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Asus4の「きらきら星」 -さいごのさいご、#朗読あの星 観劇記 -

舞台終盤、「きらきら星」が流れ始めた。

"きらきらひかる おそらのほしよ"

"まばたきしては みんなをみてる"

"きらきらひかる おそらのほしよ"

日本語ではそう訳される歌詞。
あの場にぴったりの曲だった。
しかし、本来の曲と少し、いや、大分違う箇所があった。

コード進行だ。

本来のきらきら星は、(調声がイ長調なら)
A    A/C#   D  A |D   A   E   A |
きらきらひかる おそらのほしよ

となる。しかし、終盤で流れたきらきら星は
Asus4 Asus4 Asus4 Asus4 |Asus4  Asus4 Asus4 Asus4
き   ら   き    ら  ひ  か  る       お  そ   ら   の   ほ  し   よ

と、ひたすらにAsus4だった。

基本的に、sus4(ラ・レ・ミ)はメジャートライアド(ラ・ド#・ミ)に終止する。
つまり、どこかでAsus4はただのAになるはずだった。

しかし最後の最後まで、ひたすらにAsus4だった(と思う)。

本来終止するはずのところへ行かずに、
ただひたすらに漂っていた。

いつか幕が下りる。

しかし、物語の中の彼らにとってはそうでない。

されど舞台は続く。

千秋楽、ぎゅっと台本を抱きしめる吉岡さんを見て、そんなことを考えた。

おしまい


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