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アルコール依存症で亡くなった親友 #6 高校生の時にアルコール遺伝子検査を義務づけてほしい

アルコールを代謝する力には
大雑把に分けると以下の4種類の体質があるようです。

1、アセトアルデヒド代謝→強い アルコール代謝→強い 酒豪
2、アセトアルデヒド代謝→強い アルコール代謝→弱い アルコール依存症になりやすい
3、アセトアルデヒド代謝→弱い アルコール代謝→強い 強くはないが飲める
4、アセトアルデヒド代謝→弱い アルコール代謝→弱い 飲めない

実際にはもっと多くの種類があるのかもしれないし
素人の解釈と説明なので正しく知りたい方は専門機関で調べてください。

3は日本人に多い体質なのですが
2は欧米人に多く日本人では数パーセントしかいない体質のようです。

アセトアルデヒドの代謝は強くて不快感なくお酒は飲めるけどアルコールが抜けるのは遅いという人が多い欧米では夜から飲み始めたら翌朝出社できないので昼間からパーティーをすることが多く、アセトアルデヒドの代謝は弱いからそれなりに酔うけどアルコール分解は早いという人が多い日本では夜飲んで翌朝には出社できるので夜に飲み会をするのが主流なのだそうです。


親友はアルコール依存症リスクが高い体質だった

春樹君は日本では珍しいアセトアルデヒドの代謝が非常に強くアルコールの分解は弱い、アルコール依存症になりやすい人だったと思います。
春樹君がどのタイプか検査したわけではないのですが、どんなに飲んでも顔は真っ白。真っ白というのは人より肌の色が白いというわけではないのですが、お酒を飲みすぎると顔が赤くなる人が多い中で春樹君の場合どんなに飲んでも顔色がピクリとも変わりませんでした。
アルコール3%のようなお酒だったら普通の人でも代謝が追いついてどんなに飲んでも顔色が変わらないということもあり得るとは思うのですが春樹君が飲むお酒の度数は最低でも25%で量もたくさん飲んでいました。

アルコール分解は弱くてもアセトアルデヒドの分解が強いと不快感なく酒を飲むことができてしまう

春樹君は自身をお酒に強いと思っていました。
日本人の多くの人は、ある程度飲んだら具合が悪くなるのでそれ以上飲めません。
春樹君の場合は飲んでいる時は具合を悪くしないで飲み続けることができるという意味では確かにお酒に強かったです。
しかしアルコールの分解は非常に遅いように見えました。
アセトアルデヒドの代謝は非常に強いから不快感なく飲み続けることができるけど、アルコールの代謝は弱く、次の日になってもお酒が残っていて、酔っぱらっている最中ほどはフラフラではなく日常をこなせるくらいまでは酒が抜けているけどイライラしていて荒々しい印象でした。
全くお酒が入っていない時の春樹君は、とてもやさしい人でした。
春樹君は黙っていても人がついてくるような人間だったので好かれようとするタイプでもありませんでした。素のやさしさだったと思う。

性格だと思っていたものはアルコールが体内に長く残っていた影響だった

僕はやがて春樹君が飲んでいる時は一緒にいないようになったので
特に問題なく、ただただ楽しく過ごせていたけど
そういう対策をしていなかった頃は
なんで僕にこんなに酷いことばかり言うんだろうと思っていた。
飲んでいる最中だったらわかるんだけど飲んだ翌日も。

今思うと前の日に飲んだお酒が
ずっと体内に残っていたんじゃないかなと思います。

春樹君は勉強もできて、なんでもできて、とても優秀な人でした。
しかし、お酒を飲むと、とてもそうは見えませんでした。
せっかく多彩な手指を持って生まれてきたのに、アルコール離脱症を起こしている時は手が震えて普通以下になってしまいます。
同じことを何度も言ったり、何度説明しても話が伝わらなかったり、言ったそばから今説明したことをもう一度聞いてきたり、口が回っていなかったりしました。

親友は自身がアルコール依存症であることを認めていた

春樹君が飲んでいる時は話半分に相手にするようになったので
僕は特に負担を感じませんでした。
ただ、そんなに毎日毎日飲んで体は大丈夫なのかなと心配でした。

春樹君はアルコール依存症という診断が出ていました。
自身がアルコール依存症であることを認めていて
やめようと努力して、離脱を起こして、また飲んでしまうことを繰り返していました。

春樹君だってお酒をやめられないことを悩んでいた。
「俺は病気じゃない、病気扱いすんな」みたいな人ではありませんでした。

病気を認めて、悩み、苦しんでいました。
お酒の影響もあってか鬱のようにもなっていたと思います。
僕は励ます言葉は思い浮かばなくて、春樹君が好きなことの話をしたりして紛らわすことしかできませんでした。

飲まないのもアリな時代になりつつある現代

病院、断酒会、周りのサポート、そして本人の強い意志で
アルコール依存症になってからお酒を断って寛解することは可能です。
アルコール依存症になったからって回復方法がないわけでもなければ人生が終わったわけでもありません。回復できる病気です。

しかし、依存症という観点だけで見れば
アルコール依存症になってから回復するよりも
最初から飲まないほうがハードルは低いように思います。

今の時代はノンアルコール飲料やソバーキュリアスという言葉もあって
飲めるのにあえて飲まないことがカッコいいという考え方もある時代です。
昔の時代だったらお付き合い上、飲めるのに飲まないということが難しかったかもしれないけど今の時代なら可能なのかもしれません。

高校生にアルコール遺伝子テストを義務付けて依存症リスクが高い人は最初から飲まないことができたら


まだお酒を飲んでいない高校生の時点で、高3の健康診断にアルコール遺伝子検査を義務付けてアルコール依存症リスクの高い遺伝子を持つ人は20歳を過ぎてもお酒を飲んではいけないという法律にすればいいのではないかと僕は考えます。
予算でやるのは無理というのなら個人の自己負担でもいいと思います。
義務というのが無理だったら希望者のみでもいいと思います。
自己負担だとしてもアルコール依存症を発症してから治療するよりも、発症を防ぐほうがはるかに負担が少ないです。

もしもアルコール依存症リスクが高い人が飲むことを最初から防ぐことができたら本人にも周囲の人もプラスになります。
当人が人生を壊すリスクも、周囲の人を巻き込むリスクも、お酒による事件や事故を起こすリスクも、軽減できます。
悩みが消えるわけではないし元々の性格は変わりませんが、そこにお酒というアクセルが加わることを防ぐだけでも違ってくるのではないでしょうか。

アルコール依存症リスクの高い人が存在する話、アルコール依存症になってしまった人の話、遺伝子検査があるという話を、ちゃんとした内容であれば個人製作のビデオでも動画でもなんでもいいから見せて、まだお酒を飲んでいない高校生の時点で、アルコール依存症リスクの高い人が20歳を過ぎた時にお酒を飲んでしまうことを防ぐことができたらいいなと思います。

アルコール依存症になってからの治療は心も体もお金も大きな負担がかかります。
アルコール遺伝子検査をしてリスクの高い人は予め飲まない選択をするほうが遥かに小さな負担で済むのではないでしょうか。
アルコール依存症になってからでは大変な道となってしまうので、アルコール依存症リスクの高い人が最初から飲まないことができるのであればそれは生涯の宝物になると思います。

「あれっ、何ちゃん飲まないんだ?」「うん、私飲めないの」、「誰さん、飲まないの?」「はい、飲めるけど飲まないんです」と、
今日の朝ごはん何食べたの?パンです、魚ですみたいな感覚で
当たり前に飲めません、飲みませんと言える、それが普通の世の中になったらいいなと思います。

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