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岩倉玲音の個人的な馴れ初めを語る-PS版RTAと現在に至るまで

「君、lainをどこから知ったの?」
lainを知る人にこう問われることがある。「テレビ放映しててる時一目惚れ」とか「たまたま初めてレンタルビデオ屋で借りたアニメがlainで」など、もはや運命的な理由も耳にしたことがある。
では、私はどう岩倉玲音と出会ったのか...
その個人的な出会いと歩みを語ろうと思う。

1:ファーストコンタクト[小学生時代]

ファーストコンタクトは小学生の頃に話は遡る。
当時から私は寝付きも寝起きも最悪で、目覚めはいいけど超ド級の早朝覚醒持ちで....
つまる話がガッツリ不眠症持ち。寝付きは異様に悪いが目覚めだけはスッキリ目覚められる。しかしそのあとはもう寝れなくなってしまう。
ということで、日が昇るまでの朝の時間はとてもとても暇だった。
あまりにも暇だったので、両親には内緒でこっそり早朝(大体朝の2-3時頃からであるが)インターネットサーフィンを2時間ほどするのが毎朝の日課。(勿論閲覧ログは最後に消す)
ある日、いつものようにネットサーフィンをしていると、とあるサイトと小学生の頃の私は出会った。

この記事が書かれた当時の2010年はlainのアニメ放映から10周年記念で、丁度BD-BOXの発売イベントであったりシナリオ本や画集などの再販が行われたりと公式から動きがあった年だ。この記事はそれの情報まとめ記事である。
アニメのスクリーンショットがこの記事には掲載されているのだが、その絵を小学生の頃に初めて見た記憶が今でも残っている。

「これ、なんだろう。いつか見てみたいなぁ」

あとは、絵が変わっているなぁ、と感じていた記憶がある。それも当然だ。当時の私が好きだったコンテンツを試しに挙げよう。
・たまごっち
・ジブリ作品
(特に天空の城ラピュタに関しては8割以上セリフを暗記しており、音をミュートにして覚えたセリフをアテレコして遊ぶほど)
....アニメで言えばこのくらいだろう。
こういう多感な時に記憶の片隅にlainが刻まれた、そんな小学生の頃であった。

2:ゲーム版(PS版)との出会い[中学生時代]

私の運命を狂わせたと言っても過言ではない出会いをしたのは、少し時は流れて中学生の頃。
中学生になり父親から正式にパソコンを練習するという建前で家族認可のネットサーフィン許可を得た私は、あいも変わらず早朝や寝れない夜中にネットサーフィンをしていた。
そして、運命の動画に出会ってしまった。

何気なく、ほんの好奇心でクリックした動画だった。内容としてはさまざまなゲームの怖いシーンを集めた動画であるが....

上記の動画の3:11秒、映るのはほんの数秒。
なんとなく、「それ」が気になった。
どこかで見覚えがあるけれど、思い出せない。
でも、見えない何かに惹かれた...ような気がした。

コメント欄に書いてあったタイムスタンプを読み、
その言葉をコピペして検索した。
そうして検索結果を見て.....記憶の隅にあったアレを思い出した。

「昔どっかで見たアレのゲーム版か!」

離れていた点と点が繋がった瞬間、既に私はPS版lainにのめり込んでいた。どこか見覚えがあるのも納得できたし、ゲームの内容も気になった。
早速YouTubeで検索をしたのだが、プレイ動画が出てこなかったのでニコニコ動画に親のメールアドレスで無断登録し、プレイ動画を毎日漁った。
いつかこのゲームを自分の手でプレイすることを夢に見ながら....

3:アニメ履修したい[高校生時代]

さらに時は流れ、私は高校生になった。
家の厳しいネット規制も大幅解除され、高校も実家から1時間半ほど離れた所に通うことになる影響でスマートフォンを持つことになった。
私はホクホクしながら高校生の頃常日頃思っていたことがある。
そう、「アニメlainを履修したい」という願望だ。

早速様々なレンタルビデオ屋に行ったが、
行く度々で「ここの店・地域にはもうないですね〜」が鉄板であった。
関東圏とは違い、私の住む地域は地方都市。大型店でも品揃えが悪かったりしたのである。
ましてやlainは当時既にウン十年前のアニメなので仮に取り扱っていても当時物な上にレンタルDVD・VHSは特に何度も色々な人間が観るものなので劣化が激しいだろう。

結局、私は違法視聴でアニメlainを履修した。
あまり声を大きくしない方が良いのは百も承知だが、DVDや Blu-rayも当時既にプレミア化が始まっており、購入するにしても学生には高過ぎた。しかも私は画学生(油画)だったのでお小遣いは全て画材に突っ込まなければならない。そんなlainにお金をかける金銭的余裕は全くなかった。

アニメを初めて見た時の感想は、ぼんやりとしか覚えていないが....ひとつ言えるのは、
「よくわからないアニメだったな」
というシナリオ本やらムック本なしの初見であれば1番多いであろう感想だった。

同時に「やはり私はPS版lainが好きなんだな」とも自覚した。
当時上がっていたPS版lainの考察は高校生時で既に見尽くしていたし、関連動画もほぼ把握済みの状況だが、知れば知るほどにこのゲームは面白いと感じていた。

そして、ささやかな夢を持つようになった。
「大学生になったらバイトの給料でPS版lainを入手する」夢だ。

4:lainに救われる[大学生時代:前半]

ここからは、少々lain以外の話になるが私の体験を語る上で必要なので前提として聞いてほしい。
大学進学先を選ぶ時、正直私は絵が描ければ大学などどこでもよかったのだが...事あるごとに周囲から、
「君は東京に行ったほうがいい。広い世界を見ておいで」
様々な周囲の人間の後押しと協力で、結局関東圏の美大を受験した。
複数の大学の併願受験だったので一般枠での挑戦だった。
第一志望には落ちてしまったが、どうにか関東圏のそこそこ名の知れた某美大に引っかかることができたのでそのまま現役で進学した。

受験期と同じペースで、いやそれ以上のペースで絵をひたすら毎日描き続け....結局私は心身を大幅に崩してしまった。
理由は単純で、「無理をし続けたから」だ。
当時毎日2-3時間程度しか寝ていなかったし、朝夕晩と絵のことで頭が一杯で、食事や身の回りの家事をするのが煩わしかった。当時何を食べてもいまいち味がしなかったり、家事をするなら絵を描いていたかったからだ。
誰がどう見ても体も心も不健康である。
そんな不健康はじわじわ心身にも来る。
それで、比較的早いうちに限界がきただけの話である。

大学の相談室に相談したところ、「直ぐにでも精神科に」と勧められた。
今の病気の話をされ、とにかく処方する薬を飲んで寝ろとのことだった。

ベッドから1歩も動けず、1日中天井を、ある日は壁を見て過ごした。ベッドから見える夕暮れを眺めていた時、ふと頭によぎった。

「私の好きなものって、なんだっけ」

すっかり私は絵を描くことに、課題に向き合うことに夢中になり過ぎて
「自分の気持ちや原体験」がわからなくなっていた。
昔の好きだったものをぼんやりと思い出していた時、楽しかった高校生の頃のことを思い出した。夢中で毎日絵を描いていた思い出と、私はlainが好きだったという記憶を思い出した。

「あれを描きたいな」

気が付けば一歩も動けなかったはずのベッドから立ち上がり、父親から譲り受けたお古のiPadを散らかった部屋の山から探し出している自分がいた。自分自身でも驚いた。
そうしてそのまま、lainの絵を1枚描いた。
書き終えたときに久しく忘れていたような、あたたかい感情に包まれていたことを今でもよく覚えている。

幸いなことに、高校生の時喉から手が出るほど欲しくて夢に見ていたlainの主要グッズはバイトの給料で既に入手していた。勿論、PS版lainもだ。(奮発して帯付き、ハガキ2枚付きを購入したが、全く後悔はない)

購入してから1度も開かなかった画集を開いた。どうにかモニタ付きPSONEを取り寄せ、PS版lainをプレイした。「ローディングと操作感がクソ〜!」と深夜に叫び1人でゲラゲラ笑いながらプレイした。
そんな些細なことで私は、いつの間にか忘れてしまっていた人間性を取り戻していった。

5:自分ができることを少しずつ[大学生時代:後半]

そんな少しだけ人間性を取り戻しつつあった時期に、ある企画が偶然目に入った。
「lainのアドベントカレンダー」企画だ。

これを目にした時、閃いてしまった。
「PS版lainのRTAをしたら面白いんじゃないか」....と。

そして、実行した。
(レポログはこちら↓なのでお時間ある時に是非)

PS版lainのRTAを走ろうと思った動機は複数あるが、
やはり一番大きかったのは「私の原動力を思い出させてくれた」からだ。
過去10年間で一番つらかった時、好きなものすらできなかった時に
半分無意識的に実行してしまうほどの「何か」がこのゲームにはあった。
だからこそ、私は何かしたかった。

その後にも、PS版lainの音声データを引き抜いてアラームにしたり…
色々な活動を在学中は続けていた。
ギリギリ単位で5年間、在籍していた大学を卒業した。

6:結局好きなことがしたい【現在】

結局、就職活動は上手くいかなかった。
ギリギリ大学生の頃に紹介で受かったバイトも、
持病が再発して今長期で休んでいる。
正直な話、もうバイト先には居られないだろう。
仕事も半年間ミスを減らそうと毎日試行錯誤した。
しかし全く改善できなかったどころか、雪だるま式にミスが増えていくばかりだった。
仕事ができず、かつ持病を持っている人間を雇い続けるのはリスキーだ。

業務中、目の前の仕事のことを考えなくてはいけないのに
描きたい絵のことばかり考えてしまう。
色々な人からコツを聞き、参考書も読んだが改善ができなかった。

「向いていない仕事」
とは、こういうことを言うのだろう。

また、新しいバイトを探そうと思う。
今度は、少しだけ興味がありそうなところで。
岩倉玲音と一緒なら、また走っていけそうな気がする。


私にとって岩倉玲音は、恩人です。

あなたにとっての岩倉玲音は、どんな人ですか?



おしまい!!!!!!!
読んでくれてありがとう。




[追記:2023.11.17]
新バイト決まりました。
ゆっくり前進していこうと思います。

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