見出し画像

「北海道に住みたい」と言い出した娘。道東でカフェめぐりをしながら、家族の暮らしのかたちを妄想してみた。【7月7日〜7月8日 北海道羅臼町〜中標津町〜厚岸町〜釧路市】

北海道滞在も、半月を超えた。さまざまな自然との触れ合いや体験を経て、子どもたちはすっかりたくましくなった。私も、北海道の自然豊かな大地に魅せられっぱなし。まだまだ長く北海道に滞在したい気分だなぁ。

さて、今朝は羅臼のキャンプ場で目覚め、雨の中の朝ごはん。7月7日。あいにく空には雲がかかっているけれど、今夜は星が見られるといいな。そして今日で、息子は0歳8ヶ月。つかまり立ちも上手になって、動きもものすごく活発に。ニコニコ笑顔の池田家のムードメーカー・たすくの成長をお祝いして、みんなで「0」と「8」のおにぎりをつくった。おめでとう!

今日は釧路を目指して、道中あちこち立ち寄りながら旅を楽しむことに。数日前、北海道出身のとても信頼できる友人がタイミングよくたくさんの道東オススメ情報を送ってくれたので、背中を押されるがまま訪れてみることに。プランがほぼ白紙のエリアだったので、とってもありがたい。


まずは友人曰く「ザ・北海道」という開陽台へ。車を走らせること1時間ほど。駐車場に着くと、運転手の主人が「すごい景色だぁ」と興奮気味に声をあげている。うとうとしていた私たちも、窓から外を覗く。空が広い。視界も広い、広い!降り立ったそこは、360度、水平線が見渡せてしまう絶景ポイント。娘も私も興奮気味に、階段を上った先にある、展望台へ。

「地球が丸いってわかるね」と言う主人に、うなずく私たち。青空というわけにはいかなかったけれど、広大な景色を前に、ため息なのか深呼吸なのか。とにかく、家族全員で、全身で呼吸をした。写真でうまく伝わらないのは、残念すぎる。日本には、まだ見ぬ景色がいっぱいあるなぁ。

お腹が減ったので、開陽台のすぐ近くに見つけた「レストラン牧舎」へ車を走らせる。牧場と畑が続く景色、本当にお店なんてあるのかな?と不安になりながらも一本道を進むと、可愛らしいログハウス風の建物が現れた。農家カフェといった雰囲気にワクワクしながら入店すると、あたたかな木の空間が広がっていた。サンドイッチとカレーを注文し、写真を撮ったり置いてある雑貨を見たり。久々におしゃれカフェに来た私たち、大人気なくそわそわしてしまった。

ほどなく運ばれてきたお料理に、またまた大興奮。カッテージチーズのフライが添えられた美味しそうなカレー、そしてモッツァレラチーズと人参ラペ、レタスなどがボリュームたっぷり挟まれたサンドイッチ。またまたテンションがあがり、写真を撮る間も惜しんでさっそくいただいた。その美味しさはもう、言うまでもないのだが、一番興奮していたのはチーズ好きの娘。サンドイッチを口にするなり、ニッコニコの笑顔で「この旅行で一番おいしい♡」と、ひとこと。なかでもモッツァレラチーズがふわふわでかなり好みだったらしい。私も一口いただいたが、たしかにこの食感は今までになかったかも。美味しいね〜と幸せ笑顔で会話しながら、カレーもスープも、みんなであっという間に平らげてしまった。ちなみにこのモッツァレラチーズは、お店で販売はしていないらしい。ここに来ないと味わえないふわふわモッツァレラ。またいつか、食べに来たいな。あ、主人のデザート・チーズケーキも、絶品だった様子。ほら、この表情。

牧舎の周りを散策して、東京から移住したご夫妻との会話を楽しんだあとは、友人が教えてくれた厚岸町のカフェ「夢風舎」を目指す。こちらも畑の中にポツリとあるお店らしい。今日はなんだかカフェ巡りデイになってるね、なんて話していると、娘がぼそり、「北海道に住みたい」と。おっと、そう来たか!と少し驚いたけれど、この数週間の体験で、なんだかすんなり共感できた私。「そうだね〜、ママも住みたいよ。どうしたら住めるかな?あ、でも冬は寒そうだからママはちょっと不安かも…茅ヶ崎も好きだし」なんて話していたら、娘から、「じゃあ冬に来てみよう」と提案が。なるほど、確かに。冬も夏も経験してみて、それから住むかどうかも考えようなんて、なかなか大人な思考。そのあとも、「住むとしたら…」という話でひとしきり盛り上がった。

どちらかと言うと、最近は自然の中よりも部屋でおままごとなどで遊ぶのが好きな娘。でも大自然に包まれた環境で日々暮らしていると、五感がフルで働いているのだろう。とってもいい表情をたくさん見せてくれていた。そして「住みたい」という発言。やはり何事も、体感にまさるものはないのだなぁと改めて感じた。そして実は私も、ここ数週間、様々な人や自然との出会いのなかで、暮らしのかたちを考え始めていた。茅ヶ崎に家があるし、今のところ、他の地域への完全移住は考えにくい。でもこういった「暮らすような旅」は今後もライフワークのように続けていきたいと思うようになったし、家族ごと「旅するように暮らす」生き方もありなのではないかな、と。

たとえば1年のうち数ヶ月は他の地域で暮らす、とかね。2拠点か3拠点かわからないけれど、ホームである茅ヶ崎のほかに、もう1箇所か2箇所、「暮らし」の場所があってもいいのかな。あるいは、それが毎年変わってもいいのかな。でもそういう生き方は、子どもたちにとっては落ち着かないのかな…。なんて、ぐるぐると思いは巡る。どう実現するかは、全くわからないのだけど、きっと私たち家族の中に「暮らすような旅」「旅するような暮らし」というキーワードは、今後もずっと根付いていくような予感がしている。日本一周したら、娘はどこに住みたいって言うのかな。この旅の楽しみが、またひとつ増えた。

そうこうしていると、「夢風舎」に到着。こちらも可愛い外観で、ワクワクしながら店内へ。あたたかなログハウス風の店内には、たんぽぽの綿毛が吊るして飾られていて、素朴ながらなんともかわいらしい空間が広がっていた。ワッフルを食べながら、短冊に願い事を書いたり。食後は、お店から続く散歩道をゆったりと巡ってみたり。あぁ、旅の中でこんなゆったりした時間が過ごせるって幸せだなぁ、と、改めて。お店の方との会話も楽しく、心もお腹もたっぷり満たされた時間だった。

カフェに長居したので、釧路に着いたのはもう夕暮れどき。これまた友人オススメの「釧之助」でたっぷり海鮮の夕食を。新鮮な海の幸の美味しさを贅沢に味わって、今日もキャンプ場へ。釧路湿原のほとりで眠りに着いた。

翌朝、目覚めると賑やかな鳥の声が響いていた。今朝は湿原の中を少し散歩してみようか。朝食後、娘も誘って少し足を進めてみたけれど、なんだか気分が乗らないらしく、すぐに抱っこに。「抱っこじゃ行かないよー」なんて軽く促してみるものの、今日は全くだめみたい。せっかくの釧路湿原なんだけどなぁ、なんて気持ちもあったけれど、まあ娘にはそんなことは関係ないのもわかる。特に理由も無さそうだけど、仕方ない。

湿原を歩くことは諦めて、近くにあった展望台へ車で向かった。でも、ここでもやはり娘のテンションは下がりっぱなし。車でひとり、待っているという。仕方ないので、息子を連れて3人で展望台へ。景色は素晴らしく、途中、キツネが出迎えてくれたりしたのだが、やはり娘がいないと、変な感じ。気になってしまい、私たちもすぐに退散。やっぱり私は、家族みんなで一緒に体感するからこその楽しさを味わいたいのだと思った。

まあ、こんなときもあるよね、なんて思いながら、ランチは釧路駅前の和商市場へ。自分でお刺身を選んでつくる「勝手丼」が楽しめると聞き、私たちもチャレンジ。この頃には娘のご機嫌も復活していて、大好きなマグロと卵焼きで「こなつ丼」も完成。みんなでワイワイ、美味しくいただいて釧路をあとにした。あ、そうそう、旅で出会った何人かにおすすめしてもらった珍しい「花咲蟹」も絶品でした!

この日の宿泊は、明日の目的地に合わせて少し離れた十勝の南部へ。芝生が美しいキャンプフィールドで、娘がお友達になった「さくらちゃん」のご家族と旅の情報交換などをしながら、一緒に楽しいひとときを過ごした。京都在住のご家族で、2ヶ月かけてキャンプしながら北海道を旅しているという。お父様は遠隔で仕事もしながら。

本当にいろいろな生き方がある。いろいろな、家族のかたちがある。でも「家族の時間を大切にしたい」という想いが共通している仲間との出会いは本当にうれしいし、話をするなかでの気づきも大きい。「旅」というかたちじゃなくても、家族と一緒に、さまざまなことをまるごと体感すること、濃密な時間をともに過ごすこと、喜怒哀楽のすべてを共有していくこと。その価値はまだうまく言い表せないけれど、旅を続ければ続けるほど、私の中に「家族の時間」のものすごいパワーに対する確信のようなものも芽生え始めている。どう発信して、どうかたちにしたらいいのかはわからない。でも旅を終えたら、まずはこの体験を、想いを、多くの人と共有して語り合ってみたいな、と思う。聞いてくれる人、付き合ってくれる人、いるかな。いなくても、やってみよう。

明日は、ずっと訪れたかったあの場所へ。気持ちが高ぶるけれど、ゆっくり身体を休めよう。おやすみなさい。

貴重な時間を割いて読んでくださったこと、感謝申し上げます。みなさんの「スキ」や「サポート」、心からうれしく受け取っています。