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中小企業の予実管理ツール導入の検討: Excelの限界と費用対効果のバランス

おはようございます、いつきです。

わたしは、予実管理を、ExcelやGoogleスプレッドシートを利用してきましたが、これに限界が生じてきたことに課題を感じています。本記事では、Excelの制約や課題を踏まえつつ、予実管理ツールの導入を検討する際の費用対効果の評価に焦点を当てます。

今回は中小企業(事業数10以下、従業員数500名以下)を想定しています。

Excelの限界と課題

Excelは柔軟性があり手軽に利用できる反面、複雑な構造や大量のデータを扱う場合にはメンテナンスや後継者への引き継ぎが難しくなる課題があります。また、表示の切り替えや使いやすいユーザーインターフェースの提供が難しいという点も挙げられます。

予実管理ツールのメリットと費用対効果の検討

導入を検討する際に注目すべき点は、予実管理ツールの導入によるメリットと費用対効果です。

  • 洗練されたレポートによる精度向上: 予実管理ツールは標準で用意された洗練されたレポートを提供し、精度向上に寄与します。ただし、必要なレポートは他社の事例を参考にできるため、この点は必須ではありません。

  • メンテナンスコストの削減: Excelの複雑化によるメンテナンスコストの増加を抑えることが期待できます。これは導入後のメンテナンスコストの大幅な削減に繋がりますが、初期投資も考慮する必要があります。

  • 予算・実績の入力コストの削減: 予実管理ツールを利用することで、予算・実績の入力コストを効果的に削減できます。これにより、予算作成や経営報告に費やす時間が大幅に短縮されます。

費用対効果の検討と損益分岐点

費用対効果を評価する際には、導入にかかる初期投資と削減されるコストのバランスが重要です。年間の工数削減とそれに伴うコスト削減を具体的な数字で提示する必要があります。

たとえば、私の経験だと、事業数が5個、予実管理で管理すべき部門・案件数が60個という規模で実際にExcel運用で発生していた工数概算は以下です。経営陣は1000万円、財務およ事業責任者は800万円の年収で仮置きすると得られる費用対効果が算出されます。

この場合、約32万円/年程度ならば即断即決できそうな印象がありますが、実際には予実管理ツールはこれほど安価ではありません。調査したところ、予実管理ツールの相場は定価で「20万円+{(ユーザー数-3)*5,000円}/月」となっています。従って、今回のケースでは270万円/年になります。さらに、初期コストとして月額の2~3ヵ月分が必要です。

単純に結果だけを見ると、予実管理ツールの導入によるメリットはほとんど見込めません。しかしながら、予実管理に携わる関係者に求められる価値は高いため、ツール導入により削減された工数で事業成長がどこまで促進されるか、あるいは手間を減らすことで責任者の満足度が向上し、退職リスクが低減するなど、別の視点での評価が必要です。

導入の検討基準と最終的な決断

ちなみに、Excelやスプレッドシートでは処理が難しくなった場合は予実管理ツールの導入を検討することは必須です。

予実管理ツールの導入は、Excelの限界を克服し、業務プロセスの効率向上を図る一手段として検討すべきです。費用対効果の検討や損益分岐点の設定は、ビジネスの特性やニーズによって異なるため、慎重な評価が求められます。適切なツールの選定と導入により、予実管理をより効果的かつ持続可能に行うことが期待されます。

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