見出し画像

誰かの表現を借りてみる

昨日『情景描写で、世界の見え方を考える』を投稿したところ「参加できなくて残念だった!」「もっと知りたい」という声をたくさんもらった。

そこで今日は、自分の備忘録として書いた ヨーリックからの参加者全員の情景描写に対するコメントを共有したい。どれも的確でわかりやすく、文章力・表現力を磨きたい人には参考になるはず。

私自身は「文章を書く」ことを学んだことは、過去に一度もなく、ずっと感覚で書いていた。そのため、ふんわりと感じていたものがヨーリックの言葉ではっきりとした意味を持つようになり、頭の中はチカチカ・ピカピカの連続で、今にも「わかった!」と大声で誰かれ構わず話したい気分になった。

この一連の盛り上がりを見て、2019年コルクラボ春合宿に「言葉と遊ぼう」ワークショップの要素を取り入れるとか。参加予定の人も、そうでない人も、本note後半に描かれている誰かの表現方法を借りてみると良いと思う。

これまで伝えきれなかったことも、色彩豊かな情景とともに、遠くの人まで届けることができるかもしれない。

それでは、以下、ヨーリックからのコメントをどうぞ!


(上段)
ヨーリックがpick-upした情景描写からのキーワード(必ずしもその文言が描写に使われたわけではない)
(下段)
ヨーリックの感想(的確で、かつ愛が溢れていて最高......!)


・等間隔に並ぶ
見晴らしが良い。連なっているのが浮かぶ

・目がくらむほど寒い
感覚器を掛け合わせると、ひっかかりのある表現になる

・渋谷なのにきれいに見える
渋谷が荒れていることがわかる

・吐く息が白い
白さは動きがある=リズムを感じる

・リストラ
サラリーマン(営業など)を浮かべやすい
疲れている様子も伝わる

・擬音語
ビジュアルが見える
ヒール、地面の硬さ、周囲の静けさ

・音のイメージを持つ
コツコツ:普通
カツカツ:早足
コツっコツっ:リズム
濁音・破裂音:重みを感じさせる。ヒーリング系の音楽に使うとあわない。

・吸って、止めて、吐く
描写をきると、深みが増す

・影の薄さ
自己肯定感の低さの伏線にできる

・つるんとした気持ち
擬音語・擬態語の違和感「どんな?」を楽しませる
どうしてその表現を入れたのかを読者に想像させる

・固有名詞
レクサスといえば富裕層
共通認識がある固有名詞はキャラをつくる

・情景の動線
見上げた空→視線をおろしてビル→最後に道路というように上から下への動線の方が、読者は読みやすい
部屋の描写もまずは全体→室内にいる人物→テーブルの上のほうがわかりやすい
場面転換には、広い情景をつかう

・登場人物
多数いる場合は、その中で誰にフォーカスするかを決めるとストーリーが生まれる

・文字情報
看板や中吊り広告の文字を含めるとリアリティが増す

・文字のバランス
漢字・カタカナ・ひらがなのバランス
適度な間隔での改行

・「さて、ついた」
それまでの動きも暗喩している

・情報を与える順番
読者に、どの順番で想像してほしいか
日本語だけが、順番を変更できる(倒置法)


最後に、ヨーリックがワークショップの間も、終わってからも、なんども繰り返し話してくれたことも記しておきたい。

私は、今後、書くことや書き方に迷ったときに、この文を思い出そうと思う。

「どの書き方が良い、悪いではない。」

「いろんな表現を身につけるために、他の人の表現を借りる = 真似てみる。そうやって自分が描きたいものにぴったりな表現を探す。」

「自分の表現の特徴や良さを知った上で、他の人の良い表現を知れば、より自分の表現の幅を広げてくれる。」

「自分が伝えたいものに必要な描写、構成、リズム、バランスを考えて、必要なものだけを残そう。」

ヨーリック、素晴らしいワークショップを、ありがとう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?