事務職ぶる~す

私は社会に出て、のべ7年ほどは「事務」の仕事をしている。

「事務」と一口に言っても、
職場ごとに求められることは違う。
それはそうだ。
事務とはあらゆる仕事の狭間に生まれるこぼれタスク。

事務という概念は広いが、
ここでは、「その他の内勤仕事」だと思ってほしい。
つまり、
経営
企画
財務
広報
営業
経理
人事
労務
法務
秘書
システム
クリエイティブ
現場仕事(ドライバーとか、建設業とか、職人さんとか)etc…
本稿では、これら「以外の仕事」を「事務」といいます。
秘書や法務とかも「事務」といえば事務ですが、
専門スキルが必要なものは今回は除きます。
いわゆる「雑務」をする人だと思ってください。



さて、
「事務職」と聞いて
なんとなくあなたの頭に浮かぶのは
以下の3パターンではないでしょうか?

▼パターン1:あまり頭の良くない女の子
傷んだ茶髪でメイクばっちり、ネイルが派手。
ミスとグチが多い。
定時で上がれて、決まったことだけをやっていればいい楽なシゴトー。
別に面白くはないけど、ほかにやりたいこともないしー。
だって30までにはゼッタイ結婚するからーそれまでのつなぎー。
「えー、それってアタシの仕事ですかあ?」
▼パターン2:優しくてめちゃくちゃ気の利くおばさん
先回りしてなんでもやっておいてくれる。
ほんとは〇〇さんの仕事じゃないけど、頼んだらやってくれちゃう。
期限過ぎてても、「しょうがないわねえ」で処理してくれる。
〇〇さんいなかったら、俺たち私たち営業は回らない!
ありがとう、お母さんと呼ばせてください!!!
▼パターン3:お局様
独身でしょ? いや離婚歴あるらしいよ?
とにかく厳しくて怖いよね。ルール絶対だし。
すごい貯金あるらしいよ。
会社終わった後何してるんだろうね?
てか、どこに住んでるか誰も知らないよね。
めちゃくちゃ情報通なのに、私生活が謎すぎ。
うわこっち来た! やばい、また怒られる!


・・・どうして事務は女性が多いのだろう?
弊社の営業事務的職種も、見渡す限り女性ばかりだ。
応募してくるのも女性ばかり。
もちろん女性に限定して募集したりはしていない。
(※性別限定の募集は男女雇用機会均等法違反になりえる)

でも、もし男性が営業事務に応募してきたら
「何か体が弱いなどの事情があるのか?」
と勘繰ってしまいそうだ。


しかし、役人(官僚とか)を見よ。
役所では男性だって事務仕事をしている。
省庁の事務方トップは“事務”次官って言うし。

ではなぜ一般的に民間企業では
事務といえば女性なのか?

「女性の特性」が活かせる仕事だから、というのがありそうだ。

事務仕事は、「ノーミス」が基本。
適当では困る仕事が事務仕事である。
一般に女性は男性に比べて、正義感が強い傾向があり、
ルールを守り、守らせるのには
男性より向いていると言えるかもしれない。
また一般に、女性は
「期限を守ろうとする」
「出せと言われたものは出そうとする」
「書いてあることを忠実に守ろうとする」
傾向が男性より強い気がする。
※もちろん個人差はあります。


でもそんな綺麗な話じゃないよねー。

事務に女性が多いのは
給料が低くて、上がることもない職種だから。

だから男性がなりたがらず
女性が担ってきたのだと思う。

だって聞いたことありますか?
事務職の給料が営業以上の会社。
(官僚以外で)事務職が出世コースの会社。
私は寡聞にして存じません。

高度経済成長期、
男は外で仕事して金を稼ぎ、
女は専業主婦で家と子供を守る。
このスタイルが基本だった時代に、
給料の低い事務を選ぶ男性はいなかっただろう。

役所に男性事務職がいるのは、
役所の給料が「高い」からだ。
給与自体が高額でなくても
福利厚生がしっかりしていて手当もついて、超安定。
安心感でいえば「高い給料をもらっている」のとそんなに変わらない。

ではなぜ事務職の給料は相対的に安いのか。
経営層がこう考えているからだと思う。
・事務は、利益を産まない
・本来の職種の人がやる仕事を代理でやっているだけ
(営業事務でいうと、本来は営業が全部やればいいが営業が忙しいから雇っている)


事務は裏方。
何かビジネスが成功したからといって
「この事務さんがいてくれたから」などと
言われることはない。身内は言ってくれるかもしれない。でも手柄はみんな外に現れる営業さん、開発さんにいく。それはそうだよ。分かります。私たち事務はただ整えただけです。ゼロからイチを生み出す仕事ではない。

…最近思う。
ヒットしたビジネスモデルや商品の裏に、
膨大な事務仕事をしている人がいるんだろうなということを。

メルカリとか。
モチベーションクラウドとか。
タイムバンクとか。
そういう1つ1つのスーパーヒットの裏側に
取引先とのメールのやりとりをしたり、
営業がとってきた案件を書類に起こしたり、
細かくて名もない仕事をしている人がいるんだろうなって。

事務は、楽で簡単な仕事に見えるかもしれない。

でも定型業務ではない事務作業はまったく簡単じゃない。

処理方法が決まっている定型事務は
いずれロボットにとって代わられるだろうが、
非定型事務はずっと人間がやるだろう。
対応の分岐が多すぎて、ロボットに教えられない。人の応用的判断が必要な業務。

なのに「お金を産まないから」という理由で、
事務の地位は低い。

そういえば、あなたの周りにいる事務さんって
抱え込むタイプの人が多くないですか?
「あー、それ、私がやっておくから!」
と言って、仕事をとっていってくれる人。
でもその人が休むと、誰もなーんにもわからない。

それはね、事務の存在意義は「属人」だからです。
属人させてナンボだ。
「あなただから、信頼して任せられる、本当に助かる」
と言われるのが、事務の喜びだ。
「私だから、任されているんだ」
と思うのが、事務のモチベーションだ。

仕事を抱え込むな、属人化させるな、その人がいなければ回らないようでは困る。


正しいです。
でも、それは事務職にとってあまりにつらい。

じゃあ一体私達は何をよろこびとして働けばいいのでしょう。事業全体の成功?? 営業さんの喜ぶ笑顔? 確かに私達事務は整えたい人種だ。それにつけこんで、客観的な評価はせずに、飼い慣らそうとしてる。そんなことを思う。

事務は雑務かもしれないが、
その「雑」というのは「どうでもいい」じゃなくて
あまりにいろいろあって多すぎてひとまとめにできない、の「雑」だ。
雑草という草はない!!(by昭和天皇)
雑務っていう仕事はない、と信じたい・・・。

事務職の女たちよ(男も)立ち上がれ!
やる気のない小娘は退場だぜ。
事務がいなけりゃ回らないと口では言いながら
給料を上げない経営者。
それよりなにより、
事務職から夢とモチベーションを奪い続ける管理職には
ドロップキックだ。

私たちの欲しいものは、営業からの感謝じゃない。(すごく嬉しいけど)
休み時間に配られるお菓子じゃない。(美味しくいただくけど)
エンゲージメントだぜ。
その仕事に私たちも関わっているという誇りだぜ。
便利な手足として使ってると、そのうち痛い目見るよ。

・・・っていうことを飲み込んで
「いいのよ♪ 営業さんたち忙しいんだから、私がやっといてあげる♪」
という「物わかりのいい女たち」がずーっと事務を続けた結果、
事務職の地位が向上しなかったんだと
私は思ってます。

母性とやらは自分の子育てのみに使いましょう。


以上、事務職地位向上宣言でした。モノ言う事務に、私はなる!
(で、すでにマネジャー層からは煙たがられてまーす・・・)

※事務に気を使って営業が仕事が頼みにくい・・・、
という状況を作ることを望んでいるのではありません。
(パターン1と3の事務さんだと、こうなりますよね)
そういうことじゃなくて、
事務であっても
その事業やPJに主体的に携わってるんだという実感を得たいのです。弊社はベンチャーなんで、まだいろいろマシな方だと思いますが。。。

これからも書き(描き)続けます。見守ってくださいm(__)m