見出し画像

デザイナーが社内下請けから脱出する方法-「UPLIFT DESIGNERS MEETUP!」レポート-

こんにちは、オズビジョンでデザイナーをやっている「いのうえ」です。

9/20にオズビジョンが入居している「WeWork新橋」にて、「UPLIFT DESIGNERS MEETUP」を開催しました。

この会は、デザイナーの持つ悩みや課題について、一人ではなくいろんな会社の人たちと、「デザイナーがキラキラするために、組織や事業の垣根を越えて、カジュアルに課題解決する会」の第一回目です。
今回のテーマは「デザイナーが社内下請けから脱出する方法」

他の会社の方と話をしていると、「下請け状態」という言葉を聞くことがあります。
社内でいわれたことだけをやること、「やらされている」感じが強い状態など、ネガティブな印象が強い言葉です。
この課題に対して、どうしたら脱出できるのだろう?という悩みを持つ現場も多いのではないでしょうか?

「WeWork新橋」と「WeWork日比谷」で仲良くなったメンバーによって始まったこの企画。
会の前半は発起人メンバー3名でのトークセッション、後半は私が企画した全員参加のワークショップでした。

今回はそのイベントについて、まとめと感想を書きたいと思います。

■トークセッション

トークセッションのスピーカーは、弊社の不破さんをはじめ、発起人メンバーの方々。

・株式会社リザーブリンク 松川さん(※お写真NGのためアイコン)
・株式会社CACTAS 青木さん
・オズビジョン 不破さん

■そもそもデザイナーって何なのか?

自分自身、「何のデザイナーなの?」と聞かれると困ってしまうという松川さんは、「デザイナー自体がいろんな方向に向いてるし、意味を含めている」とのこと。

「デザイナー」と一口に言っても、よく想像される「絵を描く人」から、目に見えない部分を考えるUXなど、本当に多種多様な分野が生まれてきています。

そんな中で、青木さんはデザイナーに限らず、どの職業も「課題を解決すること」だと考えているとのことでした。
デザイナーは「課題解決のために、効果的な形を生み出す人」ではないかと。

ちなみに、不破さんからは「たとえばゲームのデザイナーの場合、日本と外国でも『デザイナー』の言葉の意味が違う」といいます。そこでも、企画者=デザイナー、可視化する人=アーティストという外国の構図と日本は全く違います。

デザイナーに限った話ではないですが、職種=1つのイメージがどんどんできなくなっている状態といえますね。

■なぜ「下請け」になるのか?

前の「課題を解決すること」が仕事であるという青木さんの発言を受けて、「発注者と受注者という関係になると、発注者だけが『課題を解決する』を担ってしまう」と松川さん。

そのために、どうしても「いわれたことをやらされてる」という感覚が残ってしまうのではないか?とのことです。

さらに不破さんは「デザイナー(デザイン)の力でどれだけお金を生みだせたか」というところから遠いところにあると、より「やってるだけ」を強く感じて「下請け」になってしまうといいます。

現場としても、そこから脱却する方法を教えれる人もおらず、なかなか抜け出せない現状があるのではないかとのことでした。

■脱出するには?

そんな中で、脱出するためには「市場価値を高める・上流に行くことが必要」という青木さん。
先ほどお話しした通り、「どんなソリューションを提供するか」の視点を加えることで視野を広げ、スキルの掛け算で脱却することができるということでした。

何を掛け合わせるかは、自分がのめることからヒントを得ることができる。そこに切り口があるはず。
デザインスキルが高いだけではなく、「この人にしかできない」を作り出せるし、その方が仕事を頼みたくなる
そう。

「デザイン以外の何かを掛け合わせる」は松川さん、不破さんも思うとのことで、松川さんはさらに「お金を生み出す」という視点を持つこと、不破さんは「越境」をキーワードに全く分からなくても手を伸ばしてみるのが大事だといいます。

むやみに伸ばすのではなく、「自分が価値提供できるところはどこかな?」と考えると、より良いと。

デザイナーとしてのスキルの他に、たくさんいるデザイナーの中で自分を選んでもらう「意味」として、デザイン分野以外の何かはプラスαとしてあると心強いですね。

次々と仕事が来る状態だと、つい「来た依頼をこなす」となりやすく、作ってるものがどうなるのか、どれだけの利益になるのかまで考えられないことで、「下請け状態」となってしまう状況に対して、続く質疑応答でも、実際のアクションについての質問が投げかけられました。

■質疑応答

社内下請けから脱出する話ですが、組織を作るという観点での取り組みなどありますか?

青木さん
・カクタス社員は全員パラレルワーカーみんな副業をしている。
・雇用関係が変則的になるといいたいことが言えない、トップダウンになりやすい
・カクタスは「個人として動く」と考えるので自然とビジネス視点を持てる。
・外で身に着けたスキルは結局会社内でも役に立つ。

不破さん
・外の情報をどんどん内部に伝えていく、経営層を巻き込んでデザイナー以外とデザイナーをどうやって生かすか?を考える機会を作った
・たとえば「デザイン組織の作り方」を全員で読む機会を設けた。

松川さん
・一人一人がその道でお金を稼げるような人材になろうと「プロ宣言」を行っている。
・その結果を、個人の評価制度にも取り入れてる。
・社内組織が声を上げることで上に通りやすくなるように、自分の意志が貫ければ変われるところはあるはず。
・折れずにやることは大事かなと思う。


メンバーに脱出してほしいと思ってる。下請け状態のデザイナーのモチベーションを上げる・変えるにはどうすればよいですか?

青木さん
・自発的なチームなら、携わってみたらギャップがあったというところがありそう
・ギャップが生じる前に何かしらモチベーションを維持するためのイベントなりを行っている。
・起きている以上、解決するには結構個人的な話が多いことがある。単純にコミュニケーションを活性化させるというのも必要かも

不破さん
・まず、自分が楽しそうにする、簡単そうに見せる、誘うを行っている。
・領域を広げること、価値を高めるのは楽しいのだということを姿勢で示す。
・逆に難しそうな態度は嫌がられるので、あほっぽく見えても楽しそうに見せて広げる

松川さん
・定性的な内容・定量的な内容をどっちも行っている。
・アジャイルを行い、MTGを10分ぐらい行ったり、否定をしないとしたり、新しい技術を取り入れたりをリーダーが承認する。※アジャイルが良いというより、そういう空気が大事
・みんなで作っているという空気を保つために自分やリーダーが動いている。

■感想:「良いデザイン」を生み出すために

お話を聞いて感じたのは、「デザイナーは可視化させる」というのがすべてではなく、それは最後のアウトプットの部分だけで、「より良いデザイン」を生むためには他にも上へ上へと考えていく必要があるなと感じました。

可視化させるためには、企画への理解があるほうが、より企画に適した「良いデザイン」を作ることができます。
「良いデザイン」がどんなものか、その価値を「いくらお金を生み出したか」で見せることができると、デザイナー以外の人にもわかりやすい。

一つ一つに分解すると今までの「デザイナー」から連想される仕事とは全く違うようですが、実際はすべてが繋がっていることがよくわかります。

オズビジョンでは企画初期から企画者・デザイナー・エンジニアと関わるメンバー全員が参加し、まずみんなで「何が目的で、何のために行うのか?」から企画内容を議論しています。

その中で、目的のために、課題を解決するために何をするのか、必要なことは何かを考えていると、自然とメンバーから「それなら、この方がもっとよさそうじゃない?」とアイデアが出て来ます。

アイデアの中には「そんなところが参考に!?」と思うものもあり、いろんなことが課題を解決するカギになると気づかされます。

目的や課題の解決として、最適なものを作ろうとすると、「いわれたことをやるだけ」と感じることはなくなります。
「やらされてる」から「どうやって解決しようか?」「何のためのものなんだろう?」と考えを切り替えることも、すぐにできる脱出の方法の一つかもしれません。

生み出すデザインが、より最適で、より良いデザインになれるように、
いろんな課題に対して、いろんなアイデアを出すための引き出しを増やせるように、もっと視野を広くもち、もっと最適なアウトプットができるように日々腕を磨こうと決意できたトークセッションでした。

この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?