日本庭園×カレーの世界 その2

その1(https://note.mu/ifitself/n/n8be150dafd37)では飛鳥時代~奈良時代の日本庭園について解説しましたが、今回は平安時代、まさに日本庭園の文化が花開いた時代です。

平安時代前半のお庭。

相変わらずのクオリティの低さは置いておいて、平安時代前半といえば、優雅で豪華な平安貴族の象徴、寝殿造庭園です。写真は一応、東三条殿をモデルにして作りました。建物の南側に整備された池には複数の島があり、反橋や平橋で繋がれています。中心の建物と池の間の広間では様々な儀式が行われていました。望月の~欠けたるたることもなしと思えば~

池の両脇に、屋根付きの桟橋みたいなチキンカツが飛び出しているのが特徴的……と言いたいところですが、実際は必ずしもよくあるものではなく、寝殿造と言いながらももっと簡素な建物も多かったようです。

なお、水が流れ込む小川の部分は、「曲水の宴」が出来るように蛇行し、上流は荒磯を模したような仕様になっていることもあります。小川の上流から流した盃が下流に流れ着くまでに短歌を詠むという平安時代の優雅な遊びですね。

曲水の宴のための庭は、細長い土地でも作ることが出来るため、現代建築でも狭い空間を憩いの場にするために取り入れられることがあります。下の写真は、横浜市内のとある学校の中庭です。分かる人が見たら一瞬で「あ、短歌詠むやつ」って分かります。

そして、平安後期になると出てくるのが、浄土式庭園です。カレーは、平等院鳳凰堂をイメージして作ったつもりです。だいぶやる気がなさそうな出来なのは気のせいです。「平等院鳳凰堂だ」と強い気持ちで念じながら見ていると、だんだん10円玉に見えてくるはずです。

ご存知の通りこの頃は、釈迦の教えが衰えて世の中が乱れるという「末法思想」が流行し、死後の極楽浄土に救いを求めて浄土宗を信仰する人が増えました。

浄土式庭園は、極楽浄土を模して作られたもので、池には蓮が植えられ(お釈迦さまと言えば蓮です)、向こう岸では仏堂でお釈迦さまが待っています。ちなみに「西方浄土」と言われるように、仏道は敷地の西側にあり、東側の池を見渡すような造りになっています。

極楽浄土の思想自体は東アジア全体にあるものですが、実際にこのような臨地伽藍の庭園が造られたのは日本だけで、中国では概念図として残されているだけらしいです。寝殿造庭園の文化があり、作庭の技術があったからこそ実現したのかもしれないですね。

さて、次回は、「お金がなくて池がつくれないどうしよう!」「みんな大好き!夢窓疎石」の2本立てです。お楽しみにー。


【使用カレー】(上から順)

・トマトと豚のふじさわカレー

藤沢駅内のアンテナショップで買いました。トマトの酸味がけっこう効いてます。

・無印良品 シチリアレモンのクリーミーチキンカレー

レモン系もクリーム系もそんなに好きじゃないのに、絶妙なバランスで美味しく食べられました。

・ハウス 銀座デリーのバターチキンカレー

私はハウスのレトルトカレーには絶大なる信頼を寄せている(以前、レトルトカレー30種類を食べ比べる会に行ったことがあり、ハウスの商品の美味しさが圧倒的でした)のですが、これはいまいち私の好きなバターチキンカレーの香りが入っていませんでした。カルダモンとグローブを臭いくらい効かせて欲しいのよね。


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