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頑張れフェローさん~帯状疱疹の話~

新元号への期待感に溢れていた2019/4/30

平成の大晦日とも言われ、10連休に心休んでいるはずの日に僕は異変を感じていた。

後頭部左側、左耳の裏側が痛む..髪の毛を触るとピリピリとしたような痛みも感じる。

これはなんだ?

虫か何かに刺されたかだろう。楽しい10連休を過ごす事にしよう。

そう思って気にしないようにした。

違和感から3日目

朝起きて鏡を見ると、あごの左側にただれのようなものが出来ていた。

あれ?また何かに刺されたかな?

いや、特にアウトドア的イベントには行ってないし、やっぱり何かおかしいのか。心に不安がよぎる。

「身体の小さな変化なんて割と起こる事じゃん、気にしなくても治るよ!」

心の中のポジティブが顔を出す。

「もしかしたら重大な病気の可能性があるぞ!片側ピリピリしていて、爛れてるなんておかしいぞ!」

ネガティブ部分も声を大きくする。

どちらにせよ予定はあるし、救急で診察かかると診察代高い。

様子見、経過観察、自然治癒!!

とネガティブな声をかき消し、GWのイベントをこなすことにした。

違和感から4日目

最初に出来ていた、後頭部左側の腫れは引いてきたようにも感じる。左あごのただれも収まったような気もする。やっぱり虫刺されとかの軽症かな。

そりゃそうだよね、最近病気関連で何かあったわけでもないし、まだ若いんだから、病気とかにもならないでしょう。

GWで心も体もずっとリラックス状態だし、妻とのゆっくりとした時間や、趣味のスポーツ観戦、仲のいい友人たちとの飲み会など普段できない事を楽しくやっている。

この状態で病気になるほうがおかしい。

「楽観、楽観!何もない!」

そう心に言い聞かせた。

違和感から5日目、6日目 ついに発症した感が強くなる

楽観を決め込んだ次の日の朝鏡を見ると、左あごのただれと同じただれが左首に出現!!

ピリピリした感じも今までより強くなっている感じがする。そしてリンパと思われる個所に数個の腫れが出来ている。

これは明らかに何かを発症している。ガンか、いや考えが軽率すぎるか。でもなんの病気なんだ。

あ~リラックスWeekに悩みごとは作らないでくれ!

とにかく、先生に聞こう、Google先生!

なんと打てばいいのか。

・耳の後ろ 痛い
・後頭部 違和感
・左耳の後ろ 押すと痛い

とにかく症状に近そうなものをしらみつぶしに見る。
んーーどれもピンとくる症状では無いな。

この症状はなんだ。

Google先生を使いこなすためには、検索者の力量が必要。仕事でも散々言っているような気がする。医療の知識などない僕にとって、力量があるはずもない。そして、この症状を人にうまく説明出来る自信も無い。

どうすればいいのか。

判断できないことを先送りする僕の悪いクセを利用することにしよう。明日は明日の風が吹く。起きたら意外と治ってたりするよ。

こうして、僕は寝る事にした。

違和感から7日目 ついに深刻に考える時が来た

朝起きると左くび付近に新たなただれが出来ている..さらにこいつはかゆみも伴ってきやがる。

昨日までとは更に違うものだ。

これに加えて、左肩も痛い。

確実におかしい。

数日前妻に言われたことを思い出す。

「それって帯状疱疹じゃない?」

タイジョウホウシン、たいじょうほうしん、帯状疱疹ってなんだ?

調べて見ると確かに、症状は似ている気がする。

・身体の左右どちらかにピリピリとした痛み
・赤い斑点と小さな水膨れが帯状に現れる

まさにこれだ!これこそ今の症状にマッチした病気じゃないか!

素人がWeb上の情報で判断するのは危険であると認識しつつ、自分の症状が分かった気がする安心感に浸っていた。

そして僕は病院に向かう事にした。

診断はやっぱり

救急外来の受付を済ませ、問診を受ける。症状の説明と、自分が調べた限りでは帯状疱疹に近い症状があると伝えると問診してくれた医師さんの表情が曇る。簡単な目視による診断を終えると、急いで看護師さんがやってきた。

「こちらへどうぞ」

歩みを進めて、通された部屋は「感染症」と書かれた部屋だった。部屋に入ると「マスクしてください」とマスクを渡された。なんともいたたまれない気分が襲う。

誰が悪いとかは思わないが、感染症として隔離されるような感じは決して気分が良いものではなかった。合わせて、なんだか重い病気だったらいやだなと不安感が募る。

トントン

「失礼します。 診察を始めますね 。」

お医者さんが2名顔を覗かせる。

「あ、聴診器持ってくるの忘れました!」

若いお医者が言う。

「あ、すみません、もう少しお待ちください。」

先輩らしきお医者が言う。

ガラガラ

ドアが閉まる。

「おーーーい!!」

こっちは多少なりとも緊張しているのだ。更なる不安感を与えないでくれ。と私の心が叫ぶ。


「お待たせしました。」

若いお医者が戻ってきた。コードブルーでいう「フェロー」を想像して欲しい。まさにそんな感じの方だ。

話は逸れるが、僕はまだ不慣れな状態で頑張っている方が好きだ。誰しもスタートラインがあり、そこで斜に構えず、頑張る姿勢がある事は素晴らしい事だと思っている。もちろん医療の世界を知らない僕にとって、尊敬できるというのもポイントだ。

そこで問診の時より多くの情報を出すことを心がけた。

・症状や痛みの箇所
・数日間の行動
・帯状疱疹と似た症状が出ていること

可能な限り答えた。

フェローさんはなるほどと頷きながら、僕に質問をする。

「水疱瘡(みずぼうそう)にかかったご経験は?」

「近くに帯状疱疹になった方はいらっしゃいますか?」

「下痢、嘔吐、咳、鼻水など症状はありますか?」

帯状疱疹よりの質問が多いなと感じながら、回答する。

「分かりました。では上級医師と相談してきます。」フェローさんは言った。

大丈夫だろうか?と不安はありながら頑張れと心の中でフェローさんを応援する。

「お待たせしました。」

フェローさんが戻ってきた。

「上級医師と相談した結果、帯状疱疹の可能性が高いと診断致します。ちなみに帯状疱疹って聞いたことありますか?」

「帯状疱疹って聞いたことありますか?」

「帯状疱疹って聞いたことありますか?」

「帯状疱疹って聞いたことありますか?」


え?僕は自ら言ってましたよね?聞いてました?どういうことなのでしょうか!!と心で騒ぐ気持ちを抑えて、フェローさんの説明を聞いた。

詳細な説明を聞き終えて、ではこれで診察を終えますと言われるとフェローさんが

「この後どうするか分かりますか?、この部屋誰と来ました?、どうすればいいんだろう..」

僕は知らない。頑張れフェローさん。



追伸


フェローさんやWeb上では、帯状疱疹は免疫力が下がったときに発症しますと言っていた。

ところで免疫力ってなんだと思いますか?

ストレスや疲労、加齢、食生活などで乱れるとよく聞きはしますよね。でも今回はGW、しかも10連休真っ最中で、心も身体も十分な休息があり落ち着いていました。僕は暴飲暴食をするタイプではないし、食生活も特質した点はないはず。

それでも免疫力が下がったというのでしょうか。

僕は免疫力について理解するのは程遠いなと感じた。


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