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貴方の温度で


私が今迄生きてきた時間は決して穏やかに呼吸が出来る時間では無かったであろう、しかしその中でも優しく溶かしてくれた温度がある

最愛である、優しい青を帯びた温度だ

一途が全てで掛け持ちなんて有り得ないなんていう人も居るがそれはどうだろうか、私は彼のお陰で音楽を知り色んなアーティストに出逢い今では百数十の音楽を聴く、そしてオマケに好きという感情もそこにあるのだ

歌に込められる想いは無限に広がり、時には人生の教科書にもなる。それを彼に教えてもらった

彼の好きな所を歌にすると3分〜5分で収まるだろうか、詞に起こす事まで勿体無いと思ってしまう程だろうか

彼はズルい、罪な男だ

話す相手が女性なら必ず"ちゃん"呼びだし、年下だと分かればあのお得意の柔らかな顔でタメ口が降り掛かるのだから惚れない女性は居ないと勝手に思っている

そして食事中のキスも構わないと言う

キスはしたいときにするらしい

気になる異性への誘い文句の質問では「どうしたら僕に堕ちる?」なんて答えてしまう

何度も問うが彼に惚れない人間なんて居るのだろうか

周りに気遣いが出来るというよりは、相手が困っている時に現れるような人だ

例えば高い所に大切なモノが置いてあったとする。小柄な彼にも取るのが難しい所だ。だが彼は無言、それか「いけねえべ」と笑いながらでも取れるまでその場に居座り続けてくれると思う

彼は動く絵本だと思っている

一色じゃ足りないくらい色んな表情を見せてくれる。桃色の優しさに黄色の笑顔、渋い色で強さや責任力を表してみようか、キラキラ輝くパウダーを振りかけたくなるようなシーンも彼にはある

そんな彼をいつまでも見ていたかった

その絵本にも一旦の終わりが来てしまう

どんな物語にも完結する前には続きという休みがあってその長さもそれぞれあればテレビドラマの様に決まっているのもある

私はまだ絵本の途中でリボンを掛ける準備が出来ていない

今立っている場所は 起承転結 の何処だろうか。まだ終わっていない彼の物語に首を突っ込んでこのノートに完結を付けていいものなのだろうか

今日も朝がやってきた

その感覚と貴方は同じだった

今日も貴方はやってくる

それが明日には貴方がやってくるだろうかという感覚に変わってしまうのだから怖いに決まっている

自分の心臓に手を当てると暖かい、貴方が教えてくれたこと全てが入っている場所

この温度が冷めてしまわないように私は何の準備が必要なのだろうか、これからも愛を続けることだろうか、貴方の温度で生きることが出来た私は分からなくなる時間も必要みたいだ




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