、自分は何ができるかを最初に共有する機会がありました。皆さん、素晴らしい経歴で、社会人になってから留学した方や、大学院を卒業した方もいて、とても刺激的で、良い発見にもなりました。そこでの体験からいつか自分も大学院に進学できたらいいなと思っていました。仕事が色々あって、その後時間は経ちましたが、自分ができるタイミングがようやく見つかったので、進学したという流れです。
次にやりたいことですが、水道の研究、特に街づくりの弱い視点から立場の水道をなんとかしたいということに関心をもっていました。水道って色々問題が積山していて、社会的にもニュースなどで色々言われていることがあったりして、中々弱い存在なんですよね。
あまりイメージが伝わりづらいと思うので、是非”渇水”という映画を見てほしいです!その映画を見れば分かると思うんですけど、社会全体で水道を支えてあげなければいけないぐらいの状況なんですね。今は厚生労働省が水道を管轄していますが、水道以外のインフラはほぼ国土交通省なんです。水道だけ別の管轄だったことで、どこか孤立していたように見えました。そういった少し弱い立場の水道を街づくり側から見て、なんとかできないかなという思いがあって、そういう研究をする為に大学院に進学し、水道のことを取り上げて研究しました。令和6年度から国土交通省に移管するので、良くなっていくのではないかなと思います。
大学院は社会人向けだったので、皆さんも色んな問題意識をもってきていました。それぞれの研究テーマを研究して、再び企業に戻って活躍するという方が多いです。自分も研究のテーマを持って学べたというのも良かったのですが、それぞれ研究したいことがある方々から新たな刺激を受けることができたので、結果的には社会人大学院は自分の中では大きな出来事でした。

U:そうなのですね。場所にも寄るというのはもちろんあると思うのですが、社会人の方々も多い所もあるのですね。社会人になってから大学院に入るための勉強を、仕事もしながらするということって大変そうだなというイメージがあるのですが、実際には両立は大変でしたか?

S:そうですね。大変なこともあったと思うのですが、資格試験の延長みたいなものだったのでそこまで大変とは思っていなかったです。学生時代は、自分の勉強方法があまり確立していなくて、効率が悪い勉強をしてたと思うんですよね。
社会人になって、確かに時間がない中でも身に付けなければならないので、平日の夜や休みに時間を割いてやるしかないんですよね。資格ではなくても関心があることだったら、勉強とは思わないぐらいに夢中になってやれるんじゃないかなと思います。自分の仕事に直結することなので、学生時代より苦じゃないと思います。

U:おっしゃる通り仕事に直結するものですよね。確かに私も現在の大学での学びの方が自分にとって関心があることなので、高校生や中学生の時と比べて、学ぶことの楽しさは感じます。それと同じですよね。

S:そうですね。興味関心があれば取り組めるのかなと思いますし、危機感もあるかもしれないですね。でも危機感だけだと辛いので、興味関心でできた方が良いですね。

U:そうですね。興味関心があることの方が良いですよね。

水道展参加時の際の写真

建設業界にはビジネスチャンスが沢山ある

U:では次が最後の質問です。建設や建築に興味を持っている学生に一言お願いします!

S:はい。昔は少し閉鎖的な部分があったかもしれない建設業界が段々変わりつつあり、割とオープンになってきていて、建設以外の業界から新しい技術を必要としているのが現在の建設業界ですね。デジタル化などが今の建設には必要で、その分野に伸びしろがかなりあるんですよね。言い換えると、ビジネスチャンスが沢山あるということなので、スタートアップでも何でも建設分野をフィールドとしてやってみるのは良いかなと思います!今だと、人工衛星を使ったり、AIを使ったりというのをよく聞きますよね。そういった最新のテクノロジーを生かす場って意外と日常ではもう既にできてしまっています。でもそれを応用したのはまだまだで、特に建設業界はまだまだです。直接、土木建築に関わるのではなくても、情報とかシステムを利用して、それを生かす場というのはまだまだ十分にあるので、そういったアプローチでも関心を持ってもらえると嬉しいなと思います。

U:ありがとうございます。では取材は以上になります。上下水道に携わるお仕事をされている方にお話をお聞きすることが初めてで、知らないことが多かったのですが丁寧に説明していただいたおかげで建設コンサルタントという職種の理解が深まりました。今までインタビューをしてきた中で最も長く建設業界で働かれていたので時代背景のお話もお聞きできて興味深かったです。改めて本日はありがとうございました!

また取材記事を頑張ってアップしていきますので、繰り返しになりますが、ぜひnoteにスキやシェアをしてもらえたら嬉しいです!最後までお読みいただきありがとうございました!!

〈インタビュー・編集:梅野紗良〉


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?