ガウォーク

『超時空要塞マクロス』の思い出

先日、ふと『超時空要塞マクロス』劇場版の『愛・おぼえていますか』を見てみた。

『超時空要塞マクロス』テレビシリーズが放映開始したのが1982年なので、小学生だったワタクシはリアルタイムで放映を見ていた。

当時はガンダムブームで、『マクロス』は次世代ロボットアニメとして大々的に宣伝されていた記憶がある。少年時代のワタクシもメチャクチャ心躍らせて放映開始を待っていた(ちなみに『機動戦士ガンダム』放送開始79年当時の視聴率はよくなかったらしい。ガンダムブームに火が付いたのは再放送から)。

『マクロス』にはバルキリーというメカが登場するのだけれど、F-14トムキャットに似た戦闘機がロボットに可変する、という当時としてはかなり斬新な設定に萌えた。いまでは普通になった「可変ロボ」だが、そのハシリになったメカだった。戦闘機(ファイター)とロボット(バトロイド)の中間形態である「ガウォーク」(トップ画像)も奇抜だった。

『マクロス』にはバルキリーのほかにも陸戦用の「デストロイド」というロボットが登場して、これがまた武骨なミリタリーデザインでカッコよかった。いま、ネットで画像を掘り起こしてみたけれど「近接戦闘用のスパルタンが好きだったな〜」て思い出した。

『マクロス』は異星人との戦争を描いているのだけど、異星人の兵器のデザインもまた、マシーネンクリーガーぽくてカッコいいのだった。クァドラン・ローが個人的に好き(下の動画に出てくる赤いやつ)。

極めつけが、内部に街があるほど超巨大な宇宙船であるマクロス自身も人型ロボに変形することだ。なにせ腕一本が空母なのだから規格外の巨大さ。変形するたびに中の街が破壊される大惨事になるのだけれど、子供心に「そこまでして変形するメリットあるのかな?」なんて思っていた。

そんな感じで大当たり間違い無しの『マクロス』だったのだが、放映がはじまり数回見たあたりで当時のワタクシは『マクロス』を見ることをやめてしまった。

その最大の理由は「全然ロボット出てこねえし、当然、戦闘もない」からだった。

主人公とヒロインのチャラチャラした恋愛ドラマを延々と見せられ「今日もロボットが出てこなかった」という回が数話つづいた。そうなるとロボット目当ての少年の心が離れていくのは必然だった。

そして三十数年の時を経て「あれは自分がまだ子供で幼かったから理解できなかっただけなのかもしれない。大人になった今見たら面白いのかも」と思い、冒頭にあった劇場版『愛・おぼえていますか』を見てみることにしたのだった。

で、結果は「大人になって見てもやっぱりつまんねえ」だった。

『マクロス』劇場版が公開された1984年は『風の谷のナウシカ』『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』も公開された当たり年だったそうで、『マクロス』劇場版も非常に評価が高かったそうだ。

YouTubeにあったこの冒頭の戦闘シーンで一目瞭然だが、描き込みとアクションのクオリティーの高さがハンパない。コンピュータの作画ではなくセル画手書きでこのクオリテイーはほんとに信じられない。

しかし、この超ハイクオリティー戦闘シーンのあとは長々とチャラいラブコメを見せられる。やっぱりな、である。

さらに閉口したのが女性蔑視のひどさだった。「そう感じるのは現在の感覚で鑑賞しているから。当時はそういう時代だった」とも一瞬おもったが、同時代のほかの作品を思い返してみても、ここまで女性蔑視がひどい作品はないように思う。

主人公は、階級が上の人物に対して「女性だから」という理由だけで舐めた口をきく。だけでなく命令まで無視している。規律の厳しい軍のなかでこんな言動は本当なら許されないはずだ。

ヒロインも男に都合のいいビッチに描かれているし、ほかにも女性を性の対象としか描いていないシーンが散見された。

最終的なマクロス評は「やっぱりメカデザインだけだったなあ」であったが、これはあくまで個人の意見です。なにせワタクシはいまやカルト映画になっている『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』さえも退屈だった人間ですから。ちなみに漫画の『うる星やつら』は全巻もっていました。

バルキリーのプラモデルでも購入しようかな。

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