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新婚・新築マイホーム購入の罠~妻を説得できるまでは賃貸のススメ

 コロナ大流行でのパラダイムシフトを迎えた現在、「マイホーム」という家族の夢の箱はもしかすると、近い将来には過去の遺産となるのかもしれませんが、


 そうは言っても、暫くは学歴社会だとか大手企業への就職だとか、いわゆる「バッチ社会」が一気に崩れることはないだろうという事と同様に、結婚とほぼ同時期、あるいは数年後の子供が生まれるタイミングで新築のマイホーム購入に至る人々も暫くは一定数居るのではないかと思います。


 ですので、今回は「新婚~数年の新築マンション購入の罠」ということで、またひとつ、お話をしようと思います。


■競売開始決定を受ける物件にはパターンがある。

 私は宅建士であることと、途中まで司法書士受験(挫折しましたが)に向け法律学習をしていたため、離婚後3社目に勤めた会社では、主に自己破産債務整理を検討される人たちの、「不動産」についての相談を受ける部門で働いていました。


 その窓口で不動産についての相談をされる方々というのは、「未来に起こりうる緊急事態」のために前もって相談してきているわけではなくて、なぜか決まって、すでに不動産が差押さえられ、競売開始決定がされたタイミングになってから慌てて連絡してこられる方々が殆どでした。


 そうした状況を迎えるに至った人々のご相談を数多く受けていると、細かい背景こそ様々でしたが、

競売開始決定までに至るケースとして確率の高い「パターン」というものがやっぱりいくつかあって、その中のひとつに新築のマンション購入から数年後の離婚という背景、という共通点があるものがありました。


 不動産というのは、新築で購入した場合、新築物件だったものが所有権が移転して「中古」となった瞬間に評価額の大幅下落が起こります。(※金融機関もいくら新築マンションと言っても、購入価格の8割程度までしか担保評価額は出しません。)

その後、よほど土地の価格の上昇が起こるとか、強烈な不動産バブルが起こるようなミラクルがないと、新築時の購入価格以上の価格で売却できることはまずないので、そもそも回収できない金銭となります。


 

■なぜ新婚・第1子出産前に新築を購入してしまうのか?

 もちろん、賃貸で住居を借りれば、一定の家賃が月々かかってくるわけですから、その支出を考えたら賃貸よりも購入した方がオトク!というのが不動産営業マンのキメセールストークであるわけなのですが、

それは長く住み続ければ、の話であって、それが出来なくなった時には比較にならないくらいのマイナスを発生させます。


 ですが、新婚ホヤホヤの場合、たとえ慎重な人格の方であっても、その辺のネジがどうしても緩むのです(笑)


 これは私の勝手な推測ですが、まず初婚の新妻というのは(全員ではないでしょうが)まだ家庭を運営する経済観念や現実の厳しさを実感する前の段階にいて、脳内にフリルが3段とか5段とかあったりするのです(←かつての私のことw)


なにせ、日本の女の子は幼い頃から「シンデレラ」だとか「白雪姫」だとか「リトルマーメイド」なんかを読み聞かされて育っていますから、結婚・新居・出産というものに、こう現実離れした「憧れ」や「夢」のようなファンタジー性が大人になってもまだ残りがちなんじゃないかと。(初回のみ)


そんなフリル脳では、債務とか言われてもよく分からない。ようやくフリルが剥離を開始するのは子供を産み落とした後、産後からです。


 一方、夫側もまだそんなカワイイ妻に、そして生まれて来る子供に対しても男として、パパとして「いい所を見せたい気持ち」があったりもして、

本当は毎月の支払いの事を考えると安いに越したことはないのだけれど、おとぎの世界でルンルンしている新妻に「中古物件にしない?」なんてとても言えないわけです。 


 今でこそ年を取って、辛酸を舐めまくった私は、こんな書き方をしていますけれども、かつての私も元夫から「新居に中古マンションを買う。」と言われた時には「は????」と思ってちょっと愕然としていたのです。

なにせフリルが7段ほどありましたので…(笑)

ですから、そんな奥さんの気持ちも、実はとてもよく理解できたりします。


■新築購入後、数年で離婚した場合に起こり得る破産リスク

 しかし、現実はそんなに甘くはありません。仮に数年で離婚してしまった場合、そこからすぐに物件が売れたとしても、ほぼ確実に多額の残債が残ることになります。

 そして、それが分かって、売るに売れずに元夫婦のどちらかが住み続けていたところ、ローンを払えなくなった、税金が払えなくなったという事が起こって差押え・競売開始決定通知が届くという状況になります。


 そのようなケースの中には、購入時の借入れを元ご夫婦お二人の名義で受けている場合というのもあり、その場合、双方が自己破産を申請することになるケースも少なくなく、夫婦の離婚が、単なる男女の別れだけでは済まなくなる問題となります。

 

 離婚後、慰謝料と養育費代わりに母子で結婚時代のマンションに住み続けるという約束の元、暮らしていたシングルマザーが、そのローンの支払いを元夫が滞ったために物件が競売開始決定となり、

出ていかなければならなくなった、それだけでなく、元夫は自己破産をするので養育費も貰えない、これからどうやって暮らしていけばよいか分からないというご相談もありました。

 

■新居購入なら、中古オシの理由

 こういう新婚&新築マイホーム購入+離婚による転落を数多く見た私は、その時になって初めて、「新居に中古マンションを選んだ元夫」によって、私たち母子は離婚後も守られたのかもしれないなと思うようになりました。


 私の元夫はというと、妻にカッコつける気持ちはあまり無かったと見られるのと(苦笑)、あとはスーパー不動産営業マンだったので、マンションを新築購入なんて、ハナから考えていなかったのでした。


 しかも、私たちが購入した中古物件は、新築からたった1年落ちのマンションであったことに加え、購入した2005年という年が、たまたま都内の中古マンションの数が飽和状態にあった年で、マンションの市場価格が全体的に大幅に下落していた年でもありました。


ですから、離婚後に売却した際にはナント微益が発生するという元夫も想像していなかったであろうミラクルが起こっていました。




 大きな利益ではありませんでしたが、6年間賃貸なら、その物件は月に約20万円ほどになる部屋でしたので、利益を省いたとしても単純計算で1440万円、3回の更新があったと考えるとちょうど1500万円ものお金が浮いたことになります。


 中古購入であっても、なかなか購入価格以上の金額で売却できるというラッキーは起こらないと思いますが、間違いなく新築購入よりはその可能性はぐっと上がります。

 もう一つ、言えるとすれば、購入時に「売るかもしれない」という出口の時のことを考えること、そして、そこへ加えて「貸すかもしれない」ということについても考えておくと、購入時にはそのシーンでの条件も加味して買うことになり、大きなリスクを回避できる可能性は相当上がります。

 例えば、仮にローンが払えなくなったとしても、月々の支払以上の家賃が取れる物件だと分かっていれば、売却以外にひとつ選択肢が増えますし、差押えられたり、破産するようなことはきっと免れることが出来るからです。


やはり、女の子には幼少期から「おしん」「千と千尋の神隠し」でも読み聞かせ、あとはフリルのついた奥様をいかに説得するか、となりますが、

それが難しいようでしたら、是非このnoteの記事をご活用いただければと思います(笑)。


それでは、皆さまどうぞ末永くお幸せに。






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