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仏教思考を読んで思うこと

ビジネスシーンを生き抜くための仏教思考
松波龍源(著)野村高文(編集)

COTEN RADIOから始まり様々な音声コンテンツを聞いてきます。その繋がりで「a scope リベラルアーツで、世界を視る目が変わる」から松波龍源さんを知りました。仏教について他の学問や西洋との比較をしながらわかりやすく説明してくれています。

その仏教回については別途「a scope「仏教」編を聞いて思うこと」でまとめてみましたので、興味があればそちらをご確認ください。(音声なので読むより気軽に聞けるのでスケッチ見るより聞いたほうがいいかもしれませんが)

もう少し理解を深め、活用したいと思ったので、調べたところこの本を見つけました。この本も音声コンテンツからまとめられたそうです。「ゆかいな知性」〔仏教編〕だそうです。音声からまとめるのは大変で、前回はascopeが本になっていることに気づかず苦労したので、今回は失敗を活かして本を購入しました。恐れ多くも音声コンテンツからプロがまとめた本をさらにまとめてみます。

付箋多めです

どんな本か

3部構成になっていて、1部が現代社会の事象を仏教からの見方で説明されていて、2部は仏教の思想体系についての説明があり、3部でその他の思想と比較からの仏教との違いが説明されています。1部で仏教思考を身近に感じ、2部で仏教思想に少し馴染んで、3部で仏教思想の立ち位置を理解することができると思います。なので、順番は1から読むのが良いかと思います。

帯に三浦さんや佐渡島さんが書かれている通りで、仏教が宗教というよりも思考の体系であることを教えてくれていて、松波さんが現代人にわかるように翻訳してくれています。

とにかく考えて考えてたどり着いている仏教の思考については、確かにそうかもと思えるところが多く、その思考方法は何かの宗教を信仰しているしていないにかかわらず、考え方の一つとして知っておくと何かのヒントになるかと思います。

編集者、筆者の思い

野村高文さんの思い(抜粋+編集)

時の試練を耐え抜いた先人の知恵は普遍性を持っており、今後も簡単に消えることはありません。環境の厳しい時代だからこそ、先人たちが残したものに真摯に耳を傾け、現代を生きるうえでの指標とすべきではないか。私はそう考えています。

龍源さんのお話を聴いていると、仏教の思想体系が本当に論理的で、細部まで穴がないことを実感します。しかもそれは埃をかぶった昔の話ではなく、現代人の悩みを解決する最先端の知恵であるとわかる。

龍源さんは仏教を「宗教」ではなく「思想」と捉えています。というのも仏教は、何か大きなものに救いを求めるのではなく、個人個人が自分なりの視点で世界を認識することを促すものだからです。

これが、本書で提示する「仏教思考」の根幹です。そしてこの思考は、無数の選択肢があり、一方で正解も見えない現代だからこそ必要とされると信じています。

松波龍源さんの思い

現代は混迷の時代と言われています。不安定な世界情勢、テクノロジーによる急激な社会の変化、資本主義の限界・・・。今まで絶対的であった資産やキャリアの価値が揺らぎ始めて、先が見えないと感じることがあるでしょう。

そんなときに道を切り開くヒントを与えてくれるのが、哲学としての仏教です。仏教は、世界をより良い方向に変えていける思考法だと私は思っています。多くの人が「このままではいけないと思うけど、どうしたらいいんだろう」とモヤモヤを抱えつつ、日々の忙しさに流されている状況ではないでしょうか。そのモヤモヤに、私は「仏教かもしれない」と投げかけたいのです。

本書を読んで、これからの世界に仏教が果たせる役割があるかもしれない、「仏教かもしれない」と思っていただけたのなら、どうか、本を閉じた後に「へえ〜、そうなんだ」で終わらせないでください。

みなさんが、心のあり方や思想材料の一つとして仏教を活用し、世の中で起こることを「自分ごと」として考えることで、本当に一歩ずつ、でも確実に社会は変わっていくと、私は期待しています。

読んでのまとめスケッチ

常に冷静でしなやかにいきたいものです

読んでの感想

仏教の難しさ

仏教は人の生き方であり、今この瞬間、自分の人生を豊かに安楽に生きるための哲学であって、すべてが相対性で成り立っている中、苦しみを発生させないようにするには、どう捉えると良いかを考える思考法でした。

日本人には一番近い「宗教」として仏教はあるのですが、いまいち理解しづらいのは、
①:仏教=葬式のイメージが強いことと
②:理論で組み立てられていて理解が難しいこと
③:理論なのでストーリー理解ができないこと
と感じました。下記でそれぞれに考えたことを記載します。

①:仏教=葬式のイメージは中国からの儒教と合わさっての伝来が理由の一つであることは「死んだらどうなるのか?」を読んでわかっていたのですが、では仏教とはなんなのか?ということが不明瞭でしたが、ascopeを聞いて、本書を読んで、上に書いてあることだと思えました。

②:松波さんが現在の状況をもとに仏教の考え方を説明されてくれているので、そういうことなんだなと現代に生きる私にもわかるのですが、それは今のインターネットやPCがあり世界だから想像できるのであって、それらがない時代に今の時代にも通じる思考法を考えられる天才たちが全振りして構築していった哲学なので、理解しづらいのはしょうがないかなぁと思っています。

③:キリスト教は、ユダヤ教のなかキリストがうまれ、十字架で処刑されるけれど復活して、などなどストーリーで説明されていたり、宗教画などからイメージがつきやすいので、ぼんやりと想像できるといった違いが仏教とあるなぁと感じました。細かく知っているからこそ仏教の全体が見えていないように思いました。とはいえ、当たり前ですがキリスト教も理解するのはめちゃくちゃ難しいんですけれど…

仏教の活用

すごい理論ではあるものの、結局のところ自分がどのようにするかになるのも難しい点だと思います。

「思想は良くても、技術が進歩しても、人の叡智が上がらないと実際にならない」と松波さんも書かれているようにその理論を運用ができずに苦しむみたいなことになりうるなぁと思われます

理論的なシステムを導入したものの使う側が運用する技術がなく、理論的なシステムを使いつつも、やり方は変えないので、手間は減らず改善されない、みたいなどこかで聞いたことがあるようなことが起きてしまいそうです。

その中で「空」の考え方を取り入れるのが個人的にはいいのではと思っています。

万物の本質は「空」であり、あらゆるものは縁起であって、目の前の現象は因果関係の結果として、自分の心というスクリーンに映写された像のようなもの。その像に「私」が自分の認識で意味づけをしているのです。

と書かれています。この文章も難しいのですが、全ての世界は繋がっていて、「私」がどう見るかによってその景色の持つ意味が変わるということかと思います。なので、私の見方を変えれば、起きている現象の苦じゃないものに変えられるし、「私」の境界を広げていくと全体として良い方向に繋がっていくのではないかと思います。

私は私以外と合わせて全世界になっているので、「私」をどこまで入れるかがキーになっていて、家族などがイメージつきやすいですが、結果として自分個人のために生きるのではなく、人との関係の中で生きることにつながり、全体的な苦を避けることにつながるのではないかと考えました。

歴史でも人権も徐々に人種を超えてその範囲を広げられていったように、福祉の範囲も対象となる人たちを広げていくことなどに近いのかなと。環境問題なども徐々に動物も含めていくことも起きて行っているように感じます。

そこに、私の境界も思考も唯一で普遍だと考えないことが足すことが大切だと思います。

ナンバーワンにならなくてよくて、でもオンリーワンでもなくて、オールインワンではなく、オールイズワンという感覚なのかなあとおもったのですが、やっぱり違くて、「空」なので、ワンというよりもゼロのほうが正しい認識と思われます。オールイズゼロ。全ては相対的であって、全ての可能性があるものとして受け取れる感覚を持つことがこれからは必要なんだと思いました。

名言の紹介

最後にぐさっときた一言を紹介して終わりたいと思います。

釈迦牟尼
「過去を思い悩むな、未来に思いを懸けるな。過去は過ぎ去った、未来はいまだ来ていない。今のあり方にこそ、心を注ぎなさい。すべてを固定的にとらえないこと、覚者のさとりとはそのことである。」

弘法大師
「その社会で起こるあらゆることは、その社会をつくる人々の心の表れなのだ」

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