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ジョージ・ハリスンの過不足ない独特なギター

ちょっと前のテキストで、ギターを始めたばっかりの頃に初期ビートルズの曲のコピーに挑戦したけど、ジョージ・ハリスンのギターが独特すぎてもしかしたら初心者練習曲には向かないのかな?みたいな話を書きました。

私がヤングメェンの頃、ギリギリ昭和の最後から平成の最初の方にかけては、猫も杓子もと言っていいくらいのバンドブームで、憧れがちなギターヒーローもガシガシソロを弾きまくるような派手目の人だったりしました。

私もビートルズ憧れからギターを手に取ったものの、初めて買ったギターはフロイドローズっぽいブリッジのついたヘビメタ用ギターでしたし、ド派手な演奏に憧れたものです。

ということに加えて、一番好きなビートルズのリードギタリストのジョージ・ハリスンって、プレイが独特すぎて真似したりコピーしたりするのが大変で、無意識に避けていた部分があったんです。

ジョージ・ハリスンのギターは聴くもの、真似するもんじゃないみたいな。この感覚は正直、今でもあります。そう、本当に独特なんですもの。

超絶技巧ギタリストみたいな言い方がありますけど、ジョージ・ハリスンの場合はさしずめ超絶センスですね。

あんなギターを弾けたら最高だろうなぁと思いながら、やっぱ真似できないや、彼の曲をコピー演奏することすら超大変だ、って思い続けてはや35年です。

例えばこんな曲って上げてったらキリがないのですが、少しだけその超絶センスがたっぷり詰まった曲を紹介してみます。たっぷり詰まってるのにダダ洩れしてないというそのさじ加減も超絶センスの一要素だったりもします。

ビートルズのオリジナルアルバムには、リンゴ・スターが歌う曲が1曲は入ってるというのがお約束で、カントリーっぽい曲が多いんですけど、それらの中でこの曲が一番好き。完璧なんだもの。

コーラスも見事なんですけど、ギタープレイが完璧です。音色も良ければフレーズも良い。何より良いのはその過不足のなさ。これぞジョージ・ハリスンの個性です。

作曲者としてもとてつもない才能を持っているジョージ・ハリスンの、公式曲の中では最初の曲です。曲としては申し訳ないんですけど、別に何とも思ったことはないです。でも、With The Beatlesの中で決して捨て曲になってないのは、ギタープレイが気持ちいいからです。

曲中のバッキングになってるオブリも非常に気持ちが良いですし、ギターソロも若さあふれて良いです。キンクスのデイヴ・デイヴィスに通ずるような荒々しさ。そしてその中に漂う控えめさ。

ジョージ・ハリスンの曲の中ではアップテンポで乗れる曲なんですけど、ギターのフレーズが完璧すぎます。合いの手のフレーズもこれしかないという過不足なさ。間奏のソロでは珍しく速いプレーをしますが、裏へ裏へと入る独特のノリとフレーズの完璧さ。これはエグい曲です。

こんな曲も見事に弾きこなしちゃうという引き出しの多さと深さ。間奏のフレーズは本当に気持ちがいいです。スタジオ版でも、この映像でも、武道館コンサートでも、毎回手慣れた感じで弾いてます。こういうのって、ジョージ・ハリスンの得意分野なんだろうなと感じます。

ジョン・レノンのアルバムに参加して大活躍の巻。ジョージ・ハリスンと言えばスライド・ギターみたいなイメージもあったりしますけど、この荒々しいロック・スライド・ギターの素晴らしいことよ。

荒々しくて派手なのに、決して出すぎないこの奥ゆかしさ。これ以上ない出る引くのバランスの素晴らしい。音色も自分の曲の時と違って、ジョージ・ハリスンの曲ではあんまり聞けない歪んだスライド・ギターが聴けるってのも貴重です。

こっちは自分の曲でのスライド・ギター。余裕のプレイです。

こうして何曲か引っ張り出して改めて聴いてみて、こうしてテキストを書いてみて思ったことは、ジョージ・ハリスンのギターを語る上でキーワードになってくるのって、過不足がないっていう言葉だということです。

弾きたいから弾くっていうのじゃなくて必要だから弾くっていう。

これって、私ごときが生意気ですけど、やってるしろうとバンドで担当しているリードギターというパートをやる上で意識している部分です。

リードギターってついつい弾きたくなっちゃうんですけど、最初はそれでいいけど曲を仕上げていく段階で必要なのは不要な部分を削って、歌や曲になじませるという作業だと思ってます。

それって、真似はとてもできないけどかれこれ35年間聴き続けてきたジョージ・ハリスンのギターの影響なのかな、なんて思ったりしました。

そのジョージ・ハリスンの憧れたギタリストとしてよく名前が上がるのがチェット・アトキンスというおっさんです。こうして聴いてみると、超絶納得。

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