ゴビ砂漠を4日間歩きました

5月10日から5日間、中国人が主催するゴビ砂漠を歩くイベント「战神杯」に参加しました。
4日間歩いて、合計108kmを完歩します。
その間はずっと砂漠で過ごすため、電波なし風呂なしテント泊という、シティな生活とはかけ離れた日々を送ります。
その結果、電波がないので仕事からもプライベートからも(強制的に)離れ、2kgほど体重が落ちました。

デジタルデトックスしたければ、砂漠へゆこう!
痩せたければ、砂漠へゆこう!

参加までの経緯

中国・深圳に住む友人に誘われたので参加しました。砂漠を完歩するというのが深圳のアントレプレナー精神と合致するところがあるらしく、深圳ではこういった砂漠を歩くイベントがたびたび企画されるそうです。

参加までの流れが少し変わっていて、このイベントに参加するためのクラウドファンディングページを立ち上げた後、友人・知人から寄付を募るもしくは自分でお金を入れてプロジェクトをサクセスさせる必要がありました。わたしもほとんどは自己資金で参加しましたが、一部、このイベントの参加者や深圳の日本人コミュニティのみなさんにご協力いただき、晴れて参加できることになりました!(ありがとうございます!)

1日目

初日からいきなり歩くのではなく、この日は午後すぎから開会式や企画説明、懇親会が催されました。これらの催しは、真っ赤なカーペットが敷かれた宴会場で開催され、演出も音楽や映像を存分に用いたかなり盛大で派手なものだったので、島国日本と中国大陸のスケールの差をひしひしと感じました。

企画説明の際には、協賛企業からプレゼントも大量に貰いました……!砂漠歩行に必要な靴カバーやフェイスカバーのようなアイテムから、記念マグカップや美容パック、supremeの電子タバコまで(吸わんし、ニセブランドだし)。

また、クラウドファンディングのページからもお察しのとおりですが、このイベントは基本的には中国人が参加するものなので、説明はすべて中国語でした。わたしは我ながら「よく中国人だらけの環境に飛び込もうと思ったな!」と思うほど中国語ができないので、スライドに映された漢字群からある程度説明の内容をエスパーすることはできれど、正直ほとんど何言ってるか理解できなかったです。重要そうなことは日本人の友人に翻訳して貰っていました。

イベント参加者はだいたい全体で250人ほど。そのなかで、歩いたり、寝食をともにする際に協力し合うため、またこのイベントは一応チーム対抗タイムマッチ(チームの中で5番目にゴールに到着した人のタイムを競う)という側面もあるため、10人単位でチーム分けされました。
わたしが所属したチームは「熊猫队(パンダ隊)」。他のチームに比べると大変国際色豊かなチームで、日本人の友人や、わたしと同じように中国語が話せないインド人も同じチームでした。
また、英語が話せる中国人のチームメイトもふたりくらいいたので、コミュニケーション上大変助かりました。
他のチームメイトとは、主にボディランゲージと雰囲気とノリで会話をしていました。

2日目

朝7時にホテルのロビーに集合し、バスで砂漠まで移動、時から歩きはじめました。初日は「体験日」とされているので、タイムは競わず、他の日に比べると少し短い23kmほどの歩行です。

砂漠というと、あたり一面砂というイメージがあったのですが、意外にも、砂利道や固い地面が多かったのには驚きました。ちなみに、砂地は驚くほど歩きにくいし、靴のなかに砂が入るので超つらいです!

砂漠で推奨されている格好は以下の写真のとおりです。日差しが強かったり砂嵐が起こったりする過酷な環境なので、つばが長めの帽子とサングラスとフェイスマスクで、頭や目、呼吸器官を守ります。足回りは履きなれた運動靴と分厚い靴下を推奨されました(登山シューズは硬いため、足に豆ができてしまうことが多いのだそう)。我ながらかなり怪しい格好ですが、この「映え」とは対極にあるような格好おかげであまり日にも焼けなかったのでそういう意味ではたいへんよかったです。

この日は、チームメイトの女性と一緒に歩きました。体力的にもこの時は大変余裕があり、雑談したり、スマホで写真を撮ったりしながら歩いていました。だいたいこの日は5時間くらいでゴールしました。

ゴール地点には、でっかいゲートが建てられていて、太鼓の音が鳴るなかゴールテープを切ります。先にゴールしていたチームメイトが待機してくれていて、抱きしめあったり、写真を撮ったりして、この瞬間はおおいに盛り上がります。

到着後は、チームごとに用意されている大きなテントで休憩したり、ストレッチしたり、雑談したり、睡眠をとったりと、各々好きに時間を過ごします。
18時半に夕食を食べたあと、夜はキャンプファイヤーがありました。チームごとに即興で歌やダンスや演劇などの出し物をしたり、火を囲んで踊ったり、言語依存のないものも多かったので、外国人であるわたしも充分に楽しめました。

また、現代の人権ともいうべき電波に関してですが、1日目の途中に砂嵐に見舞われているなか、完全に繋がらなくなりました。ここから合計4日間、インターネットに繋げないのはもちろん、外部との連絡が一切できなくなりました。
そのため、やり残した仕事や連絡し忘れたことを思い出すたび、罪悪感に苛まされ、これが個人的には精神的になかなかキツかったです。
この日は他のメンバーがスマホを高く掲げている姿や電波を探してうろうろする姿を多く見かけたので、わたしと同様に多くのメンバーにとって電波がないことは死活問題だったのだと思います。

3日目

朝5時半、突然ハイテンションな音楽が爆音で鳴り響き、起床。朝食を食べ、支度を整えて、歩きはじめます。ちなみにご飯は普通にめっちゃ美味しい。今日からはタイムを競うので、歩くイベントでありながら、走っている人もいました。この日は前日より少し長い33kmを歩き(走り)ます。

この日歩いたのは、地面が固い上にほぼ平地だったのでとても歩きやすかったです。しかし、景色の変化が少なかったので、視覚的にはやや退屈だったかもしれません。

どこもとても広大な平地だったので、休憩所や5km以上先にあるゴールも余裕で捕捉できました。しかし、やはり距離的にはそれなりに離れているので、見えているのに歩けども歩けどもたどり着かないというなんとも不思議な感覚を味わいながら歩きました。

この日は、深圳在住の女子高生とともに、雑談したり、音楽を聞いたりしながら歩きました。日本の音楽もよく聞くそうで、その子のプレイリストに入っていた米津玄師やRADWIMPSの曲をかけてくれました。

お昼は、休憩用にテントが張られているスペースで食べます。とはいえ、休みすぎると歩く気力が失われてしまうので、10分くらいで済ませられるよう心がけていました。

この日はマイペースに、およそ7時間ほどでゴールにたどり着きました。足は疲れたけど、それ以外に不調もありません。
それなりに距離はあったけれど、常に傾斜がある山登りよりつらくないように感じました。

しばらく休んで夜ご飯を食べたのち、それぞれのチームの代表者がこのイベントの感想を述べるというアクティビティがありました。このアクティビティはかなり言語依存が高かったので、日本人の友人にところどころ翻訳して貰いながら参加しました。

終了後、23時くらいには就寝。ぐっすり。

4日目

朝は前日同様突然ハイテンションな音楽が爆音で鳴り響き、強制起床させられます。朝弱いので、毎日聞くアラームの曲は大抵嫌いになるんですけど、この音楽は砂漠生活2日目にして大嫌いになりました。

この日は、33km歩きました。道も木が気持ち多めに生えているエリアや、砂地、砂丘など、バラエティに富んでおり、飽きない景色が続きました。

しかし、体力面で言うと、アップダウンや砂地はかなり体力を吸い取られるし、ここ数日で溜まった疲労もあるためか、前日よりもすこし消耗ぎみでした。

そこへさらに追い討ちをかけるように、一緒に歩いていた女の子が周囲の人と口論になり機嫌がめちゃめちゃ悪くなるハプニングが発生。口論が中国語だったので、怒ってる理由が把握できない。歩みもずいぶん遅くなり……。
途中、最後尾になってしまったときには、この日はもうゴールできないことを覚悟しましたが、周りの人がすっかり足が動かなくなってしまった女子高生をステッキを使って引いてくれたり、荷物を持ってくれたり、たくさん手を貸してくれました!
思えば、すれ違うたびに「加油!(がんばって!)」と言われたり、食べ物をわけてくれたり、ほんとうにみんなすごく優しい(涙)言葉通じないのに(涙)

時間はかかってしまったけれど、周りの方からの支えもあり、なんとかゴールまでたどり着くことができました。たくさんの優しさに触れたエモーショナルな一日でした。

5日目

ようやく最終日。例のごとく爆音の…(以下略)。

最終日は朝3時半に起こされ、朝食を食べたあと、日が昇っていないなか、懐中電灯を点灯させながら歩行を開始しました。さすがに疲労が溜まって、足が棒のようになってました。


最終日は、個人個人に別れて歩くのではなく、まだ暗い間は参加者全員で隊列を組んで歩き、明るくなってきたらなんとなくチームごとに固まって歩きました。

星がきれいに見えたり、空が白ばみ朝日が登るところを見れたり、朝日を受け、砂丘の陰影が一層美しく見えたり、真夜中から歩くのもなかなかよいものでした。

最終日は歩くのは19kmと短めなのですが、砂地が多かったり、およそ500mの砂の山を登ったり、結構ハードな道のりでした。しかしその分、たくさんの素晴らしい記憶に残る景色に出会いました。

最後ゴールまで残り1kmというところで、リーダーの先導のもとリーダー以外はみんな目隠ししてゴールに向かわなくてはいけないミッションがありました。マジでなんも見えん。

で、ようやくゴール!!!

ゴールテープを切ってゆく!!
うわああああああい!!うおおおおおおおおお!!!

また、電波!風呂!布団!と久しぶりの再会をして、エクストリームスーパーハッピーな気持ちになりました。ずっと会いたかったぞ〜〜〜!!!

歩行は午前中には終わり、午後はホテルに戻ってゆっくりして、夕方からは参加者みんなのお疲れ様会が催されバチーンと打ち上がりました。ビールがうまい!

別に砂漠でお酒を禁止されていたわけではないのですが、毎日起きて歩いて疲れて寝るのループだったので、参加者みんな久しぶりのお酒にテンションがあがっている様子でした。飲み会はなんというか、テーブルに誰かが回ってくるたび一気するとかいう昭和マッチョ文化がこの地では健在だったのでびっくりしました。(わたしの世代は、サークルでもコール禁止&強要禁止がわりと普通の世代なので、この文化に遭遇するとマジで驚く)

また、豪華盛大な文化も健在で、大量に賞が用意されており、表彰が行われました。わたしもチームに元気を与えましたで賞的なものを貰いました。

そういった感じで豪華に盛大に打ち上がって、このイベントは幕を閉じました。

まとめ

砂漠を歩くイベントとはじめに聞いた時は、灼熱地獄の砂地を数日に渡って歩かされるのかと思っていましたが、この時期のゴビ砂漠は、お昼は多少暑くなりますが全体を通して過ごしやすい気温で快適に歩けました。体力的には、ずっと傾斜じゃないぶん富士登山よりも楽だったかなあと思います。

多くの人から懸念事項とされていた言語の壁ですが、同じチームに日本人の友人と英語を話せる人がいたので、ギリギリなんとかなったかな〜〜という肌感です。あまり英語は通じません。かなり楽しかったけど、中国語ができたらより楽しめるイベントだったんだろうな。

あと、砂漠ではさまざまなもの(電波、風呂、ふっかふかの布団など)が足りないのですが、意外となくてもやっていけるなあと思いました。
特に、電波は人権なので、インターネットに繋がったスマホやラップトップがあって当たり前の世界線で生きてきたわたしにとって、4日間デジタルデトックスしたのは新鮮な体験でした。スマホがないと、情報の正確性を担保できないので「多分〜〜だった気がする」みたいな会話が増えたり、目の前のコミュニティから逃れられなかったりする側面もありますが、顔が自然と上向くようになるし、対面のコミュニケーション量がグッと増えて、人間関係のあたたかみをより感じることができました。
あと、意外だったのは、久しぶりにTwitterにログインしたとき、リプライ欄がクソリプのはきだめみたいになっており、クラクラしてしまったこと。ふだんは日常的にTwitterをやっているから、クソリプに対する耐性ができてしまっていたのかもしれません。「いや???冷静に考えて???なんで知り合いでもない人に対してそんなこと言えんの???」という感覚を3日間で取り戻すことに成功しました(よいやらわるいやら)。残念ながら、電波復帰後3日くらいで前と同じような感覚に戻ってしまったけど。

いろいろぐだぐだ書きましたが、わたしはこのイベントに参加できて心から良かったし、楽しかったです。このイベントは、言ってしまえば「歩く」、ただそれだけのイベントです。他にコンテンツはほぼありません。
正直、参加する前は、長時間歩くだけってさすがに飽きるんじゃないのかと心配だったのですが、歩いてみると、終始充実感があったし、何より大地を踏みしめて蹴り出すシンプルな行為の尊さや、人間として生きる幸せのようなものを感じました。普段は「ごはんがうまい」ぐらいしか考えてない人間なのに、歩くだけのこのイベントにここまで抽象的な感想を持つことになると思いませんでした。人として生まれて、これまで生きてきてよかったなあ……。

砂漠歩行は意外とよいものなので、みなさん機会があれば参加してみてください。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

89

池澤 あやか

ソフトウェアエンジニア、ときどきタレントです。テクノロジーとガジェットとカレーが好き。

note編集部のおすすめ記事

様々なジャンルでnote編集部がおすすめしている記事をまとめていきます。
2つ のマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。