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日中を近づけるのは、やはり文学と音楽だ

つい6年前、僕が北京ブックフェアに行った頃、大手版元の人から「最近の日本のベストセラーは、どんどん島国化していて、ベスト10に海外の翻訳書が1点ぐらいしか入らない」と聞いたことがあるが、北京の書店でも自国の本は半分ぐらいであとは翻訳書だ。日本の作家のコーナーが平台一面にあったりする書店も北京にあった。

欧米でも自国の本だけでベストセラーが埋まるなんてことはないそうで、日本だけ特殊になっているらしい。かつては日本も翻訳書が売れていたのに。音楽もこの傾向が強くなっている。日本の文学や音楽が成熟してレベルが高くなったから、あえて海外の本の翻訳書や音楽を読んだり聴いたりする必要がなくなった、なんて言う人もいるけど、それもなんか違う気がする。

世界の文学や音楽と、日本と文学や音楽をどちらも味わった上で「やっぱり日本だよね」というなら、それは個人の好みだし、それで良いけど、なんか食わず嫌いというか、知らない、知ろうとしてないだけな気もする。

北京に行って日本語を勉強している中国人に会った時、「初めて日本人と長く話しました」とか、下手すると「初めて日本人に会いました」という中国人もいて、隣国で、すぐに行けるのに、まったく生身の人間同士の交流ができていないことにも驚いた。

お互いへの無理解、誤解が増えるわけだと、強く思った。

今回の『三体』の大ヒットが風穴を開けてくれて、日中の出版社、作家、アーティスト、そして読者同士の交流が増えてくれたら良いと思う。

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