日本庭園×カレーの世界

日本庭園が好きです。
庭園とは、いわば現代美術のインスタレーションと同じで、立体の形のみならず、聴覚、嗅覚、触覚、そして時間の経過などをも自由に表現出来るジャンルだと思うのですが、アートとしてはいまいちマイナーですよね。

日本庭園の楽しさを多くの人にもっと気軽に知ってもらいたい。ある日、夕飯に好物のカレーを食べながらそう考えていて、ふと思いつきました。
カレーって、日本庭園に似てません? ルーの 池があってご飯の岸辺があり、ジャガイモの岩が置かれているじゃないですか。

そこで、「庭園カレー」と称して、カレーを使って日本庭園の歴史を解説してみようと思います。

なんか難しそう……と思ってしまった方のために、私の庭園カレー試作1号の作品をお見せします。京都、龍安寺です。ここの石庭は、余計な要素の一切を排し、純粋に石組だけで世界を簡潔させていることが魅力です。石組の配置は黄金比で説明できるという説もあり、日本を代表する座視式の枯山水ですが、作庭年代や作者など謎が多いことでも知られています。↓

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さて、これで目指すべきクオリティのハードルの驚異的な低さを実感してもらえたと思います。安心してください。このくらいの地を這う完成度で行こうと思ってます。なお、カレーピラフとバジルソースとから揚げなので味は美味しかったです。

というわけで、まずは典型的な飛鳥時代の庭園を紹介します。
飛鳥時代の資料は少ないのですが、上ノ宮遺跡、石神遺跡などを参考にして、単純化してみました。

日本庭園という言葉からイメージされる、ミニチュアの山や池をアシンメトリーに配置してある構成とはかけ離れているのが分かりますね。
幾何学的なシンメトリーな形で、池と岸の間に石を敷き詰めるのが特徴です。噴水のような人工的オブジェを配置することもあります。
この時代の庭園は、中国から伝わってきた技術を倣って作ったものだと考えられています。さらに言えば、中国の庭園は、シルクロードを通って伝わってきた西洋の庭園の影響も受けているはずなので、どことなく西洋庭園のようなテイストを感じるものそのせいかもしれません。

そして次に、奈良時代の典型的な庭園を紹介します。主に平城京遺跡の周辺に、複数の庭園の痕跡が発掘されています。

飛鳥時代の幾何学的な直線は姿を消し、自然に近い曲線で、敷石された州浜の緩やかな傾斜の風景が再現されています。
また、灯籠や噴水のような人工的なオブジェの代わりに、自然の岩を使った景石が置かれるようになりました。
いわゆる日本伝統の作庭の思想が、ここで芽生えていることが分かります。

奈良時代と言えば、万葉仮名が作られて、日本人の話し言葉をそのまま記録することが可能になった時代です。
また、飛鳥時代に伝来した仏教が、独自の日本仏教として定着した時代でもあります。
日本が大陸からの影響を離れて、日本人としてオリジナルの、後の「もののあはれ」や「わび・さび」にも通じるような文化を形成し始めたのが奈良時代であることが、日本庭園からも読み取ることが出来るのです。

次回は平安時代です。需要がなくても続けるので乞うご期待!

【使用カレー】
・飛鳥時代:無印良品「ジンジャーパネン」
タイのレッドカレーに近いですが、甘みと辛味が共に強めです。ご飯が進みます。
・奈良時代:無印良品「プラウンマサラ」
エビのビスクのスープをカレーにしたようなクリーミーさ。スパイシー派としては若干物足りなさもありますが、リゾットにしたらワインに合うかも。



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