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意外と知られていない育成のコツ

こんばんは。十専口人です。
さて、今回は「育成のコツ」について書いてみます。
30歳を越えると、部下を抱える人も多いでしょう。そうなって初めて、人を育てる難しさに直面すると思います。これまで教わってきた立場から、教える立場に変わる。これってかなりの急変化です。必要とされる要素が全く異なってきます。「IQ高い人=良い教師」とは限らないのと同じで、「仕事できる人=良い上司」になるとも限りません。私も30歳を過ぎて、いきなり十数名の社員を束ねる立場になり、初めてその難しさを知りました。
人を育てるにはコツがあります。教え方一つで、成長するスピード、方向性が変わってきます。今回は、私なりに思う育成のコツをまとめてみました。

①相手のレベルを知る

育成は、まず相手がどの段階にいるのかを知ることから始まります。
何を知っていて、何ができるのか。
ここまで出来るが、これはできない。
そのできない理由は何なのか、など。
私がよくやるのは、最初は何も言わずに1つの仕事を任せてみることです。書類整理でも、メール送信でも、事務処理でも何でも良いです。その際に大事なのは、結果ではなく過程を見ることです。
どのような手順で進めているのか、困った時、分からない時にどんな対応をするのか、出来上がったものをどのように報告するのか、などです。そこである程度の人間性と仕事のやり方を知ることができます。
相手がどの段階にいるのかを知らなければ、何を教えるべきかも分かりません。

②考える習慣をつくる

私がよく後輩に対して思うのが、自分で考える習慣が極端に少ないという事です。若いし経験が浅いということも原因なのでしょうが、これまでそういう時間を設けてきたかどうかが非常に大きいです。考える機会が少なかった人は、すぐに答えを求めようとします。あるいは、周囲の意見に流されやすい傾向にあります。相手がそのレベルであれば、まずは考える習慣をつけさせることが大事です。
私がよくやるのは、後輩が何かを訊ねてきた時、すぐに応えるのではなく「あなたはどう思うの?」と聞き返すことです。それを何度も繰り返すことで、質問する前に自分で考えて訊きにくる癖がつきます。教える側は、すぐに答えを与えないことが大切です。

③判断基準をつくる

自分で考える習慣が身についたら、今度は判断基準をつくってあげることです。
自分の意見はバンバン言うけどいつも的はずれ、一生懸命やっているのは分かるけど方向性が少しズレている、という人って結構いませんか?そういう人達は、物事の判断基準が無い、あるいは曖昧なのです。過去の経験から結果だけを抽出して判断している為、状況が変わると対応できないのです。
そういう人たちには、判断基準の理由を説明し、理解させ、身につけさせることが大事です。何故その行動が良いのか?その行動の目的、理由、意図を把握させます。
これは教える側の責任が非常に大きいです。教える側の基準が曖昧だと、教えられる側も曖昧になります。行為の理由を明確に伝えていくことを心がけましょう。

④失敗から学ばせる

あえて失敗させる事は、育成において非常に重要です。私もよくやります。しかし、失敗させるのは、正しい判断基準を学ばせる為に行うものです。むやみに失敗させるだけでは駄目で、失敗後は丁寧にフォローしてあげることが大切です。ここにもいくつか手順があります。

1.失敗した理由を聞く
なぜ失敗したと思うのか、相手の考えを聞きます。行為にフォーカスするのではなく、その行為に至った考えを聞き出すことが大切です。

2.当初の目的を聞く
本来どうしたかったのかを聞きます。本来の目的を理解してあげると共に、相手にもその目的を改めて認識させます。

3.解決策を一緒に考える
ここが最も重要なポイントです。相手の目的を成し遂げる為に、どうするべきだったかを一緒に考えてあげることです。それには、相手のやりたかった事を否定しないことが重要です。どうやったらその目的を達成できたのか、真剣に応えてあげることです。

4.自分ならどうするかを話す
3を飛ばしてこれをやる人が多いので、判断基準が身につかない人が多いのです。優先すべきは3です。その後に、もし自分だったらこうするよと伝えてあげる。これはおまけ程度です。ここを前面に押し出すと、応用力がなくなります。正解のやり方は無いと教えてあげることが何より重要です。

⑤褒める

育成の中で、かなり重要なポイントです。失敗させることも大事ですが、その中でも良かった部分を見てあげることは、もっと大切です。そこをしっかり言葉にして褒めることで、相手は良くする為の基準を理解することができます。また、自分にもそんなポイントがあったんだと励みになり、強みになります。無いものを教えることも重要ですが、有るものを引き出し磨いてあげることも重要です。

⑥階段を用意する

相手の力量よりも上の仕事を任せることです。ここで重要なのは、教える側が何を学ばせたいのかを明確に持つことです。そして、成長の為の階段をつくり、段階的に理解させる道筋をつくってあげること。
その為には、相手の学ぶスピードとキャパシティを知っておくことも大切です。打たれ強さや、凹みやすさなど、人によって異なるので、同じように教えれば良いというわけでもありません。ある壁を乗り越えるのに3段でいける人もいれば、10段かかる人もいます。相手の力量と成長スピードを理解しておくのは、教える側の務めです。

⑦競争意識を掻き立てる

相手が熱くなるような、ムキになるような要素をつくってあげることです。例えば、相手の目の前で、更に下の後輩を褒める。あるいは、相手の同期を比較対象に出す、など。人は誰かが横にいるだけで、自然と比較するようになります。その比較する意識をうまく掻き立てるように演出してあげると、自ら頑張る意欲に変わります。これも、けなすより褒める方が効果的です。ただ、やり方次第では逆効果になる人もいます。相手を見て方法を選択することが重要です。

育成=自立させる

一貫して言えるのは、「育成=自立させる」ということです。自分で考え、行動する、その習慣を身につけさせる為に必要なことをサポートするだけです。大事なのは、教える側が前に出過ぎないこと。あくまでも主役は教えられる側です。その人の思考や価値観まで歪ませるような事をしてはいけません。相手の価値観を大切にしながら、添え木のように方向性を示してあげる。それが、育成の一番のコツだと思います。

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