地面からキャラクター

一元論的に言えば、この世界は数値でできている。木の分岐や葉緑体の量、石の組成と割合。たんぱく質の濃度勾配から生き物の前後、手足の形態ができ、とあるタイミングでこの世に生を受ける。変数が次々と渡されることで、自然は成り立っている。

この自然は地面があってこそ成り立っている。粉々になった星のかけらが集まり、そしてそこに太陽の光が当たったからこそ、最初の海が生まれ、最初の生物が生まれた。人間はその後に生まれた群れだ。地面が先、人間が後。

頭の中でストーリを想像するときは、その逆である。キャラクターがあって、世界観がある、そこに地面が生まれる。もしくは生まれない。変数は逆の順番で渡されてゆく。

地面や自然自体が、実はキャラクターなのである。と言う考え方もできる。我々が大きな凸を山として愛で、雲から物語を見出し、海の穏やかな波間にささやきのようなものを聞き出すのは、それがただある自然ではなく、実は自然をまとったキャラクターであって、彼らを愛してしまっているのかもしれない。そうなると地面の側は我々である。私たち地面から生成された山や海に趣を感じる境地に知らず知らずに入ってゆく。

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