【amazonに都市銀行が敗れる日】とは

金融の門外漢からみたイノベーション。アマゾンは全世界レベルで経済圏を構築していて、国内の銀行は絡めないし今さら勝負にならない。という事について書き記しておきます。


①都市銀行は【個人送金】戦争で【アマゾン口座】に負ける。
②アマゾン経済圏や、メルカリ経済圏に絡めない「都市銀行」
③工業社会時代の銀行業と、ネット時代の銀行業の違い
④「イノベーション」は金融弱者の囲い込みから。
⑤アマゾン口座とは、実質的にアマゾン銀行である。
⑥勝負の分かれ目は「個人間送金」手数料とその戦略
⑦銀行の長所・短所はどう変化してしまったのか?
⑧あなたの給与振込口座はどこにする?
⑨なぜ「お金」のコラムを書くのか。

※追記(2018年5月10日10:50)しました。


アマゾンは便利ですが使いすぎると「消費者が自分の首を絞める」事になりかねません。依存の先には「アリ地獄のような危うさ」を感じるからです。これは、いままで「書籍・出版」分野での経験則から、肌感覚でもアタマでも解かっています。アマゾン後の焼野原とは「株主至上・資本主義」の行き着く果ての姿だと。


「あなたの利益は、私のチャンスなのです」
世界一の大富豪・amazonのCEOベゾス氏が、JPモルガンチェースCEOのダイモン氏へ言い放った言葉。ダイモン氏が投資家向け説明会で話したことで知られる事になったらしい。もし、これを10年前にヤマト運輸が聞いていたら、どうしていたのだろうか。



①都市銀行は【個人送金】戦争で【アマゾン口座】に負ける。

「フィンテック」は一般生活者にとって何が一番大事かというと、「個人への送金」手数料が安くなる(無料になる)事だと思います。バカ高い手数料がもっと下がれば、今までの銀行振り込み用途以外の利用が増えます。ワリカンとか、個人イベント申込とか。アマゾンは「AWS」等、利益率の高いビジネスを金種にして、この領域に攻め込んできます。顧客第一主義という大義を持って「価格破壊」を行うでしょう。アマゾン口座にチャージさせることで、その前哨戦は始まっていると思います。



②アマゾン経済圏や、メルカリ経済圏に絡めない「都市銀行」

アマゾンの「活きてる顧客情報」や、メルカリの「何かを売って振り込まれたカネ」のような「生活者のネット行動」への「主導権」が銀行にはありません。強みは「給与振込口座」という「資産」です。それではネットの経済圏に都市銀行の強みが発揮できません。問題は「銀行のネット空間での生存圏」が現状では見えてこない事ではないでしょうか。まぁ。いずれ姿を変えて逆転してくるかもしれません。銀行とは「官僚主導国家・日本」の代表的組織だからです。



③工業社会時代の銀行業と、ネット時代の銀行業の違い

20世紀の工業社会では、銀行とは「融資」によって「資金需要」に応えて社会の活動を滑らかにする役割に貢献してきました。「メインバンク」という言葉の価値が高かったのは、「融資」が「資金調達」の主流で、影響力が大きかったからです。

21世紀のネット時代では、「資金調達」手法が「株式発行」から「ICO」まで様々な方法が出来ました。そして資金ルートにおける影響力が低下し、さらに「企業経営者への融資目利き力」の低下に至りました。

そしてフィンテックによる「現金決済」から「ネット決済」へのパラダイムシフトに晒されています。ネット時代の銀行とはやポイント付与などの「ネット空間」での顧客勧誘や、顧客サービスが得意でなければ「強さを発揮」できないのではないかと思います。



⑤「イノベーション」は金融・弱者の囲い込みから。

行動の変化は「背に腹変えられない」「経済的な困窮」から引き起こります。困っているから変化する。これが世間の現実ではないでしょうか。現状に満足しているヒトは変化しません。「アマゾンなら5000円で6000円分の買い物が出来る」この事に反応するのは年収1000万円のヒトでしょうか?それとも年収200万円のヒトでしょうか?確率論で考えれば、年収200万円のヒトの方だと思うのが一般的です。「困っているから行動を変化させる」が「イノベーション」の鍵だと考えます。ネットの時代の銀行は、ある意味で「金融弱者」に焦点を絞ってマーケティングしていると感じています。金持ち相手に商売をしていた過去の銀行と対局にあるのが印象的です。



⑥アマゾン口座とは、実質的にアマゾン銀行である。

現時点では、Amazonが楽天のように金融事業を自社部門として持つ事はないでしょう。銀行免許を持つより「EC化率」を上げる、イオンやドンキよりアマゾンで買ってもらう。つまり現時点でまだ「ネット空間でお買い物」をあまりしていない人を「アマゾン」でお買い物させる。というマーケティングの方が効率・効果が高いからです。

自社でひとつひとつのコンビニエンスストアと提携をするよりは、既にATM網を有している既存銀行と提携して、OEMでAmazonブランドのデビットカードを発行する方が、事業スピードが早いからです。

しかし、アマゾンは決済用口座を自らが提供することで、一般的になっているクレジットカード決済したときの手数料分のコスト削減ができます。これは膨大な金額です。そして、アマゾン口座は「次へのステップ」への橋頭堡と考えられます。そこでアマゾンが事業の進軍ラッパを止めると思う人などいるでしょうか。その次の「アマゾン銀行」を考えて動いていると思うのが”まっとう”な考えではないでしょうか。



⑦勝負の分かれ目は「個人間送金」手数料とその戦略

今後、アリペイやウィーチャットペイのように、様々方法でキャッシュレス化が進むと思われます。これは銀行機能の部分最適というよりも、社会の全体最適だからです。中国で失敗してインドに方向転換したアマゾンは、明らかにアリペイを意識しています。

そして戦略とは、アメとムチで変化をさせようとするでしょう。アメとは、その方が「安く」買えるようにしたり、お得な施策です。ムチは、プライム会員への入会や、口座維持費の新設などかもしれません。そして、最後のダメ押しは、「キャッシュレスがいいね!空気感」の醸成キャンペーンをやるでしょう。

そうなると「質素に慎ましく生きる生活者」にとって「個人間送金」の手数料が肝要になってくると思われます。「個人間送金」とは、ワリカンの支払いや、子供への仕送りだけではありません。個人商店やフリーランス同志の、お金のやりとりも入って来るでしょうし、アンケート謝礼や、SNS情報拡散協力感謝費もあるかもしれません。ここには新しい「お金のやりとり」市場があるのではないでしょうか。

段階的に「取りこんで行く」マーケティング手法は、如何なる方法を採るのかいまはわかりません。最初は無難に、Email版・amazonギフト券の派生版でしょうか。それともAPI接続した他サービスとの連動でしょうか。



⑧銀行の長所・短所はどう変化してしまったのか?

給与振込による個人口座や、企業への融資は「銀行の独占的事業」でした。独占的な役割「免許事業」として規制されています。これが独創的な発想を妨げている根源です。「規制産業」として生存せざるを得なかった銀行は、テクノロジーを活かした「新サービス」を産み出す能力が無くなってしまいました。今のビジネスを守る「減点主義」だからなのか、それとも「合併社風」から来るのか。マイナス金利からなのか。

しかしそれは表面上のハナシです。本質的な問題は銀行の役割である「間接金融」にあります。間接金融の特性として、経済環境が大きく変化しても資金配分を転換できないために(銀行が決めるため)結果的に「古い産業構造」が残ってしまいます。「直接金融」は資本配分を市場が決めるので、変化への対応が(結果として)柔軟です。銀行だけでは解決しない問題の本質は「金融の在り方」に隠されています。この本質に触れる新聞や雑誌はほとんどありませんし、一部の識者が話してもネットで話題になることもありません。

実は、これは第2次世界大戦時の「国家総動員体制」として、産業資金の供給体制の名残りです。当時は、間接金融に限定して直接金融は排除されました。この体制は戦後も残り「金融の制約」は長く続きました。旧・電電公社、旧・電力会社、日本長期信用銀行等の限定された組織だけに「債権市場からの資金調達」権が与えられていたのです。現在の問題は「金融の歴史」からも学ぶ事が出来ます。



そして、テクノロジーによる新しい変化「フィンテック」が加わりました。「直接金融」など企業の資金調達方法の多様化に加えて、「ネット空間でのマーケティング」が出来るか?という難しい課題が加わったわけです。ネット時代の銀行へ転換するには、ネット利用感覚のDNAが無ければなりません。ネット空間に生存する居場所が都市銀行には既に無いのが実情でしょう。ネットによるイノベーションの「表面」だけを見て「ネットバンキング」や「ネットサービス」をやってきたツケがまわってきたという所でしょうか。



⑨あなたの給与振込口座はどこにする?

アタマを柔らかくして「想像」してください。近い将来自分の子供に『銀行はどこ使っている?』と聞いたら、「うーんどこだっけなぁ。XX銀行だっけな。でもほとんどアマゾンかな」と答えるかもしれません。これがいま直面している可能性なのでしょう。

例えば、会社の給与振込を、アマゾン口座に指定すると、アマゾンポイントが毎月3000ポイント6か月付与されるとしたら、どうしますか?アマゾン口座と、あなたのアマゾン利用ポイントはデータベースで連結されています。

例えば、あなたの会社の社長に対して「社員への給与振込口座を決めてくれたら、アマゾンは、会社へのアマゾンレンディング融資の利率を2%下げて、融資金額も増枠・拡大1000万円にしますよ」という取引条件を出したらどうなりますか?

妄想と笑われるかもしれませんが、未来を想像するチカラが大事だと思います。「フィンテック」という単語を新聞記事で読んだ記憶が2013年の終わり頃ですが、その頃に都市銀行にアマゾン恐怖なぞ存在しなかったわけです。5年程度で環境が激変する事から考えて、2023年にはどうなってるか予測するのもいいかもしれません。「銀行業を再定義する」それはもう始まっている現実だと思います。



⑩なぜ小説家が「お金」のコラムを書くのか。

小説のジャンルは様々ですが「ビジネス」を描いた作品のランキングを見れば「金融ビジネス」を描いた作品が圧倒的に人気があります。「ハゲタカ」「半沢直樹」など尊敬する作品は挙げたら書ききれません。その理由は「お金には、生死を分ける事実」という迫力のあるシーンがあるからだと思います。

勘違いしてほしくないのですが、だからビジネス・ジャンルを書きたいとか短絡的な事ではありません。テクノロジーによる金融の民主化という「お金の持つ迫力」を本質的に理解をしなければ「迫力あるシーン」は描けないでしょうし「神は細部に宿る」と申しますが、精巧なディテールが描けないと薄っぺらい小説になるでしょう。「お金は大事」「お金よりも大事なもの」どちらのシーンも小説には欠かせません。それが恋愛小説でも、歴史小説でも。

そして、このコラムも少しは役に立つこともあるかなと思うのです。まぁ「構造分析」や「マーケティング」が得意領域なのですが、小説執筆への「ウォーミングアップ」や「ストレッチ」の意味もあってコレを書いてみました。


追記(2018年5月10日10:50)
先般書いていた事がやっと新聞記事になりました。
言うまでも無く、ネットは「障壁」をどんどん下げて行きます。
規制で頑張ってみても、やがて滅びる。
「金融ビジネス」とは何か?
その本質を問い直すことが肝要だと思います。
「金融機能・アップデート」に取り組む事を示唆する事が、ジャーナリストの役割ではないかと。「どうすればいいのか?」その道筋を知りたいのが「人の情け」だと思います。情報とは「情けに報いる」と書くので。

怖いのは「アマゾン銀行」
2018/5/10付日本経済新聞 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30290500Q8A510C1EA1000/

JPモルガン・チェースと組み、「預金に似た金融サービス」も検討しているが、銀行業への参入ではない。米証券の制度調査担当は「(免許をとって)預金を受け入れると規制の網にかかり、本業の障害にもなりかねない。



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