いけまつたけし

面白いものを創作・紹介・企画・立ち上げる人 http://blog.ikemax.co…

いけまつたけし

面白いものを創作・紹介・企画・立ち上げる人 http://blog.ikemax.com/

最近の記事

    • キオクオフ

      キオクオフで君との記憶を売った。嬉しいこと、楽しいこと、悲しいこと・・・・・・。全てあわせて買い取り額は105円だった。「どうしてこんなに安いんですか?」と店員にたずねると「他のお客様が同じ記憶を先日売りに来た」とのこと。

      • 仮想彼女の微睡

        あの人にリアル彼女が出来てバーチャル彼女である私の役目は終わった。私はゲーム機から元の箱に戻されて長い眠りについた。あれから数週間。ゲームの起動音で起こされた私は憔悴しきった彼の顔を画面越しに見た。慰めの言葉は心にしまってキャラの設定通りにツンツンしてあげよう。

        • 記憶図書館

          記憶図書館では、他人の記憶のかけらを5つまで借りることができる。貸出期間は2週間。うっかり延滞してしまうと、預けておいた自分の記憶の一部を図書館に没収され、誰かに貸し出されてしまうので注意が必要だ

          ゾンビ逃避行

          ゾンビになった彼女を連れて北へ逃げた。ゾンビ化した人間は保健所が引き取る決まりだが、愛する人を保健所に渡すことなどできぬ。辿りついたのは海沿いの寂れた墓地。彼女の口に嵌めていた拘束具を外す。さあ、噛み付いておくれ。誰もいない場所で二人ゾンビとして永遠に暮らそう。

          ゾンビ逃避行

          トーストをくわえて走る少女

          トーストをくわえてえて家を出たあの朝から数年。私は運命の人と交差点でぶつかるために今も走り続けている。もっとも今は交差点はおろか、おそらく日本ではない荒涼とした大地を走っている。トーストはもはや跡形もなく代わりに野ネズミをくわえて走る。運命の人に巡り会うために。

          トーストをくわえて走る少女

          執事バーガー

          一昔前の都市伝説「執事バーガー」。ファストフードの店員が全員執事で至れり尽くせりのサービスをしてくれるという。噂によると執事バーガーにハマって無一文になった女性客はメイド服を着せられ会員制の「メイドバーガー」で働かされているらしい。そういえば行方不明のオマエの姉貴、見つかった?

          執事バーガー

          雨女

          雨女は雨の日にだけ現れる。 薄水色の傘に同色の短いワンピース。 さっぱりした顔立ちに短めの髪。 美人だけど、どこかさみしげな雰囲気。 雨の日に、僕は何度か彼女とすれ違う。 駅のホームで。 街中で。 古本屋の前で。 彼女とすれちがったあとすぐに 決まって雨が止む。

          首都高

           金曜日から土曜日へと日付が変わって小一時間。ようやく仕事を片付けた僕は会社の前でひろったタクシーに乗り込んでネクタイを緩めた。車は首都高の芝公園入り口に向かっている。この時間なら湾岸線経由で自宅まで20分もかからないはずだ。しかしどういうわけかレインボーブリッジに入る手前で予想外の渋滞につかまってしまった。車が一歩も進まなくなってから数十分。交通整理用の誘導灯を持った警官が前方から歩いてやって来て言った。 「ここから先は車両通行止めとなりました。徒歩での通行をお願いしま

          魔法少女になれる薬

          ねえ、知ってる? 「マジカルガール」っていうドラッグが 女子中高生の間で密かに流行ってるんだって。 うん。クラブとか、学校で売買してるコたちもいるみたい。 ハート型の透明なキャンディーみたいな形で 味も氷砂糖みたいらしいんだけど 効いてくると空を飛べたり 頭に思い浮かべた好きな魔法が1つだけ使えたりするんだって。 幻覚って意味で「空を飛んでる」とか 「魔法を使える」とか言ってるのかは定かではないけど 魔法少女になるとその力を使って 自分がいちばん叶えたい

          魔法少女になれる薬

          魔法のメガネ

          現実の世界をあなたの都合の良いように改変して見せる魔法のメガネが開発されました。 フレーム右下にある小さなツマミをクリックするとメガネの中にある通信機が クラウドサーバー上のデータベースに接続されあなたの趣味嗜好に合った仮想現実をリアルタイムで解析しメガネのレンズに映しだします。 これによって上司に怒られていても褒められている気分になれますし いつも不機嫌そうな奥様も若かりし頃の美しく可愛らしい姿に見えます。 満員電車は酒池肉林。 日の丸弁当は回らないお寿司に早変

          魔法のメガネ

          天使の羽

          「お母さん、どうしてわたしのせなかのここはぽっこりしているの?」 わたしが自分の肩甲骨のあたりに手をまわしながらたずねると 「大人になるとそこから羽がはえてくるからふくらんでるのよ」 と教えてくれた。 「でも、お母さんは大人なのに羽がはえてないよ」 わたしが言うと 「お母さんもいつか生えてくるのよ。いつかね」 わたしの髪を細い指でくしゃくしゃしながら言った。 ある日わたしが幼稚園から帰ってくると、お母さんはどこにもいなかった。 何日待っても帰ってこなかった。

          これから「擬人化」はマーケティング的に重要キーワードになってくるはずです。『トヨタがついにやっちまった!「プリウスのパーツ擬人化」しかも豪華声優陣!』 https://baim.abcnavi.com/topics/591

          これから「擬人化」はマーケティング的に重要キーワードになってくるはずです。『トヨタがついにやっちまった!「プリウスのパーツ擬人化」しかも豪華声優陣!』 https://baim.abcnavi.com/topics/591

          不思議なメガネ

          ある日、会社の前で不思議な形のメガネを拾った。 一見普通の黒ぶちメガネなのだが、よく見るとフレームに細かい幾何学模様が彫りこんである。 試しにかけてみると人の頭の上に何やら文字が浮かんでいるのが見えた。 「歩」や「金」、「桂馬」などの文字が見える。 将棋の駒? メガネをしたまま自分の部署に戻ると同僚の田中が話しかけてきた。 ヤツの頭の上には「歩」。 そして部長を見てみると彼の頭には「銀」。 営業トップの木村と吉田の頭上にはそれぞれ「飛車」と「角行」。 帰宅し

          不思議なメガネ

          変身少女

          アタシは変身少女っ! 魔法の妖精からもらった変身コンパクトで何にでも変身できるの♪ 昨日は婦人警官になって一日所長♪ おとといはモデルになってファッションショーに出演♪ 先週はアイドル歌手になって全国ツアーに行ってきたの♪ ステキでしょ? ・・・ でも本当はアタシ、変身の副作用なのか 数日前から記憶喪失になってしまって 本当の自分が誰だか忘れてしまったんです。 帰るべき家すらわからない状態で・・・。 本当のアタシは誰なんでしょう?

          汗をかく女

          とある夏の休日の昼下がり とあるとんこつラーメン屋の片隅で 20代前半くらいの整った顔立ちの女が 額から汗をダラダラ流しながらラーメンを食っている 汗で化粧は取れかかって 眉毛なんか外側から半分以上が消えていた 彼女は花柄のタオルハンカチで顔中の汗を拭うと 替え玉をたのんでコップの水をグビリと飲み干した 替え玉が来ると 彼女はどんぶりにおろしにんにくとしょうがを大量に入れて 黙々と二杯目のラーメンにとりかかった 再び彼女の額から大量の汗が噴出してきた