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第3回 ティータイム囲碁体験  囲碁と勝負の妙な距離感。

先月8月27日(日)、平井オープンボックスにて
第3回ティータイム囲碁体験を開催しました!ありがとうございました!


今回は経験者の方がいらっしゃったので、いつもより一歩踏み込んで、
「勝負」ということにフォーカスした話をしました。


囲碁というのは不思議なゲームで、プレーしていてもなかなか「勝ち負け」が見えてこないことがあります。

たとえば


19路盤の実戦、ある終局図。(江戸時代の伊藤松次郎ー本因坊秀和戦)

これ、どっち勝ってますか?

私がぱっと見た感想としては


「わからない」

です。

どんなに慣れていて強い人でも、これをパッと見て結果が分かる人は(多分)いません。

ゆっくりしっかり数えればわかる、かも

囲碁は陣地の大きさで勝負が決まりますが・・・


数えるフェーズでおこなう、「整地」といいます。石を動かして、陣地を四角くして掛け算でわかるようにします。黒は左下、右下、上。白は左上、右上、中央。どっちも37


最後に数えることで、やっとわかります。

この碁は引き分けでした。そう、そもそも「持碁」という引き分けがあります。

先手番のハンデ、コミというものがあるときでも、ごく最小差で勝負がつくことがあります。「半目勝ち」です。

かなりうまくいった碁ならば、途中で「さすがに勝ってるかな~」とわかりますが、

どれくらいの陣地の差なのかは、やはり確かめないと分かりません。

開けてみなければ結果がわからない・・・
そんなドキドキがあるんですね。(モヤモヤともいう)(僕はワクワクする)


世にたくさんある他の素晴らしいゲームたちと比べても、この勝敗からの遠さはちょっと独特かも知れません。
時間的にも遠く、視覚的にも見えてはくれません。
囲碁のなんだかわからん曖昧な感じは、恐らくこれが一因でしょう。
やってるほうも分かってないのですから笑
(それでも楽しいから、さらによくわからん)


しかし、だからこそ、碁盤の内・外に様々な文化を作ってきたゲームでもあります。

定石。いい勝負。

例えばこれ。序盤でできる「定石」なんですが
最後にならないと勝ち負けが決まらないので、これがどっち有利なのか、一人の頭で考えても全然分かりません。

しかし、多くの人が何万局とやっていくなかで、立派に愛用されて生き残っているものです。
いつしか、有利不利を判定する方法もさまざま生み出されてきました。
まるで学問の積み重ねのよう。

すぐに結果が出ないことで、途中ではむしろ忍耐なども必要になってきます。
勝ち急がないこと。
でも、決め所ではちゃんと決めること。

もやを掴むような中で教えられる囲碁は、さながら武道のような、精神の鍛錬のような様相を見せることもあります。
藤沢秀行先生は囲碁の上達法として「人間性を磨かねばいかん」というようなことを言ったそうです。
最近はそこまで思わなくても強くなれるような気がしています。

(初心者や自分より弱い人に不当に厳しい指導や態度もそこから生まれちゃいがちですが、それをなくしていくのは我々の責任ですね)

ダテに新聞の下のほうにいない、不思議な囲碁という存在です。
謎なんです。でも、全部ひっくるめても、囲碁は面白いもんだと思います。


今回使った「9路盤」9×9 は、入門用という見方も多いですが
最終形までが近くて、囲碁の「勝ち負け」に慣れるのにもとても良いものです。
スマホだとだいたいこの大きさで遊びますし、経験者の方も来ていただければ、コツをお教えいたします!

次回は9月30日(土)
15時から、平井の3階でやってます。
https://peatix.com/event/3690173/view

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