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エスカレーターか、階段か


ここ最近、あえてエスカレーターに乗らず階段を選ぶようにしている。

駅でも、商業施設でも、なんとなく人の流れがあって、なんとなく前の人についていったらエスカレーターに乗ることになって。

降りるまでの間、やることといったらスマホを取り出してSNSをながめて。
そんなことをしてる間に前の人が動きだしたから、スマホをしまってまた歩きだして。

たった30秒ほどの時間であっても、自分で歩く自由があるのに、流されるまま選択肢を手放してしまうことが怖い。

エスカレーターに乗ってスマホをながめて、その後にやってくる感情はだいたい見えてる。

「はぁ、疲れたなぁ」
「あー、人多いなぁ」
とか、そんな感情。
あるいは無。もともと存在しなかった時間かのように、ただワープしただけ。

エスカレーターか、階段か。
この二択のうち階段を選び続けていたある日、新しい自分を発見をした。

階段を歩く人は少ない。
下りはちらほらいるけど、上りはほとんどいない。

長い階段を上る前、自分のほかに誰も人がいないことを確認すると、テンションが上がるようになったのだ。

「お、この階段は俺のもんだ…!」と、ひとり占めのような嬉しさがあるのだ。

そういうとき、ちょっとだけ勢いを乗せて、一段飛ばしで階段を駆け上がる。

タッタッタッ。
ヨイショ、ヨイショ、ヨイショ。

そんなひとり言を言いながら階段を駆け上がっていると、不思議と気分が軽くなる。

階段、好きだな。

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