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PAM8403のノイズ調査 - オシロスコープでの波形分析

PAM8403は、入力されたアナログ信号をパルス幅変調(PWM)します。データシートを見ると、スイッチング周波数は260kHzです。電源電圧がほぼそのまま出て、260kHz間隔の方形波が幅だけを入力の電圧に応じて増えたり減ったりします。

最初に調べていていたときは、200kHz簡易オシロスコープで見ていたのと「ノイズが出ている」という思考バイアスがじゃまをしてその辺が理解できていませんでした。そもそも昔ながらのPWMアンプがD級アンプという名前だったなんて(笑)。当時PWMアンプなんていい加減なものはいい音がするはずがないと、頭から否定していたのに世の中のかなりのものがそうなっていたとは(ジジイの繰り言ですね)。

すぐ上の図は70MHzまで測定できるデジタルオシロスコープで見た、無音時の波形です。スピーカーに形は少し崩れていますが、この波形がそのまま入ります(スピーカーの+-でこの波形が反転して入ります)。VUメーターに利用しようと思っていたPAM8403の出力をブリッジで整流してしまうと、この成分が無音でも電圧として出てしまいます。

入力電圧が上がればすぐ上の図のように、周期は変わらずパルスの幅が広くなります。

もっと電圧が上がればすぐ上の図のように、もっとパルスの幅が広くなります。入力が音声だと連続でこの変化が起こります。

最初にすぐ上の図のような波形を見ちゃうと「すごく細かいノイズが載ってる」と思っちゃったわけです。PWMアンプってそういうものだとわかっていなかったのが原因でした。元の音声入力の波形は次の図のようになります。

PAM8403 の出力にコンデンサをパラに入れたのが次の図です。2つ前の図と比べると、260kHzのヒゲみたいなのがかなり消えていることがわかります。

このような LPF の追加により、PAM8403の出力から得られるノイズが低減されます。ただ、スピーカーから聞こえる音にそれほどの変化が感じられないんです。ただ、耳が悪いだけかもしれませんw

しかしながら、これはあくまで一例であり、環境や使用する機器によって結果は異なるかもしれません。そのため、ノイズ問題に取り組む際には個別の状況に合わせた対策が必要です。

今回の調査では、オシロスコープを用いて波形を分析することでPAM8403のノイズ特性について理解を深めることができました。ノイズの発生源や周波数特性についての詳細な解析を行うことで、より適切なノイズ対策が可能となります。

次回は、さらなる対策や他のノイズ除去方法についても探求していきたいと考えています。ご興味のある方は、ぜひ続きの記事もご覧ください。

余談:データシートのアプリケーションノートに以下の記述がありました

  1. PAM8403がLCフィルタを使用する場合、電源投入前にスピーカーと接続する必要があり、そうしないと破損しやすくなります。

  2. PAM8403がLCフィルタを使用しない場合、スピーカの出力ラインにフェライトチップビーズを追加することで、起こりうる電磁波を抑制することができます。
    電磁波の干渉を抑制します。

なんか出力にLCフィルタかフェライトチップビーズを入れないと EMI がガンガン出ているような記述ですね。また、それをした場合、スピーカーを繋げないで電源を入れると壊れるかもって怖いことが書いてありました。

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