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その地に根付く文化を誇りに【6月11日 山形県鶴岡市〜三川町】

もう少し、このまちにいたいな。そう思わせてくれるものは、なんだろう。仕事を終えたので、今日は鶴岡のまちを散策してみることに。今朝も窓から見えるのは、水田が広がる美しい風景。梅雨入りした地にいるのに、晴天に巡り会えた幸運に感謝。

今日のスタートは、遠藤綾さんにご案内いただき、鶴岡市の中心部にある「致道館」へ。江戸時代にできた庄内藩の藩校(武士の子どもたちが通う学校)で、現在も表御門、聖廟、講堂などが残っており、国指定史跡として一般に公開されいるという。趣のある佇まいが、印象的。

私たちが遠方から来たことを知り、館の方がご丁寧に案内してくださることに。旅をしていると、こうして心ある人々のお世話になることばかり。本当に、ありがたい。

致道館は、江戸時代の儒学者・荻生徂徠(おぎゅう・そらい)の「徂徠学」を教学としている。昨日娘が遊び倒した「キッズドームソライ」の名前の由来にもなっているという。

自主性を重んじる「徂徠学」の柱となっているのは、「天性重視・個性伸長」「自学自習」「会業(小集団討議)」「心の鍛錬」という考え方。一斉教育ではなく、ひとりひとりの良いところや得意なところを伸ばしていこうという、今、改めて学校教育で見直されている考え方が、力強く語られている。

「自学自習」「会業」などについてはしっかりとカリキュラムに落とし込まれていて、中学校から今でいうゼミ形式の学びが取り入れられ、高校・大学に進むと自分でテーマを持ち、ひとりひとりの学びが基本となっていたのだとか。今の公教育で実現できていないことが、江戸時代に実践されていたことに、感心するとともに驚く。

そしてその考え方は現在も鶴岡市の教育の礎となっていて、小学校から授業の中で「徂徠学」を音読する時間が設定されているのだとか。その内容は、小・中学生を対象とした冊子「庄内論語」で学ぶことができる。子どもたちの生活やあり方の指針となるように、とつくられたテキスト。

子曰わく。人の己の知らざるを患えず。人を知らざるを患うるなり。

こういったフレーズに、子どもでもわかるように、次のように意味が添えられている。

他の人が自分の実力をわかってくれなくても、がっかりすることはない。それよりも自分が、他の人の良さを知らないでいることを気にかけるべきだ。

大人でも、自分を顧みてしまうような内容。小学校ではこれを音読したり暗記したりする取り組みもあり、綾さんの息子さんも実践されているという。まちの歴史がしっかりと教育に根づいているって本当に価値あることだと思う。子どもの頃は実感がなくても、いつか、自分のまちを誇りに思う心にもつながるんじゃないかな。

見学しながら、自分たちの生き方やこれからについても綾さんと語り合った。鶴岡に導いてくれ、多忙な中、私たち家族のために時間を割いてくださった綾さんに心からの感謝をお伝えして、致道館をあとにしました。綾さん、また人生の節目節目で、必ずお会いしましょう。

綾さんとお別れしたあとは、少し内陸寄りに車を走らせて「ベジタイムレストラン 土遊農」を目指す。鶴岡の人々が口を揃えて語ってくれる”食の豊かさ”を体感できる場所だという。田園風景の先に見えてきた「ほぼ野菜レストラン」の看板にニヤニヤ、期待を膨らませながらビニールハウスの中へ。

種をつけ子孫を残せる在来種の野菜は、今、失われつつある。ここの代表の山澤さんは、そんな在来野菜の種を全国から集め、自ら栽培を手がけているという。ハウスの中には、無数の在来種の苗が所狭しと並べられていた。

残念ながらこの日のランチはお休みだったけれど、多様な珍しい野菜を使った贅沢なお食事を味わうことができるそう。いつか、食べに来てみたい場所が増えた。

さてさて、今日最後のお目当ては、娘待望のさくらんぼ狩り!土遊農からに南方に車を走らせること約15分。やまのこ保育園のみなさんが口を揃えて勧めてくださった「さくらん坊やの鈴木さくらんぼ園」に到着しました。

中に足を踏み入れると、見渡すかぎり一面のさくらんぼの木に、美しい赤色に光るさくらんぼがいっぱい! 娘の目はキラキラ。私もテンションがあがり、急ぎ足でさくらんぼの木のそばへ。

今食べごろなのは、紅香と紅はるかの2種類。有名な「佐藤錦」は、もう少し先、6月中旬頃から食べごろになるのだとか。さっそくもぎ取り、味わってみると、みずみずしくて甘みもたっぷり。あぁ、なんて贅沢なの♡

一見、アメリカンチェリーにも見えるこちらは、「紅さやか」。こちらも甘みがたっぷりで、娘はより甘い黒めの粒を必死に探し、夢中で食べていた。はい、この笑顔。

約1時間、旬の美味しさをたっぷり堪能させていただきました。

ここを運営されている宮城良太さんは、もともと、奥様とともに東京でデザイナーとしてお仕事をされていたのだとか。震災を機に奥様の実家・鶴岡にUターン。家業のさくらんぼ園をともに運営するようになったそう。現在も、繁忙期以外はデザイナーとしてのお仕事もされていて、そんな半農半Xの暮らしも楽しまれている様子が伝わってきました。何よりも「楽しんでもらうこと」を大切にさくらんぼ園を営まれているという宮城さん、私たちがこれから向かう予定の宮城県南三陸町ご出身とのことで、旅路へのヒントもくださいました。美味しいさくらんぼ、そして楽しい時間をありがとうございました!

丸々3日間を過ごした鶴岡のまち。印象的だったのは、この地に根付く文化や自然を誇りに、臆することなくチャレンジを続ける人々の生き様でした。そのあり方はなんとも痛快で軽やかで心地よく、私たちもパワーをたくさん分けていただいた気分。お腹も心も満たされたまま、夜は鶴岡のお隣にある三川町の道の駅で眠りにつきました。

明日は内陸を東へドライブし、宮城県へ向かいます。太平洋側と日本海側を行ったり来たり。あれ?ペースが遅いかも?でも少しずつですが、北上してるんです。マイペースな旅路を、引き続き楽しみます♪


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池田美砂子

フリーランスライター・エディター、2人の子どものお母さん。人の言葉をありのままに聞くことで本質を見つめるインタビューがライフワーク。現在は主にウェブマガジン「greenz.jp」にて、「ほしい未来」のつくり手のみなさんの言葉を紡いでいます。

育休キャラバン 〜キャンピングカーで子連れ日本一周放浪の旅〜

2019年夏。家族4人、育休取って日本一周の旅路へ。0歳児と6歳児を連れて、キャンピングカーに乗って。家族の濃密な時間を、のんびり記録していきます。
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