日本の化石燃料依存度は未だ9割!!(エネルギーを知るシリーズ)

「脱炭素の実現」は人類にとって最優先で取り組まなければならない目標であるが、世界全体の二酸化炭素排出量は未だ右肩上がりの傾向が続いている。日本では省エネも進み、エネルギー需要のピークは過ぎて、減少傾向に入っているが、脱炭素はどれだけ進んでいるのであろう?
 

図1. 発電電力量の推移(エネルギー白書2022 第214-1-6より)

まず、発電部門を見てみよう。図1は、エネルギー白書2022からとってきた発電電力量の推移を示している。2020年度の総発電量は、10008億kWhで、その内訳は水力(7.8%)、石炭(31.0%)、LNG(39.0%)、石油等(6.4%)、原子力(3.9%)、新エネ等(12.0%)となっている。新エネ等と水力を再生可能エネルギーに、石炭、LNG、石油等を火力としてまとめると、再生可能エネルギー(19.8%)、火力(76.3%)、原子力(3.9%)という割合になる。つまり電力における化石燃料依存度は76%だ。
 我々が使っているエネルギーは電力だけではない。運輸部門や産業部門では、重油・軽油・ジェット燃料などの様々な石油製品が使われているし、都市ガスは企業でも家庭でも使われている。それらすべてのエネルギー消費量と内訳については、エネルギー白書のエネルギーバランス・フロー[最終エネルギー]の項目をみるとわかる。
 2020年度の最終エネルギー消費総量は、12.082(EJ)であり、そのうち電力は3.289(EJ)となっている。1J=2.78E-7kWhで変換すると9143億kWhとなり、図1に示した発電電力量の10008億kWhの91%ほどで数字が合わないが、送電ロスが9%程度あるということだと思われる。また、最終エネルギー消費量でみたときの電力化率は27.2%となる。
 電力の最終消費量3.289(EJ)における、電源構成比は、発電電力量で見たときと同じと仮定してグラフに表すと図2のようになる。

図2. 電力エネルギー消費量の内訳(エネルギー白書2022 第211-1-3&同第214-1-6のデータより)

この電力消費量に、電力以外のエネルギー消費量を上乗せすると、図3にようになる。家庭で使うエネルギーの半分は電力なので、電力以外のエネルギー消費については忘れがちだが、家の外では家庭でのエネルギー消費量の2.7倍ものエネルギーが使われていて、私たちの生活を支えているのである。

図3. 最終エネルギー消費量の内訳(エネルギー白書2022 第211-1-3より)

図3で示した、電力と電力以外のすべてのエネルギーの最終消費量でみたときの、再エネ:原子力:化石燃料:その他 の割合は、5.5%:1.1%:86%:8.9%であることがわかった。つなわち、日本では未だ、総消費エネルギーのうち86%を化石燃料に依存しているのだ。

図2,図3の数値データは以下のエクセル


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