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建築業界で培った知識を活かして空間デザイナーとして働かれている方へのインタビュー~建築業界から映像業界への転身~

第3回目の取材をさせていただきました。今回は建築業界での経験を活かして空間デザインの分野で働かれているNABE様(Twitterのアカウント:@Designabe)へのインタビューでした。自分のやりたいことを見据えて働かれている方でとても勉強になりました!
ではご覧ください!
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【対象者様の情報】

・その会社で働いて何年目か:2年半
・建築業界に入って何年目か:8年、9年
・給料:700~850万(映像制作会社) 600~750万(個人で経営されている会社)
・職種:空間デザイナー
・働く場所(オフィスか現場か):オフィス

取材風景1(左からNABE様、梅野)

【インタビュー内容】

U:今日はこのようなお時間を取っていただき、ありがとうございます!早速インタビューに入っていきますね!まず、現在働いている会社の概要について教えてください。

N:はい、現在私は映像制作会社で正社員として働いているだけでなく、個人で会社をもっている状況です。
まず、映像制作会社の方から説明しますね。自分の映像制作会社は分かりやすい例を上げると、 CMやミュージックビデオ、あとは映画ドラマなどの映像を作っている会社です。その会社の中の、映像による空間演出とか体験エンターテイメントに力を入れようとなってできた部署で働いております。
2つ目の個人の会社の方では、建築設計の仕事をやりつつ、少しデジタルよりのメタバース空間の設計とかをしております。メタバースの様な3D空間とかCGの技術を使ったようなサービスを作ったりしています。
あと、今はまだ立ち上げ中のものがあって・・・僕の地元が福島なんですけど、その福島にある理想資源を使って何か作っていこうという感じなのですが、今はとりあえずサウナを作って運営しようというような感じになっています。
そんな感じで大きく3つの仕事のセクションがあるっていう感じです。

U:そうなんですね!ありがとうございます。多岐にわたってお仕事をされているんですね!すごいです。


福島でのサウナ事業

U:先ほどその正社員を個人でやられている会社があるとのことだったのですが、今の正社員として働かれている方の会社と個人と会社ではどちらがメインですか? 

N:そうですね〜。収入は正社員がメインですけどマインドは個人のやつがメインって感じですね。なので正社員として働いていますが、そっちの方を個人的には副業って呼んでます(笑)。マインドはそっちが副業なので(笑)。

U:そうなんですね(笑)。では、その正社員として働いている方の会社に勤めてからは何年目ですか?

N:そうですね。今2年半になります。

U:ありがとうございます!ではその個人の方の会社は何年目になりますか?

N:個人のやつは去年の12月に立ち上げたばかりなので、まだ半年ぐらいですね。

U:そうなんですね!まだ個人の方は駆け出しみたいな感じなのですね!

U:では、アバウトな尋ね方になってしまうのですが、建設業界に入ってから何年目かというのを教えてください。

N:そうですね。大体8、9年になります!新卒でアトリエ設計事務所に入り、そこは6年ぐらい働きました。現在、正社員として働いている方の会社は業界的には建設業界ではないのですが、個人の会社の方もメインでがっつりというわけではないのですが、建築設計もやってはいるので8、9年目になります。

U:ありがとうございます!

建築と映像の接点ってどこ?

U:では現在のお話に戻るのですが、映像による空間演出や体験エンターテイメントに関わるお仕事と建築ってどこに接点があるのかを教えていただけますか?結構意外であまりそこが繋がってこなくて・・・

N:そうですね。先ほども説明したように、映像による空間演出とか体験エンターテイメントに関わるお仕事の例を上げると、プロジェクションマッピングに関わるお仕事もします。それだと、どういう形状に映像を映すとより没入感がある演出になるか等の、建物と映像というそれぞれ異なる要素がどうしたら合わさってくれるかを考えたりします。同じチーム内に映像のプロの方やエンジニアの方、アートディレクターの方などそれぞれの専門の人がいます。僕は建築とか空間側の方から意見を言うような立場です。
あと、遵法性のチェックも行います。具体的に言えば、避難誘導を隠しても問題ないか等のそういった空間の法的検証の仕事も行います。また、VRを作ったりすることもあるのでそういったときは普通に建築の知識を活かして空間の3Dを作ったりとかモデリングの技術を使う部分に接点があります。
固定されていない仕事が多いワークフローなので、絶対にこれという仕事ではないというイメージをもっていただけると分かりやすいと思います。

U:そうなんですね!ありがとうございます!


プロジェクションマッピングのイメージ画像

N:建築に関係ない仕事もします(笑)。子ども相手にワークショップをやったりとかもするので・・建築にすごいこだわっているというのではないので、建築ラブの人には結構向かない働き方とかキャリアかなって思います。

U:プロジェクションマッピングに映像の方が関わっているのは想像できるんですけど、建設の知識を持った方が関わってるっていうのを全く知らなかったです!びっくりしました!

N:チームラボさん(※会社名)とかでたまに建築の人の募集をしている時がありますよ。

U:そうなんですね!

N:そうです。大変らしいですけど(笑)プロジェクトマッピングの投影先ですが、どういう素材にその光を当てるかによって映像の見え方って変わるので・・・あと、ああいう大規模なものだと検証をする時に、3Dでやらなきゃいけないので、3Dを作れる人や建築の人が必要というのが、評価されている部分なんだろうなって感じがしますね。

U:ありがとうございます。納得しました!

きっかけは建物以外の成果物が欲しかったから

U:転職のきっかけというのが気になるのですが教えていただいてもよろしいですか?

N:以前の会社で6年くらい働いた頃に、仕事のワークフローに少し飽きを感じていました。転職をぼんやりと考えてサイトを見ていたんですけど、転職サイトで出てくるのって不動産会社や設計事務所、建設会社などで仕事をした上での成果物が建物になってしまうんですよね。建築なので当たり前と言えば当たり前なんですけど・・最終的に建物を建てるという部分に繋がってくる仕事だったら、もちろん中身のやることは違うという前提はありますが、不動産業界でも設計事務所でも自分がどこにいたいかっていうだけになってくるんですよね。
別の仕事をしようとなっても、今までやってきたことと全然関係ないところに進むのは違うかなと思ったので、他業界だけど自分のバックグラウンドである建築や空間のデザインができて生かせる仕事ってないかなって探してたまたま見つけたって感じです。

U:そういう流れだったんですね。

建築の設計をベースにした個人の会社を設立

U:ではその個人としての会社の方の内容や働き方を教えていただいてもよろしいですか?

N:個人の方は完全に僕一人だけの会社なんで自由にやってますね(笑)。基本的には建築の設計をベースにしています。ただ、副業だと管理建築士になれないんですよ。管理建築士になれないってことは建築士設計事務所を立ち上げられないんですよね。

U:副業だとそうなんですね!!

N:例えば戸建ての住宅とかだったらいいんですけど、もうちょっと大きいものを建築するってなったりすると、建築事務所じゃないと建築設計ができないんですよね。そのためには専念できる人が1人いなきゃいけないので、現状ではそういう新築の設計っていうのは基本的にあまりやらずに、リノベーションがメインという感じですね。
あとはメタバースをやっています。去年ぐらいにかなり話題になりましたよね。最近はそんなに聞かなくなっちゃいましたけど。メタバースだと、そのメタバース空間の設計やデザイン、モデリングをしたり、CGを作ったりという感じですね。
宿泊施設とかホテルとかのデザインから運営までを将来的にしたいなと考えているので、この部分でお金を少しずつ貯めていってその資金にしていきたいとなと考えています。

U:ご自身でやりたいことがあって、その具体的な構想がある感じなんですね。凄いです!

NABEさんが作られたメタバースの様子

サラリーマンとしての裁量労働型の働き方

U:では、映像会社の方の勤務時間を教えていただいてもよろしいですか?

N:一応11時から20時っていうのが基本給の算定では使われていて、休憩を入れて8時間です。ただ実態としては、うちのチームの契約は裁量労働型という契約でして・・・聞いたことありますか?裁量労働型は基本的には労働時間ベースではなく、アウトプットベースなんですよ。例えば、今日までにこの仕事をやらなきゃいけないっていうのがあったとして、それが1時間で終わればそこで仕事は終わりだし、8時間経っても終わらなかったら残業して終わらせないといけないみたいな感じです。個人がプロフェッショナルとして契約をしているので、時間で管理するというよりもできたもので評価するというような感じですね。

U:そのような働き方をされているのですね!

N:製造業とかではないので、時間かけた分だけ物が生産できるという訳ではないので・・・その辺は業種によると思いますね。

U:確かにおっしゃる通りです。その働き方で大体月何時間ぐらい働かれているかが分かれば教えていただきたいです。

N:もちろんです!先月は156時間でした。156時間って言ったのはいいものの、数字だけだと多いのか少ないのかパッとわからないですね(笑)。1か月の内平日を22日としたら1日の平均の仕事時間は7時間ですね。

U:だいたい毎月そのぐらい仕事されてますか?

N:いや、結構ばらつきがありますね。4月は200時間、3月は160時間、2月は98時間ですね。98時間って凄い暇だなあ(笑)。

U:かなりバラつきがありますね(笑)。そのバラつきは、何かのイベントがあるかないかが関係しているのですか?

N:そうですね。ちょうどゴールデンウィークに割と大きめの展示のイベントがあったので、今勤務時間を見てみたら5月の頭は毎日15時間ぐらい勤務していたことになっていますね(笑)。

U:それは凄いですね(笑)。

N:5月のその立て込んでいた期間以降は、5時間とか2時間の日がありますね。さっき言った製造業みたいに部品10個作らなきゃいけないとかではないので・・仕事がないときは本当にないので、すごく暇だったりします(笑)。そういう暇な時は自分の会社の仕事をする時間に当てています。

U:暇な時間がある時に個人の方のお仕事をすることで、有効的に時間を使うことができますよね。暇な時間以外にどういった時間に個人の方の仕事をされていますか?

N:そうですね。案件が重なったら忙しくても個人の方の仕事もします。でも、基本的にはできるだけずらしてやるようにしています。

U:その個人の会社の方のお仕事は1か月あたりどれぐらい働かれているのかというのをお聞きしたいのですが。

N:あまりコンスタントにやってる訳ではないので、大体月10時間代だと思います。そんなにまだ本格的に稼働していないので・・

U:確かに設立されてまだ間もないですよね。

NABEさんが作られたリノベーションのデザイン

サラリーマンと並行して会社を立ち上げた理由

U:では次の質問なのですが、個人で会社を立ち上げようとなった経緯をお聞きしたいです。

N:この話には税金が関わってくるので少し難しいかもしれないのでわからないところがあれば教えてくださいね。なんとなく聞いたことがあると思うのですが、働くと所得税がかかって、この所得税は収入が上がると税率が上がってくるものなんですね。

U:はい、なんとなくは知っています。

N:税金って個人としてだけでなく、会社の売り上げに対しても税金がかかってくるんですよね。その個人の税金と会社の税金っていうのが逆転する部分がありまして・・これ以上個で稼ぐのなら、会社の方が税金が少なくて済むよっていうラインがあって、そのラインに到達したからというのがまず1つ目の理由ですね。話が難しかったと思うのですが、ピンときましたか?

U:はい、わかりやすく説明していただいたので、なんとなく分かりました!

N:元々、正社員の仕事と副業的にも仕事をしていました。個人の確定申告はその正社員の仕事で稼いだお金と副業で稼いだお金を合わせなきゃいけなくて、その分税金がかかってしまうんですね。例えば、正社員が500万で副業で500万だったら合わせて1000万なので、これだと結構税金を多く払わないといけないんですよ。
でもこの副業の方を法人にしてしまうと個人とは別で法人500万とすることができて、個人の方とお金が合わさらないので、払う税金が少なくなるんですね。

U:そうなんですね!なるほど!

N:法人にかかってくる法人税というのは、別にいくら稼いでも一定なので・・という感じが会社を立ち上げた理由の1つですね。あとは、ホテル等の宿泊の事業をしようとした時に、一般的にはお金を借りてすることが多いんですよね。個人で住宅ローンを借りていると、それ以上は中々借りれないのですが、そんな時に法人だとお金を借りることができるんですね。個人のローンと法人のお金の管理は基本的に別なので・・ そうすると何かやりたい時は、法人の方でお金や信用を貯めて銀行でお金を借りて、何か長い事業をやるっていうのがしやすくなるというのもあるので、個人と独立したお財布を作るみたいなイメージですね。話が難しくなってしまいましたが、これも理由の1つです。

U:丁寧に説明していただいてありがとうございます。自分の事業としてやりたいことがあってそれをするのに法人があったら得だし、税金の面でも得だしというイメージですね。そういうことをしっかり考えられているのは凄いですし、勉強になります。

N:でも、2〜3年ぐらい前までは本当にそういうことも全然知らなかったんですよ。

U:では、転職してから知ったみたいな感じですか?

N:そうですね。転職した後ぐらいから個人としての仕事が結構増えてきたので、法人を立ち上げるのはどうかなと思い調べ始めて、そこから勉強して知識を得て立ち上げたという感じです。今は調べたらなんでも分かる時代なので、Googleで見れば結構いっぱい記事があるので学びやすいです。まだまだ勉強中という部分もあるのですが(笑)。

U:そうなんですね。きちんと勉強されていて凄いです。

クリーク・アンド・リバー社が提供する『すぐにつかえるメタバース』の設計をメタバース建築士として担当

他業界だと良くも悪くも相手のレベルを推し量ることができない

U:では、その会社員の方のお給料を教えていただくことって可能ですか?

N:全然問題ないですよ!去年だと700~850万ですね。結構建築業界ってマイナスというかちょっと暗い部分があって、労働時間も給与も色々言われることがありますが、自分のやり方次第だというのが学生さんに伝わればいいんですけど・・・

U:そうですね〜。その前の会社で働かれていた時よりは労働環境とかは改善したと感じますか?

N:そうですね。今の環境はかなり自由なので(笑)。それが環境の良さを感じれている部分だと思いますね。平日に打ち合わせが終わった後、買い物とかもできますし。
あと、建築の業界で建築士として働いている時は、皆同じ流れの似たような仕事をしているので、誰がどのぐらいのレベルなのかすぐ比較してしまう環境があります。でも、今の様な違う業界で色んな専門の人が集まっている様な環境で働いていると、良くも悪くもですけどその人がどのぐらいのレベルなのかをお互い推し量ることができないので、そこはある意味で働きやすい部分なのかなと思います。一級建築士という資格のおかげでその専門の人として扱ってもらえることが多いですね。というのも、建築業界だと一級建築士の資格を持っていて当たり前みたいな所があるので・・ その若さでとったんだ、すごいねーみたいに言っていただけることがためにありますけど、ある程度の年次に行くと大抵の人はなんか結構とってることが多かったりします。でも、自分が働いている環境では一級建築士の資格をもっている人がいないので、一級建築士というだけで重宝されるのでやりやすい部分がありますね(笑)。
ただ知識がそのままだと、取り残されてしまうので、個人の方のお仕事で設計の仕事をしたり、建築の友達と関わったりすることで情報をアップデートをするようにしていますね。

U:確かに昔のままという訳にはいかないですよね。そこをきちんと意識されているのが凄いです。

U:その個人でされている会社で稼いだお金をお聞きしたいのですが・・1年が経たれていないので予測値で構いませんので、教えていただいてもよろしいですか?

N:そうですね。予測値で600〜750万ぐらいになるのかなと思います。建築の仕事は、基本的に人件費しかかからない部分がいいと思いますね。 良くも悪くもなのかもしれないですけど・・だからこそ潰れないし・・潰れないからこそできちゃう会社がいっぱいあるっていうのも良くない点かもしれないですけど。パソコンが1個あれば図面が描けるし、初期投資がいらないからスタートしやすい事業なのが良い部分だなと思います!

U:確かにそうですね。自分の技術と知識さえあればできることですね。


NABEさんが作られたリノベーションのデザイン

N:あと、法人を建てていると限度がありますけど、視察とかも経費として扱えますね。プロジェクトの参考としてどこどこ見に行ったみたいなこともできますね。この話って本質とはちょっとずれますけど・・こういうお金の話とかは建築の設計をやっているところだと、あまりしない話ですけど、事務所経営という視点から見ると当然のことではあるんですよね。設計事務所の人たちは建築のプロではあるけど、経営のプロではないのでその辺を上手く出来たら良いんじゃないかなと思いますね。自分的にはこの建築はできるけど経営ができないという部分がブラックと呼ばれるところに繋がって1個の要因かなって思うので・・税金のことや、お金の仕組みみたいなことは自分の身を守る上で知っといた方が良いなっていうのは、自分が経営をしていて勉強しているからこそ思うことですね。アメリカだと、建築士を取る時にそういう経営の授業とかもしなきゃいけないので。

U:そうなんですね!

N:そうなんですよ。日本だと建築物を成り立たせるためにはどうするかっていう部分ばっかりなんですけど、アメリカの建築士試験はそういう事務所運営という部分も学べるので。
その辺のマインドの違いも海外と比べると歯がゆい部分があるなあと思います。まあ、アメリカしか知らないんですけど(笑)。

U: そんなに国で差があるのを全く知らなかったです!

仕事の進め方が一様でないからこそ色んな知識を知れるのが面白い

U:では次にお仕事のやりがいをお聞きしたいです。映像会社の方からお願いします。

N:そうですね。 先ほども少し言った部分と重なるのですが、ワークフローが一定じゃないので色んな知識を知れるのが面白いなと思いますね。新しいことをする都度、新しい表現を模索するために新しい技術とかツールを使ったりすることができるので。例をあげると、ある韓国のアイドルグループがオンラインライブをする時の話なんですけど、AIを使ってCG的な演出を加えたりとか。スポーツライブの仕事をしたり、子供のワークショップの仕事をしたり・・先月は NFTアートのイベントの展示に関わる仕事だったり、プラネタリウムの 映像を撮るのに北海道の国立公園にある山に登ってドローンで撮影するような仕事をしたりとか・・・毎回全然ジャンルが違う色んな仕事があって面白いですね。表面だけだと建築と関係ないじゃん!となるかもしれませんが、簡潔に言えば建築の括りにある空間などの知識があるからこそできる仕事もあるので。
こうやって例を挙げたら結局何やってんだって感じですけど(笑)。結構他の人にどういう仕事をしているか聞かれたときに説明に困っちゃって、色々やってますって誤魔化しちゃうんですけど(笑)。

U:確かに映像という観点に繋がる部分ではあっても、説明が難しそうです(笑)。

NFTアートのイベントの展示

人の楽しさとか気持ちよさはシンプルなものの積み重ね

U:色んな仕事をされた中で特にやってよかった仕事はありますか?

N:そうですね。良かったのは子供を対象にしたワークショップは結構良かったですね。

U:そのお話を詳しくお聞きしたいです!

N:そのワークショップでは、子供たち自身が何かを作ったりとか表現するというのを目標にしていて、アプリとかを独自で作ってみる内容もその一部としてあって、自ら手を動かして何かを作るという経験がこれからの人生のきっかけになったら良いなと感じましたね。今の時代スマホから面白いコンテンツがいっぱい見れて消費するという行動が多い中、何かを作るという作るという行動が体験できることも良かったと思いますし、アプリを作るって中々しないことだと思うのでそういう経験ができる場に携われたのが良かったなと思いますね。
どういう操作にしたら人は気持ちよく操作してくれるかとか、個人的にそういう部分は勉強になりましたし。建築でも同じようなことを考えたりするんですよね。例えば、リビングを作るってなった時にどういうリビングが良いかな?じゃあくつろげるリビングにしようか。それは何の要素で決められるのか・・形か温度か色なのかとか。建築で解けることはしてきましたが、それを別の分野では考えたことがなかったので。
例えばマリオのゲームとかだと、コインとったら「チャリン」という音が鳴って楽しいし、極端ですけどそれがあるからまたゲームしたいってなるみたいな。人の楽しさとか気持ちよさってシンプルなものの積み重ねなんだなというのをそのイベントで学ぶことができたので、自分にとっても良かったなって思いました。建築と関係ないことですけど(笑)。

U:いや、ありがとうございます。

NFTアートのイベントの展示

個人会社の良さは自分の好きにできること

U:ではその個人の方のお仕事のやりがいを教えていただいてもよろしいですか?

N:そうですね〜。自分の好きにできるという部分ですね。あと、まだそんなにたくさん案件をしているのではないので、今のところはそこが良いですね。ここは仕事が増えたら変わる部分だと思います。

U:確かに自分のペースでできるのは良いですね。

選手村の模型を作るのが大変

U:今まで働いてきての全ての中で構わないのですが、建設業界よりの印象的なエピソードを聞けたらなと思うのですが、教えていただけますか?

N:そうですね。これは前の会社で働いていた時の話なんですけど、東京オリンピックの選手村に関わる仕事をしまして、選手村全体の模型を作るのが大変でした。模型って大変そうじゃないですか。実際大変なんです(笑)。1つ1つ全部作るってなると大体3m×5mぐらいの大きさの模型になるので、それを作るときに毎日大変だなあって思いながら作ってましたね。

U:それは大変そうですね・・そんなに大きい模型を見たことがなく想像できないぐらいなので、実際にするってなったら大変そうです。

N:あとは、前職でタイルの色を決めるのに10種類ぐらいものタイルを作って見比べたりとかしたこともあります。そういう準備が大変だったなというのがありますね。

U:お仕事での準備は大事ですよね。

建築業界に入ったきっかけは大工さんの仕事ぶり

U:では、建築業界に入ったきっかけを教えていただいてもよろしいですか?

N:小さい頃に家を建ててる大工さんを見て凄く楽しそうだなと感じたのがきっかけですね。その時は家が好きっていうよりは高いところで仕事をするのが楽しそうみたいな、ジャングルジムのような感じで見えていたのかなと思います。それで大工さん楽しそうだなって繋がって、作ることと設計することについて知って、進学を考えた時に建築系かなと思い、そこに進みました。大工さんに興味をもったものの建築に進む流れって結構あるあるだと思うんですよね(笑)。
大学に進学して建築を勉強して、意匠設計という、簡単に言えば建築の外観や内部のデザインができるところを探しました。その中で、インテリアの仕事ができるし、都市や公園などの空間デザインの仕事もできて、商業もするし、ホテルもするし・・・みたいな感じの結構色んな仕事をしている会社に魅力を感じ、そこに入社しました。あと、日本国内だけでなく海外の仕事もあったので、仕事の幅が広いというのも魅力的に感じていました。

ストレスはレベルアップするために必要な要素でもある

U:では最後に、今回の取材内容が学生に向けたものなので、学生、特に就活生に何か一言ありましたらお願いします。

N:最初から失敗をしたくないという気持ちで行動にブレーキをかけるのは勿体ないことなのかなと思います。確かに失敗したくないという気持ちは分かるんですけど、その分行動が進まなかったら勿体ないなと・・何が言いたいかというと、建築って少しブラックな部分があるじゃないですか。もちろん、ブラック企業に対して良くないと思う部分はあります。でもその一方で、沢山仕事をすることは凄く大切なことだと思っています。仕事を突き詰めるという部分に深く入っていくなら、そういう暗い部分からも目を背けない方が良いと思います。
インスタで「建築ってブラックですか?」のような質問をもらったりするのですが、最初から慎重になりすぎになっている部分が少しあるのかなと思います。挫折や苦労をしてきたことがレベルアップに繋がるじゃないですか。例えば、プロのアスリートの方はかなり負荷をかけて頑張っている方もいますよね。ストレスはレベルアップするために必要な要素でもあると思っています。もちろん、無理して心や体を壊す必要はないと思います。その辺のどこまで突き詰めたいかという自分の考えと、環境を見極めることは凄く大事なことだなと最近すごく思いますね。

U:おっしゃる通りです。私もある程度の挫折や失敗はレベルアップには大事な要素だと思いますね。心に響きました。素敵なお話をありがとうございました!また、私が存じていない部分も説明しながらお話していただき、ありがとうございました。


自分のこれからやってみたいことがあって、それを仕事として実現するために行動されている部分が、どんな仕事をしたいかという部分に直面している就活生としてとても響きました。
これを読んで建設業界のリアルややりがいを少しでも感じてもらえたら幸いです!

また取材記事も頑張ってアップしていきますので、繰り返しになりますが、ぜひnoteにスキやシェアをしてもらえたら嬉しいです!最後までお読みいただきありがとうございました!!

〈インタビュー・編集:梅野紗良〉


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