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「プロレスから逃げた」って何?

プロレスリングNOAHでプロレスデビューを果たすことになった佐々木憂流迦に対して、一部格闘技ファンからSNSなどで「MMAから逃げるのか」「通用しなくなってプロレスに行くのか」と否定的な意見があったという。

格闘技は殴る、蹴る、極めるという要素があるが、プロレスの場合はそれに加えて飛んだり投げたりもあるし、相手をカバーしてフォールを奪って3カウントを奪うという要素もあって、場外乱闘はカウント20まで(全日本プロレスはカウント10)、反則もカウント5までとされ、またレフェリーによってルールとかも微妙に変わってくる。いい加減そうに見えるかもしれないが、やってみる側にとっては難しくて奥深いものである。

憂流迦の場合はタッグマッチながらも征矢学が相手をしたが、憂流迦がいろんな技を仕掛けていっても征矢が出してきた技はチョップやボディースラムなど基本技だけ、必殺の弾道やジャンピングDDTすら出していない、それは征矢が決して手を抜いているわけでなく、プロレス初心者の憂流迦に必殺技なんて出してしまったら、生命にかかわる大ケガをしかねないからだ。ましてNOAHの場合は全日本プロレスの流れをくんでいることから受身中心、受身と言っても様々な受身の取り方があり、それも奥深いものがあるのだ。

憂流迦の場合は「MMAから逃げた」のではなく挑戦で、アントニオ猪木はプロレスと格闘技なんて同じようなものだと言っても、現在ではジャンルが分けられており、プロレスと格闘技を両立するレスラー出来るレスラーは、現在では青木真也か桜庭和志ぐらいなもので、青木もMMA出身だが決してプロレスをバカにしておらず、真剣に取り組んでいる、

格闘技よりプロレスの方が下と見ているのは、狂乱と言われたK-1、PRIDEなど格闘技ブームの弊害だろうが、格闘技ブームの時代はジャイアント馬場さんに言わせれば「単なるブームに過ぎない」で、K-1とPRIDEの時代はテレビでゴールデンタイムで放送され、爆発的視聴率を稼いでいたことから、プロレスより格闘技の方が上だと見ていた側は錯覚していたのではないだろうか。

新日本プロレスの柴田勝頼や現在引退した中西学も、立ち技中心のK-1ルールで試合をしたことがあったが、K-1ルールはあくまで殴る蹴るだけでプロレスと違って禁じ手も多い、それに敢えて挑戦したのだから、難しかったと思う。

プロレスと格闘技はジャンルが違うが、それぞれの難しさがある。決してバカに出来るようなものでない。

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