一力棋聖の兄弟子、安斎伸彰八段

一力遼棋聖と安斎伸彰八段は共に宋光復九段門下だ。
兄弟子の安斎は一力が9歳の時から稽古をつける。
初めは三子置かしての指導となった。

「出会った頃の一力は三子で負けると泣いていました。
傍目には僕が子どもをいじめているようにしか見えないので困りましたね」
と安斎は振り返る。

一力が入段間近になると手合いは互先に。成績もほぼ互角になる。

「兄弟子の威厳を保つため、二連敗を避けるのが目標でした」と安斎は語る。
日本棋院の棋士控室で一力と安斎が練習碁を打っていると緊張感が張り詰める。
入室するのもはばかれるような雰囲気だった。

安齋も順調に活躍し、おかげ杯で第2回と第3回を連覇する。

三連覇がかかった第4回の決勝で安斎の目の前に立ちはだかったのが一力だった。
同門対決は弟弟子の一力に軍配が上がり、初優勝。
安齋としては大きな壁を自分で育ててしまうという皮肉な結果となった。

『若いうちから何度も対戦して、自分とはモノが違うと実感していました。
弟弟子に負けるのは悔しいですが実力の世界なので仕方がないです』と安斎は語る。

2023年7月1日現在、安斎は『対戦成績は僕の1勝10敗ぐらいです』と語る。

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