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【映画】「新聞記者」:時代は個人の自立を呼びかけている

令和に入って早々、経団連から終身雇用維持が限界であるという宣言があった。
それを皮切りに、個人に対して「自立せよ」というメッセージが繰り返されている気がしてならない。「新聞記者」という映画も、強烈にそのメッセージが突きつけられる作品であった。

・あらすじ(サイトより)
東都新聞記者・吉岡のもとに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名 FAX で届いた。日本人の父と韓国人の母のもとアメリカで育ち、ある強い思いを秘めて日本の新聞社で働いている彼女は、真相を究明すべく調査をはじめる。一方、内閣情報調査室の官僚・杉原は葛藤していた。「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。愛する妻の出産が迫ったある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう。真実に迫ろうともがく若き新聞記者。「闇」の存在に気付き、選択を迫られるエリート官僚。二人の人生が交差するとき、衝撃の事実が明らかになる!

・この映画で持ち帰るべきは「体制批判」ではない

あらすじであるように「現政権に不都合なニュースのコントロール」を強いられる主人公を見ていると、権力者が都合の良いように現実を変えていく様に憤りを感じるでしょう。

しかし引きつけるべきメッセージは体制に対する批判ではありません。体制を維持するシステムを作り出しているのは、「自立していない個人」、「我よしで保守に走り体制に対して責任放棄をしてきた個人」との「共依存関係」によって成り立ってきたこと、つまり一人一人が加担者であることを重々肝に銘じる必要があります。

・自分の心に従って生きられるか。

自分の心に従って生きようと思った時に、それをしないことを納得させる言い訳はたくさん作れてしまいます。キャリアに傷をつけたくない。家族を養わなければならない。他の人も目を瞑っている。。。
そのような状況の中で、強い意志を持って行動に移すことは並大抵ではないでしょう。
しかしそれらの言い訳は、自分が自立して生きていない引け目、弱さを隠すための巧妙なすり替えであることを自覚するところからしかスタートしません。

映画のラストでは、自分ならどう振る舞うかを見事に突きつけてきます。

・意思ある選択と行動を積み重ねる

組織は一人一人の具体的な選択と行動の積み重ねで成り立っています。
組織に不満があるなら、あなたもその一端を担っているという自覚を持ちながら、意思を持った選択と行動を積み重ねることで、自分の身の周りに影響を与え、その波を少しずつ大きくしていく。
それが、今、時代に問われている自立した生き方であり、そのような個人の集積が組織を、社会を良き方向に向かわせるのではないでしょうか。

個人は自立して生きられるか。組織はそういった勇気ある個人の行動を潰してしまうのか、それとも拾い上げて変化の可能性として生かしていくのか。大きな分岐点に立たされています。


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