それでも僕は


空虚な旅を求む人生だって
そこかしこに罠は仕掛けてあって
それゆえに僕たちは何を望む
世界の形さえも揺るがす何かを
追い求め彷徨っている

嗚呼、君の声が確かに響いている
胸のわだかまりがすっと溶ける
夜に吐き出した水たまりが
紋様と悶々繰り返し私を襲ってくる

何が良くて何が駄目で
一から説明してくれないとわからないピエロ
君のために作ったマニュアルも
いつからか僕だけの仕様書になっていて
意味もなくただ歩き疲れて疲弊して泣いて
ジグソーパズルのように
空欄を埋めた穴をただひたすら突き破っている

そこらかしこで皆迷子で
気がつけば抜け出せない泥沼に
船の雫を編む夢に
僕たちは期待の翼を掲げている

誰もかしこも皆迷子です
隣り合った席でも結局
赤の他人は免れない
臨時収入の禁じ手を
使っては上手く逃れてただ只管に
僕は頭を使って生きている

駄目で元々良くて万々歳
拍手喝采のスピーチを
演説するアメリカの大統領は
僕を真似して
きっとどこかで
生まれ変わってるんだ

誰も皆必死で生きていて
誰も僕になんて構ってやくれない
隣り合った席のあの子でさえも
瞼を閉じて華麗にスルーを決め込む
でもそれでいいんでしょ
だって結局赤の何とやらですから
隣の芝生は青くて
ただ自分の嘘を見抜くのは上手で
それでも僕は今日を生きている

地球が太陽の周りを回るように
それは当たり前で
意味もなくただひたすら宇宙を旅する僕らは
輪廻の果てに生まれ変わった動物で
意味もなくただひたすらに
希望を重ねて生きているんだ

実直で率直なアンパイヤなんていらない
ただ僕が欲しいのは
嘘偽りなく虚偽の申請をまかり通す
政治家だけなんだから

世界の影に闇は潜む
光の裏に栄光がある
そんな当たり前のようで当たり前ではない何かを
僕たちは必死になって探している

青い鳥はもう呼んだ
僕の口笛に乗せて
飛んでいく紙飛行機だって
いつしか背中に背負った
ランドセルように
僕の心を
洗いざらい
吐いてくれる

意味もなくただ彷徨い続ける
意味もなくただ生き続ける
意味もなく果てには果てを
世界の終わりには
僕だけの音色を
奏でていたいのだから

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