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医学部小論文テーマ集⑧・『医療資源の配分』について

医学部の小論文では、頻出テーマがあります。年度によって新傾向の出題がされることはありますが、まずは頻出テーマに対する論述には問題なく回答できるように、基本的な知識を身に付け、文章を書く練習をしておくことが大切です。

以前、出題されるテーマをまとめた記事を書きましたが、今回からはそれぞれの項目について詳しく解説していきます。

本記事は、『⑧医療資源の配分』についてです。

医療資源配分の問題例


Q1:同じ病気で同じ症状の患者が10人いて、薬が5人分しかない場合、どのように対応するのか?

Q2:救急病院にいて、意識不明で重体の患者が2名同時に運ばれてきた。一人は自分の妹であり、もう一人は全く知らない人であった。手術をすぐにしなければならない状況であるが、手術室は1室しかない。どのように対応するのか?

医療資源配分のポイント


医療資源とは、政府の予算、医師や看護師などの人的資源、病床や施設、医療機器、薬、時間、臓器等が含まれます。
医療資源の配分についての問題では、
①    医療資源が十分か、不十分か
②    配分が公正であるか
の2点を考える必要があります。
医療資源が豊富にあって不足していない場合は問題ありません。
医療資源が不足している場合、例えば検査キットや薬が不足しているとなった場合は、「①医療資源が不十分」であるから、十分な医療資源を確保する方向で動きます。
また、僻地において医師や看護師が不足している場合は、医師・看護師の「②配分が不公正」であるから、この部分を是正していけばよいということになります。
ここまでが、基本的な考え方です。
しかし、臓器提供や、現在のコロナ禍での救急対応のように、医療資源の量的確保がすぐには難しい場合は、上記の基本的な行動ではどうしようもないため、どのように優先順位をつけて対応するのかを考えなければいけなくなります。
ただし、人間の生命は身分や地位、貧困、国籍にかかわらず、すべて尊く平等であることはしっかり心にとどめておかなければなりません。

医療資源配分の判断基準


結論としては、患者の医学的必要性を基準として、医学的必要性に大差がない場合には、先着順にする、ということになります。

時間にゆとりがあり、患者の考えを聞くことができる場合は、患者にも意見をうかがって、インフォームドコンセントをもとに配分を考えることも重要です。例えば、薬が足りていないときに、患者にその状況を伝えると、ほかの病院へ行って薬をもらうと言う患者も出てくるかもしれません。原則は先着順であっても、このように柔軟に対応することも大切です。

医療資源の配分についても問題は、状況によっては正解がなく、医師が生命の尊厳や倫理観に基づいて判断していかなければなりません。時には厳しい判断が必要なこともあります。医師としてより的確な判断をできるように、可能な限り努力していくほかありません。

本日はここまでです。
最後までご覧いただき、ありがとうございます。


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