第117回医師国家試験D問題

医師国家試験第117回D問題を解いてみて、間違った問題としっくりこない問題を列挙。
難しいと思ったが、正答率の高い問題を結構間違えているので勉強不足だろう。
2023年7月に回答、正答率は51/75=68%。

・良かった点
特になし

・悪かった点
二択まで絞り込んだ問題をことごとく外した。細かい暗記をしていなかったので、そのツケが回っているのだと思う。
よくわからない思考回路で間違えている問題が何問もあった。
問題文読んでない。本番なら集中できるかなあ。

117D1

傷を見て傷害の原因物を選ぶ問題。
ハサミでもよくない? って思ったけどさすがに包丁。

117D3

てんかん発作(と類似疾患)の焦点と症状
a 口をもぐもぐ       →側頭葉
b 突然眠り込む       →ナルコレプシー
c 目の前がチカチカする   →後頭葉てんかん
d 両上肢をピクッと動かす  →ミオクロニー欠神てんかん
e 全身強直後にけいれんする →強直間代発作(全般発作のため焦点なし)

・ミオクロニー欠神てんかん:小児のてんかんで、発作時の運動は上肢を中心とする。知的障害を伴うことが多い。

てんかんの動きは文字で説明されてもわからなくて辛い。種類も多くて覚えるのが難しい。

117D4

腎硬化症について正しいのはどれか。
a 初期から尿に赤血球円柱が出現する。
b しばしばネフローゼ症候群を呈する。
c 140/90mmHg以下の降圧は推奨されない。
d レニン・アンジオテンシン系抑制薬は禁忌である。
e 新規に透析を導入する原因疾患として患者数が増加傾向である。

答え:e
eだなあと思ったが、なぜかdが捨て切れなくて迷った。最近言われた「急性腎障害のときはACE阻害薬ダメ」と混合していた。

・ACE阻害薬とAKI:ACE阻害薬はATIIを阻害し、輸出細動脈を拡張→GFR↓のためAKIを悪化させる。

117D5

令和元年の年齢階級別にみた不慮の事故による死因別割合(%)を別に示す。
Aはどれか。


a 窒息
b 交通事故
c 溺死および溺水
d 煙、火および火災
e 転倒・転落・墜落

答え:a
赤ん坊(最多の死亡理由が窒息のはず)と高齢者で多いので窒息と考えた。80歳以上の20%近く窒息死でけっこうびっくり。厚生省によると80歳以上の食物による窒息死は2,500件以上、そのうち43%が1月(モチ?)、男性は女性の2.6倍(なぜ?)。

117D6

抗リン脂質抗体症候群で正しいのはどれか。
a 血小板が増加する。
b 永続的な妊娠の禁止を要する。
c プロトロンビン時間が短縮する。
d 妊娠高血圧症候群の高リスクである。
e 副腎皮質ステロイドが第一選択薬である。

答え:e→d、正答率52%
dとeで迷い、eにして間違えた。dもそうだったよな……と思ったけど、自己免疫性疾患でステロイドを選択肢に出されたら捨てられない。

・抗リン脂質抗体症候群の治療:二時予防として低用量アスピリン、ワーファリン、ヒドロキシクロロキン(妊娠合併)。抗体陽性のみの場合、明確な治療法はない。
・ステロイドが第一選択にならない自己免疫性疾患:抗リン脂質抗体症候群、原発性胆汁性胆管炎、Guillain-Barré症候群

117D7

定期予防接種の導入で小児における髄膜炎の発生頻度が著明に減少した感染症はどれか。2つ選べ。
a 結核
b 百日咳
c 日本脳炎
d 肺炎球菌感染症
e インフルエンザ桿菌感染症

答え:a, d→d, e、74%
インフルエンザ桿菌が定期接種なことを忘れていて、苦し紛れに結核を選んだら間違えてた。忘れてた、というより覚えた記憶もない……。というより、いまだに定期接種のワクチンを全部言える自信がない……。

・乳児の髄膜炎の起因菌:連鎖球菌>大腸菌
・乳児の髄膜炎の起因菌:Hib>肺炎球菌
・幼児の髄膜炎の起因菌:肺炎球菌>Hib

117D9

家族性高コレステロール血症〈FH〉で最も認められるのはどれか。
a 角膜混濁
b 扁桃腫大
c 赤血球の変形
d 手掌線条黄色腫
e アキレス腱の肥厚

答え:e
a 角膜混濁      →レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ欠損症(家族性LCAT欠損症)なるもので発生。FHの眼所見は眼瞼黄色腫(他の疾患でもできるため、あまり診断的価値はない)
b 扁桃腫大
c 赤血球の変形
d 手掌線条黄色腫   →高脂血症で見られるが、「最も認められる」ではない?
e アキレス腱の肥厚

117D11

肘内障でみられるのはどれか。2つ選べ。
a 上肢下垂位
b 前腕回内位
c 肘関節腫脹
d 肘関節発赤
e 肘関節伸展位

答え:a, e→a, b、正答率16%
a, b, eで迷い、手を引っ張られた後を想像して答えたら間違えた。脱臼した後の骨を想像してみれば、輪状靱帯から外れているから、確かに前腕は回内位のはずだ。
患者は片手だけお岩さんになる。

・肘内障の整復:回外させつつ屈曲を強制

117D13
ボールなどによる前胸部打撲後の心停止について正しいのはどれか。
a 高齢者での報告例が多い。
b 死亡に至ることはまれである。
c 受傷後、1週間前後に心停止が生じる。
d 速やかなAEDの使用が予後改善に有効である。
e 迷走神経反射から生じる洞性徐脈が原因である。

答え:d
「不整脈になる」というぼんやりとした知識でdを選んだ。
正式名称は心臓震盪で、心室細動による心停止が死亡の原因となる。
ボール競技などで多く、スポーツを盛んに行う若年で多い。小児に多い理由には、胸郭が柔らかいという理由もある。

・心停止:脈が触れない状態⇔心静止(心電図波形がフラット)

117D14

手根管症候群でみられるのはどれか。
a 頸部痛
b 小指球筋の萎縮
c 手関節の背屈困難
d 腕橈骨筋反射の亢進
e 母指から環指橈側の感覚障害

答え:e
b 手根管症候群は母指球

117D15

腎障害を起こす頻度が高い薬剤はどれか。
a スタチン
b 炭酸リチウム
c 塩酸メトホルミン
d カルシウム拮抗薬
e 副腎皮質ステロイド

答え:e→b、正答率46%
そういえばリチウムも起こすんだったの問題。
もし思い出したとしても、ステロイドとどっちが多いか迷った気がする。
リチウムの添付文書見ても頻度不明。

117D19

ビグアナイド→乳酸アシドーシスの問題。糖尿病治療薬は多すぎて副作用を覚え切れてない。
・呼気アセトン臭→糖尿病の口臭

117D20

29歳の女性(0妊0産)。腹部膨満感を主訴に来院した。半年前から体外受精-胚移植の不妊治療を受けており、4日前に14個採卵した。受精卵はすべて凍結保存されている。意識は清明。身長154cm、体重52kg(2日で2kg増量)。体温36.8℃。脈拍80/分、整。血圧104/56mmHg。呼吸数28/分。SpO2 96%(room air)。腹部は軟で、膨隆し波動を認める。内診で子宮は正常大、可動性は良好である。腹部超音波検査で、径10cmの両側卵巣腫大と多量の腹水貯留とを認める。心エコー検査で異常を認めない。血液所見:赤血球565万、Hb 16.8g/dL、Ht 51%、白血球11,800、血小板37万、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)、血漿フィブリノゲン580mg/dL(基準186~355)、Dダイマー2.9μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:総蛋白5.6g/dL、アルブミン3.0g/dL、尿素窒素26mg/dL、クレアチニン0.81mg/dL、Na 134mEq/L、K 5.1mEq/L、Cl 96mEq/L。
腹水貯留の原因となるのはどれか。
a 腹膜炎
b 右心不全
c 腎機能障害
d 門脈圧亢進
e 血管透過性亢進

答え:c→e、正答率97%
わからなくて苦し紛れのeだった。フィブリノゲン↑、Dダイマー↑、アルブミン↓でネフローゼ? でもなんで? と思ったけど、エストロゲン作用だった。不妊治療を書いてある意味をよく理解していなかった。

117D21

画像がなかったため、一番外陰部と離れている場所を選んだ。medu 4には画像がある不思議。

117D22

亜急性連合脊髄変性症の神経所見
a 側方注視時に左右に分離する複視を認める。
b 鼻指鼻試験で測定障害を呈する。
c 上肢Barré徴候が陽性である。
d Romberg徴候が陽性である。
e アキレス腱反射が亢進する。

答え:d
亜急性連合脊髄変性症の神経所見。反射亢進も起こるらしいが、「夜にふらつく」からRomberg?

117D24

10歳の男児。繰り返す鼻出血と皮下出血を主訴に母親に連れられて来院した。乳児期から同様の症状を繰り返しており、鼻出血は数時間以上止血困難なことがたびたびある。父親も出血傾向があるという。意識は清明。眼瞼結膜は軽度貧血様で、眼球結膜に黄染を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側下腿に紫斑を認める。血液所見:赤血球328万、Hb 10.2g/dL、Ht 31%、白血球8,400、血小板35万、出血時間10分以上(基準7分以下)、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)、APTT 50.3秒(基準対照32.2)、血漿フィブリノゲン280mg/dL(基準186~355)、血清FDP 5μg/mL(基準10以下)。ADP血小板凝集能は正常。
最も考えられるのはどれか。
a 血友病A
b 単純性紫斑
c 血小板無力症
d ビタミンK 欠乏症
e von Willebrand病

答え:a→e、正答率92%
「ADP血小板凝集能は正常」だけ見て「出血時間問題なし」と思い込んでた。前の方に鼻出血云々書いてあるのを完全に読み飛ばしてた。

・ADP血小板凝集能:血小板がvon Willebrand因子で接着→ADP放出→自己活性化の順序のため、von Willebrand病でもADP血小板凝集能は正常なはず。

検査か血小板凝集のメカニズムを知っていれば、正常と限らないと思えたかもしれない。

117D25

86歳の男性。定期受診で来院した。高血圧症で自宅近くの診療所に通院し、10年前から現在の降圧薬を内服しているが、最近、残薬が多い。体調は良いが、この1年間で体重が約5kg減少したことが気になるという。2か月前に体重減少の精査のために総合病院を紹介され、悪性腫瘍のスクリーニングと内分泌検査が施行されたが、異常は指摘されなかった。1年前に妻と死別してから独居で、最近、小食になったと感じている。以前は、散歩や買い物、友人訪問などでほぼ毎日外出していたが、最近は外出が減っている。身長165cm、体重51kg。脈拍72/分、整。血圧142/86mmHg。家庭血圧130台/70台。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球418万、Hb 13.8g/dL、Ht 40%、白血球6,800、血小板18万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン3.8g/dL、尿素窒素32mg/dL、クレアチニン1.5mg/dL、eGFR 34.7mL/分/1.73m2、尿酸5.8mg/dL、総コレステロール190mg/dL、中性脂肪128mg/dL、Na 141mEq/L、K 4.5mEq/L、Cl 104mEq/L、Ca 8.8mg/dL、P 4.6mg/dL。採血結果は最近1年間で大きな変化はない。
この患者への対応で適切なのはどれか。3つ選べ。
a 栄養指導
b 自宅安静
c 降圧薬減量
d 認知機能評価
e 介護認定の申請

答え:a, c, e→a, d, e、正答率54%
aとdはいいとしてeをやる意味がわからない。血圧目標値は135/85(後期高齢者)で満たしているから「食べてない→脱水」を起こす可能性を考えて減らすべきかなと思ったが間違えた。
なんでeをやるんだろう? するにしても認知症と診断できてからじゃないかと思う。

117D29

60歳の女性。労作時息切れを主訴に来院した。15年前から寒冷時に手指の蒼白化や腫脹を自覚していた。9か月前から両足部の冷感としびれ感が出現し、6か月前に右母趾尖に潰瘍が出現した。同じころから階段や坂道を昇る際の息切れを自覚するようになり、増悪したため受診した。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴と飲酒歴はない。内服薬はない。身長153cm、体重51kg。体温36.4℃。脈拍92/分、整。血圧124/92mmHg。呼吸数16/分。SpO2 は測定不能。顔面や四肢に多発する斑状の毛細血管拡張を認める。両手指は腫脹し、顔面と両手指から手背に軽度の皮膚硬化を認める。両足趾部と足底にチアノーゼ、右母趾尖に潰瘍を認める。頸静脈の怒張を認めない。心音はII音の亢進を認める。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。四肢に筋力低下を認めない。下腿に軽度の浮腫を認める。血液所見:赤血球420万、Hb 11.6g/dL、Ht 39%、白血球5,500、血小板15万、PT-INR 1.0(基準0.9~1.1)、APTT 29.2秒(基準対照32.2)、血漿フィブリノゲン270mg/dL(基準186~355)、Dダイマー0.6μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:ALT 28U/L、AST 32U/L、LD 192U/L(基準120~245)、CK 59U/L(基準30~140)、クレアチニン1.0mg/dL、尿酸5.8mg/dL、脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉266pg/mL(基準18.4以下)。CRP 0.2mg/dL。胸部エックス線写真を別に示す。
息切れの原因として考えられるのはどれか。

a 間質性肺炎
b 肺高血圧症
c 収縮性心膜炎
d 慢性閉塞性肺疾患
e 心アミロイドーシス

答え:e→b、正答率97%
「強皮症だし、aかbかなあ。肺うっ血やII音の亢進があるしbだろう」と思ったけど、「BNP高値だし、レントゲンで肺うっ血があるから左心不全、じゃあbはなし」と考えてしまった。なんでそう考えたかはわからない。

117D32

30歳の女性。右乳房のしこりを主訴に来院した。6か月前に右乳房外側上方にしこりを自覚した。2週間前に大きくなっていることに気付き、右の腋窩にもしこりを自覚したため受診した。最近めまいと頭痛を自覚している。乳がんの家族歴はない。乳房超音波検査で乳癌が疑われ、経皮的針生検を行ったところ、浸潤性乳管癌と診断された。
治療方針決定のために今後行う検査はどれか。3つ選べ。
a 頭部MRI
b 乳房造影MRI
c 腋窩リンパ管造影
d BRCA遺伝子検査
e 頸部・胸腹部造影CT

答え:b,d,e→a, b, e、正答率27%
bは切除方針の決定に必要、dは若年女性の乳癌だから必要(予防的切除も保険適用になった)、eは転移検索に必要、と思って選んだ。aは脳転移はそんな聞いたことないから無いだろう、cはたぶんセンチネルリンパ節の検索のことを言っているが、腫れているのを全摘だろうと思って選ばなかった。
あえてaを選ぶ理由がよくわからない。やって悪いことはないだろうけど。

117D33

1歳8か月の女児。けいれん発作のため救急車で搬入された。1週間前から鼻汁と咳嗽、3日前から夜間の発熱があったが、食欲や機嫌は良好だった。睡眠中に突然右上下肢の間代けいれんが出現したため、家族が救急車を要請した。けいれん発作は30分持続し、救急車内で消失した。生来健康で、発達の異常を指摘されたことはない。けいれん発作の既往もない。意識レベルはJCS III-100。体温38.0℃。けいれん発作は認めないが、意識障害が遷延したため入院となった。直ちに脳波の持続モニタリングを行ったところ、左頭頂部と後頭部に棘徐波が頻発していた。人工呼吸管理下で抗けいれん薬の持続投与を行ったところ、脳波上の棘徐波は消失した。入院6日目の頭部MRIのT2強調像(A)と拡散強調像(B)を別に示す。
可能性が高い疾患はどれか。

左T2、右DWI


a 急性脳症
b 熱性けいれん
c 無菌性髄膜炎
d 急性小脳失調症
e 急性散在性脳脊髄炎

答え:c→a、正答率39%
aとcで悩み、cを選んだ。「急性脳症はものすごく抽象的な定義だったはず、これ選んどけばいいだろう」と思ったが、もう少し頑張って画像を見たら髄膜が浮腫を起こしているように見えなくもなく、cを選んだ。皮質白質境界にも浮腫あるから違うのは分かってたけど、一度思い込むと「炎症が波及したかも」とか変な理屈を考えてしまってダメだと思う。

急性脳症について
 「JCS20以上の意識障害が急性に発症し、24時間以上持続する(日本小児神経学会のガイドライン)」。わからん笑
 いちおう病理学的な定義も載っていて、「急激で広範な非炎症性脳浮腫による機能障害」。ウイルス感染の経過中に出ることが多いらしい。少し具体的になった。
 画像診断は小児神経学会のガイドラインを参照すると、「けいれん重積型」のものに近い。T2ではU-fberに沿った高信号、DWIでは皮質下白質に高信号。

・急性散在性脳脊髄炎:自己免疫性で、ウイルス感染などに続発

117D38

肝硬変・高血圧がある前立腺癌のホルモン治療患者、女性化乳房の原因
a 肝機能障害の進行
b 甲状腺機能亢進症
c 抗男性ホルモン薬治療
d カルシウム拮抗薬の内服
e 抗アルドステロン薬の内服

答え:b
bかdで迷ったが、dは肝代謝酵素の阻害でエストロゲン分解阻害?(←実際あるらしい) bは低下症とのひっかけ? と思ってbを選んだ。

117D39

薬剤性肝障害の鑑別に必要な検査
a ICG試験
b 尿素呼気試験
c 薬剤リンパ球刺激試験
d α1-アンチトリプシン法
e 経口グルコース負荷試験〈75gOGTT〉

答え:c
cはやるだろうと思ったが、他を切る自信が持てなかった。
α1アンチトリプシンが新生児呼吸窮迫症候群関係だとぼんやりした記憶しかなかった(←関係なし。でも血中α1-アンチトリプシンは新生児呼吸窮迫症候群で減少するらしい。?)

・α1-アンチトリプシン法:血中から腸管へのα1-アンチトリプシンの観察する。蛋白漏出症候群の検査。
・薬剤リンパ球刺激試験:IV型アレルギーの検査

117D41

28歳の女性。発熱を主訴に来院した。2週間前から咽頭痛と夕方になると39℃の発熱を認めるようになった。自宅近くの診療所で処方された抗菌薬を内服していたが、改善しないため紹介受診した。既往歴に特記すべきことはない。身長165cm、体重58kg。体温38.7℃。脈拍104/分、整。血圧98/68mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸部と腋窩とに軽度圧痛を伴う径1cmのリンパ節を複数触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。右肋骨弓下に肝を1cm触知する。四肢に多発する小紅斑を認める。小紅斑は、発熱時に出現し解熱後に消退するという。両側の手関節と膝関節に腫脹を認める。尿所見に異常を認めない。赤沈46mm/1時間。血液所見:赤血球465万、Hb 13.8g/dL、Ht 41%、白血球18,100(好中球86%、好酸球1%、好塩基球1%、リンパ球12%)、血小板28万。血液生化学所見:総蛋白6.7g/dL、アルブミン3.4g/dL、総ビリルビン0.6mg/dL、AST 162U/L、ALT 134U/L、LD 330U/L(基準120~245)、ALP 88U/L(基準38~113)、γ-GT 32U/L(基準8~50)、CK 86U/L(基準30~140)、尿素窒素14mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL。免疫血清学所見:CRP 22mg/dL、抗核抗体陰性、リウマトイド因子〈RF〉陰性。
次に確認すべき検査値はどれか。
a 第XIII因子
b HLA-B51
c フェリチン
d ハプトグロビン
e 血清アミロイドA

答え:b→c、正答率93%
成人スティル病が出てこなかった。成人スティル病が夕方に発熱して昼平熱なことを知らず、「発疹が出たり消えたり」からアレルギーだけを考えて抜け出せなくなっていた。

117D42

62歳の男性。左内包脳梗塞に対する薬物療法で入院中である。現在、発症後5日目である。意識は清明。血圧128/76mmHg。ベッド上で背もたれ角度を90度としても血圧の低下を認めず、神経徴候に変化を認めない。徒手筋力テストで左上下肢は5、右上下肢では肘屈曲1、手指屈曲0、手指伸展0、股関節屈曲1、膝伸展0、足関節背屈0であった。右上下肢に軽度の感覚障害を認める。
現時点で行うべきリハビリテーションはどれか。
a 座位訓練
b 右手での書字訓練
c 左上肢の他動可動域訓練
d 歩行器使用での歩行訓練
e 手すりを使用しての階段昇降訓練

答え:d→a、正答率76%
リハビリは苦手分野。神経障害から想像した可能な行動と、実際のできる行動が少しずれていてめちゃくちゃ間違える。
 なんでaなのかはわからない。「せもたれ90度」が「自力では座位になれません」を意味しているのか? それとも半身麻痺だから座位も難しい前提なのか。

117D44

33歳の女性。2か月前からの頻尿を主訴に来院した。尿を長時間我慢できず、すぐトイレにいきたくなるようになり、トイレの回数が増えた。既往歴に特記すべきことはない。身長162cm、体重56kg。脈拍64/分、整。血圧132/90mmHg。下腹部に腫瘤を触知する。内診で子宮は正常大、両側付属器に異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球480万、Hb 13.9g/dL、Ht 41%、白血球4,400、血小板24万。血液生化学所見:総蛋白6.8g/dL、アルブミン4.2g/dL、総ビリルビン0.5mg/dL、AST 14U/L、ALT 13U/L、LD 138U/L(基準120~245)、ALP 70U/L(基準38~113)、γ-GT 12U/L(基準8~50)、尿素窒素14mg/dL、クレアチニン0.6mg/dL、血糖88mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 106mEq/L。腹部超音波検査で膀胱頂部に腫瘍を認めた。膀胱鏡像(A)、腹部MRI T2強調矢状断像(B)及び水平断像(C)を別に示す。入院後、開腹腫瘍摘出術および膀胱部分切除術を施行したところ、病理診断の結果は腺癌であった。

腫瘍の発生母地として正しいのはどれか。
a 大網
b 小腸
c 尿管
d 尿膜管
e 腹直筋

答え:b→d、正答率84%
腺癌だからbかd、矢状断で腸管から出ているように見えるからbと考えて間違えた。「膀胱頂部に腫瘍」=「膀胱から発生しています」の意味だった?
よく問題文を読めば「小腸を摘出」とは書いていないから、尿膜管癌だと気づけたはず……。

117D45

マラリア。日本では1960年台に土着のものは消滅したらしい。

117D48

脳梗塞(急性期)の治療2つ。

DWI
FLAIR


a 抗血小板薬内服
b 機械的血栓回収療法
c グリセオール静注療法
d t-PA〈tissue plasminogen activator〉静注療法
e 直接経口抗凝固薬[direct oral anti coagulant〈DOAC〉]内服

答え:a, b→a, c、正答率28%
機械的に脳梗塞で4.5時間以上→血栓回収としたのがダメだった。よく見たら太い血管は詰まってないよなあ。
 脳浮腫なさそうなのにグリセオール使うのかな?と思ってcは外したけど、調べてみたらガイドライン上急性期に推奨らしい。

117D50

十二指腸潰瘍でやるべき検査。
a 腹部MRI
b FDG-PET
c 尿素呼気試験
d 超音波内視鏡検査
e 血中ガストリン測定

答え:e→c、正答率64%
cとeで迷い、間違えた。ガストリノーマが原因なら下痢も出てるはず……。
はじめcを選んで「なんで胃じゃなくて十二指腸? ひっかけ?」と思ってeにしてしまった。

117D51

膀胱尿管逆流に行うこと。
a 染色体検査を行う。
b 両側に腎瘻を造設する。
c 両側に尿管カテーテルを留置する。
d 腎盂腎炎の予防に抗菌薬を投与する。
e 99mTc-DMSA腎シンチグラフィを行う。

答え:c, d→d, e、正答率38%
dはいいとして、後一つ何? と思って、cかeで悩みcを選んだ。eは何をするかわからない検査だったので選べなかった。

・99mTc-DMSA腎シンチグラフィ:腎盂尿管逆流による、腎の瘢痕性変化を調べる。

117D52

答え:a→d。正答率95%
なぜか緑内障と思い込んでしまった。理由不明。

117D53

びまん性大細胞Bリンパ腫の抗がん剤治療の前に行うこと
a 骨髄検査
b 呼吸機能検査
c 心エコー検査
d 腹部超音波検査
e 頸部~骨盤部造影CT

答え:c, d→a, c、正答率8%
ドキソルビシン使うからcは必要だろう、と思ったが後一つがわからなかった。a:血球減少や効果の確認、b:呼吸障害、d:肝障害や腎障害などと、探そうと思えば全てやる理由が見つかる気がした。
 解答の理由はよくわからない。

117D54

22歳の女性。初めて受けた子宮頸がん検診で異常を指摘され受診した。身長162cm、体重56kg。体温36.5℃。脈拍72/分、整。内診で子宮は正常大で可動性良好、両側付属器を触知しない。子宮腟部に肉眼的な異常を認めない。経腟超音波検査で異常を認めない。コルポスコピィで白色上皮を認めたため、同部の狙い組織診を実施したところ、軽度異形成(子宮頸部上皮内腫瘍)と診断された。
患者への説明として適切なのはどれか。
a 「MRI検査を行いましょう」
b 「円錐切除術を行いましょう」
c 「抗ウイルス薬を内服しましょう」
d 「子宮頸部細胞診を半年後に行いましょう」
e 「ヒトパピローマウイルス〈HPV〉ワクチンで治療をしましょう」

答え:b→d、正答率33%
単純に治療方針を覚えていなかった。
子宮頸部の病理はCINとLSIL/HSILがごっちゃになって嫌厭していた分野。試験は定義を丸暗記しただけで終わったため、どう治療に結びつくかがわからなかった。問題文の「軽度異形成」はCIN 1を意味する→高率で自然消退するので経過観察。よく問題文を読めば「癌」でなく「腫瘍」と書かれていて、経過観察を選べたはずだった。

・L/HSILとCIN:ベゼスダ分類(L/HSIL)は細胞診(だからCINと対比させて組織診と結びつける必要がある)。LSILはCIN 1相当、HSILはCIN 2-3相当。
・LSIL:上皮の下1/3までの異形はLSIL、それ以上はHSIL。LSILはHPVの一過性感染を意味し、10%はHSIL(持続感染)に進行する。
・CIN:1, 2, 3はそれぞれ10, 20 , 30%ほどの確率で上のグレードに進行(3は子宮頸癌へ)。CIN 3は上皮内癌とみなし、治療。

産婦人科のテストでは発案者を呪ってたけど、ちゃんと分類する意味があるのだと思った。

117D58

57歳の女性。咳嗽、呼吸困難および発熱を主訴に来院した。昨年も8月に同様の症状で入院し、入院後治療せずに軽快している。1週間前から症状が増悪したため救急外来を受診した。体温37.8℃。脈拍92/分、整。血圧112/70mmHg。SpO2 92%(room air)。呼吸音は両側でfine cracklesを聴取する。血液所見:赤血球335万、Hb 12.8g/dL、Ht 33%、白血球7,400、血小板15万。血液生化学所見:AST 25U/L、ALT 28U/L、LD 280U/L(基準120~245)、クレアチニン0.5mg/dL。CRP 5.8mg/dL。胸部単純CTで浸潤影、すりガラス陰影および小葉中心性陰影を認めた。
この患者の所見として誤っているのはどれか。
a KL-6低下
b 拘束性換気機能障害
c ツベルクリン反応陰転化
d 抗Trichosporon asahii抗体陽性
e 気管支肺胞洗浄液中CD4/CD8比低下

答え:a
aは確実に間違っているけど(逆のはず)、c~dに過敏性肺炎とサルコイドーシスの記述が混在していて自信がなかった。
問題文読む限り過敏性肺炎だけど、cはサルコイドーシスだよなあと考えて迷った。過敏性肺炎でもツベルクリン反応陰転化するらしい。

117D59

皮膚所見を見て帯状疱疹と判断する問題。

「水疱を伴う皮疹」、「右臀部から膝窩にかけて」との言葉がなければわからなかったかも。
水疱に見えないし(写真だけだと膿疱と思いそう)、デルマトームに沿っているようにも見えない。

117D60

58歳の女性(2妊1産)。不正出血を主訴に来院した。30歳の2回目妊娠時に、①胞状奇胎の診断で子宮内容除去術を受けた。42歳時に子宮頸部細胞診異常と②ヒトパピローマウイルス〈HPV〉検査陽性を指摘されたが、その後の通院を自己中断した。45歳時に子宮頸癌IIB期(扁平上皮癌)と診断され、③薬物による抗癌治療と④根治的放射線治療を受けている。治療後、48歳時から骨粗鬆症の診断で⑤ビスホスホネート製剤が投与されている。来院時の子宮内膜組織検査で癌肉腫と診断された。その後行った骨盤部単純MRIで子宮体部腫瘤が認められ、FDG-PETでは同部位にのみ異常集積を認めた。
下線部のうち、今回の子宮体部癌肉腫の発生と最も関連が深いのはどれか。
a ①
b ②
c ③
d ④
e ⑤

答え:a→d、正答率25%
「肉腫」じゃなくて「癌」や「白血病」なら確実に放射線を選んでいたけど、自信が持てずaを選んでしまった。
 古いWebページからの孫引きだけれど、二次がんは軟部組織>血液腫瘍>その他らしい(意外!)。二次癌全体の発生率は0.1%ほど。

117D61

骨髄線維症で見られる赤血球
a 球状赤血球
b 破砕赤血球
c 標的赤血球
d 有棘赤血球
e 涙滴赤血球

答え:d→e、正答率97%
c, d, eで悩んでeを選んだ。赤血球の形も、何度も覚えようとして覚えられなかった知識の一つ。

・標的赤血球:鉄欠乏性貧血、サラセミア。Hb↓によるRBC体積↓。ぺちゃんこになるイメージか。
・有棘赤血球:無βリポタンパク血症、神経有棘赤血球症(有棘赤血球舞踏病、McLeod 症候群)。覚えなくていいかも。
・ウニ型赤血球:ATP産生障害、保存血輸血後、老化赤血球
・涙滴赤血球:髄外造血

117D62

脳腫瘍の手術後に起こる合併症

a 着衣失行
b 感覚性失語
c 右同名半盲
d 眼球運動障害
e 左半身の感覚障害

答え:a, b→b, c、正答率38%
bはあるとしてもう一つaとcどっちだろうと悩み、外した。着衣失行の病巣が右左分からなかったが、cはてんかんの側頭葉切除→上1/4半盲を思い出して「側頭葉にはかかってないから、視放線は大丈夫だろう」と思ってaを選んだ。視放線は思ったより上を走行している。

・着衣失行:半球の頭頂葉。
・視放線の走行:側脳室後角の外側縁に沿って走行(参考
・ゲルストマン症候群:優位半球の障害。失書、失算、手指失認、左右失認。

頭頂葉障害の症状は、右左がごっちゃになって永遠に覚えられる気がしない。

117D64

化膿性関節炎の問題。
「右人工股関節にゆるみを認めた」が引っかかってしまって迷った。
感染が長期化すると周囲の骨が溶け、ゆるむらしい。「半年前」からの関節炎だと考えると、確かにと思う。

117D66

再生不良貧血で輸血を繰り返す患者で発生したヘモクロマトーシスの治療。
a 瀉血
b 肝移植
c 造血幹細胞移植
d 鉄キレート剤の投与
e エリスロポエチン製剤の投与

答え:d
瀉血をやる場合があるのが面白い。今回は貧血だからできないだろうけど。

・瀉血:直接鉄を体外に出す効果と、造血に鉄を使わせる二つの効果が期待できる。

117D68

30歳の男性。排尿時痛と尿道からの膿性分泌物を主訴に来院した。5日前に性交渉を持ち、その後痛みが生じるようになったという。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)、沈渣に赤血球0~5/HPF、白血球50~100/HPFを認める。分泌物のGram染色でGram陰性双球菌を認めた。
この疾患で誤っているのはどれか。
a 咽頭炎の原因となる。
b クラミジアとの混合感染がある。
c 診断にはPCR検査が有用である。
d 女性では骨盤炎症性疾患の原因となる。
e ニューキノロン系抗菌薬が第一選択薬である。

答え:e
淋菌の問題。a~dはあると思ったが、抗菌薬を覚えていなかったのでeに自信が持てなかった。

・淋菌の抗菌薬:第三世代セフェム
・淋菌の骨盤炎:クラミジアと同様の疾患(卵管炎やFitz-Hugh-Curtis症候群など)を引き起こすが、より症状が強い

117D69

投与する抗菌薬

a セファゾリン
b バンコマイシン
c クリンダマイシン
d セフトリアキソン
e ベンジルペニシリン

答え:e→d、正答率67%
そもそもグラム染色がわからない。「核と同じ色に染まってるからグラム陽性」という思いがあったけど、過去に同じ間違えをしていたのでグラム陰性かも、とも思った。結局、グラム陰性の場合の理由が説明できないので前の考えを採用して間違えた。
 今回みたいにグラム染色の細胞核がヘマトキシリンに染まっていない画像を見ることがあるけど、なんでなんだろう? これが納得できない限りグラム陰性と判断できない。
本番だったら日和って陰性ととる気がする。
グラム陰性と分かればdまでは一直線な気がする。

・モラクセラカタラーリス:COPD急性増悪、中耳炎の起因菌として多い。抗菌薬はアンピシリン/スルバクタム、セフトリアキソン。

117D73

腎盂尿管移行部狭窄の治療。

答え:b→d、正答率78%
なぜか膀胱尿管移行部の狭窄だと思って間違えてしまった。原因不明。

117D74

画像がなかったが、膀胱ヘルニアだと考えて選んだ。
medu 4にはある謎。

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