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人たらしなスーパーゼネラリストになろう!

「◯◯のスペシャリストになりたいです!」という若い子は多いけど、「◯◯を実現するゼネラリストになりたいです!」という子はほとんどいない。

きっと、スペシャリストは手に職だから、転職もしやすいし、長くメシが食えるイメージがあるんだと思う。一方のゼネラリストは、調整役だからストレスも多いし、転職しにくそうだし、手に職がないから将来メシが食えなそうという印象があるんだろうな。

なぜ、ゼネラリストのイメージは悪いんだろう。

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戦後の日本企業は、少品種大量生産の効率性を最大化するために、あえて職務分掌や権限を明確に分けず、みんなで決めて、みんなでやろう、という組織を意図的につくってきた。

そのため、日本企業の多くは「職能給制度」を導入して、「あなたは、うちの会社内で、だいたい◯◯ができる人ですね」という”職能”を評価し、年功序列賃金と連動させた。

欧米企業の多くは「職務給制度」だから、職能ではなく、当該職務の遂行能力を評価し、給与を支払う。

多くのサラリーマンは、CDP(Career Development Program)の旗印のもと、長期間に渡り、いろんな部署で、いろんな経験を積まされ、いろんなことができる企業特殊的技能(その企業内でしか通用しない極めて文脈的な職能)を習得。

いまとなっては(ノ∀`)アチャーなんだけど、当時、これは別に悪いことばかりじゃなかった。他社では何の役にも立たない企業特殊的技能だとしても、終身雇用が保障されているし、社歴と経験がものを言う職能給✕年功序列賃金だから給与は年々上がっていった。

なにより、市場も企業も成長しているときは、その企業特殊的技能が、阿吽の呼吸によるハイコンテクストな社内調整弁となり、日本企業特有の競争力の源泉になった。

しかし、バブルが崩壊し、失われた20年(30年)が始まると、企業は終身雇用も年功序列も維持することが難しくなってしまった。

多くの会社で早期退職優遇制度が導入され、少なくない終身雇用人材が初めて転職市場に出たとき、悲劇は起こった。

「あなたは何ができますか?」「私は部長ができます!」という一昔前の笑えない笑い話――。

このあたりの印象が強烈すぎて、日本のサラリーマン=社外に出たら役に立たない企業特殊的技能マン=ゼネラリスト=未来は無いというゼネラリスト悲観論が広がり、その逆張りでスペシャリスト志望者が増えたんじゃないかな。

でもだ。

ゼネラリストは、捨てたもんじゃない。捨てたもんじゃないどころか、大きなことを成したいのなら、スペシャリストではなく、ゼネラリストを目指すべきだ。

ここで言うゼネラリストは、企業特殊的技能マンでも、単なる調整役でも、なんでもできるけど、なんにもできない人でもない。

各領域の超優秀なスペシャリストたちを率い、まとめ、勇気づけ、目的を達成させるスーパーゼネラリストのことである。

スペシャリストには、「I型人間」(一本の専門領域が深い人)が多い。大きなプロジェクトを完遂するためには、多様な分野のスペシャリストでチームを組む必要があるが、当然、高度に専門特化したスペシャリストが10人集まっても、強いチームはつくれない。

そこにはリーダー、別の言い方をすると、指揮者が必要だ。

オーケストラには、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス、フルート、オーボエ、トランペット、ホルン、ティンパニなど、それはもう多様な楽器と奏者がいる。

それぞれのプロ奏者を見事にまとめ、最高の音楽を奏でるためには、優秀な指揮者が必要だ。それが、スーパーゼネラリストなのである。

指揮者は、あらゆる楽器の演奏技術において、プロの奏者に敵わない。にもかかわらず、オーケストラは、指揮者がいなければ成り立たない。

なんで?ただの一本の棒を振り回しているだけなんじゃ…?と多くの人は考える(恥ずかしながら、オーケストラやクラシックの門外漢である僕もその一人です)

指揮者の役割について、死ぬほどわかりやすいまとめがあったので、少し長いけど引用させていただく。

何よりも大切なのは「人間力」

 ひとくちに「オーケストラ」といっても、それは、ひとりひとりが意志も個性もある演奏家の集合体です。彼らからの信頼がなければ、到底指揮者の思い通りに演奏してもらうことはできません。そこで指揮者には、演奏家といかにうまく心を通わせることができるか、という能力が求められることになります。かつて、20世紀の前半に活躍した「巨匠」と呼ばれる指揮者たちは、自分の意のままにオーケストラを操り、言うことを聞かない団員は容赦なくクビを切るような「専制君主」タイプが主でした。彼らは練習の段階からオーケストラを徹底的に鍛え上げ、時にオーケストラはその指揮者の「楽器」と呼ばれることもありました(例えばクリーヴランド管弦楽団は「(ジョージ)セルの楽器」と呼ばれていました)。

しかし21世紀の現在では、こうした「専制君主」タイプの指揮者はあまりいません。現在ではむしろ、楽員の意向をすくい上げ、彼らひとりひとりの「やる気」を最大限引き出すことができるような人が、指揮者としては成功しているようです。時には自分より年齢も経験も上の個性豊かな演奏家たちをその気にさせ、能力とやる気を存分に引き出しつつ、自分が描いた設計図通りに音楽をまとめ上げる。指揮者には、まさに、常人以上の「人間力」が求められているといえるでしょう。

出典:公益財団法人 NHK交響楽団

いや、驚いた。オーケストラの指揮者として何よりも大切なのは人間力とな。

これを知って、昔からの想いが確信に変わった。

各領域のスペシャリストをまとめ上げるスーパーゼネラリストに最も求められるスキルは、「人たらし力」であると。

これは、昨日書いたこの記事とまったく同じところに帰着する。

「ひまわりのような(陽気な)人」≒「人たらし」とは、

・ その人と話すと元気になる
・ その人と話すと笑顔になる
・ その人と話すとスッキリする
・ その人と話すとワクワクする
・ またすぐにその人と会いたくなる
・ その人がいると場がパッと明るくなる

などの特徴があり、その強い魅力が人を惹きつけ、多くの人がファンになってしまう人である。

そしてこれらは、

・ その人の夢を一緒に叶えたくなる、応援したくなる
・ (自分の力で)その人を笑顔にしたくなる
・ 困っていたら力を貸してあげたくなる
・ その人に頼りにされたくなる
・ その人に感謝されたくなる

などの「たらしパワー」として結実する。

もう一度言うけど、大きなミッションを完遂するためには、多様なスペシャリストがチームを組む必要がある。そして、そのチームには指揮者(=人たらしなスーパーゼネラリスト)が必要なのだ。

多くの経営者もスーパーゼネラリストのひとり。

てことで、これからおもしろいのは、ゼネラリストかもしれないぜよ!

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