『八鬼夜行の前の日』
■おばけの世界のルール■
ニンゲンを驚かせて楽しもう
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パッチがおばけの世界に生まれる何年か前なんだけど。
昔、「おばけの街 - No Life Town」には『Pappa - パッパ』『Titti - チッチ』『DoRoN - ドロン』っていうおばけがいたんだ。
3体はおばけの学校に通う同級生だったよ。
パッパとドロンはよくケンカするけど本当は仲良し尊敬してる。
そしてチッチとパッパはお互いのことが好きなんだけど言い出せない。
そんな関係。
3体のおばけは学校で「ニンゲンの驚かせ方」を勉強してて。
ニンゲンを驚かすのが学校の中で1番上手なのがパッパ。
その次にドロン。
だから2体はよく競い合ってケンカしてるんだね。
だけどお互いのことを尊敬もしてるよ。
ある日。
ニンゲンを驚かすのがあんまり上手じゃないし、抜けててあわてんぼうの同級生『Smithee - スミシ―』と一緒に、パッパとドロンはニンゲンを驚かせに行ったんだ。
パッパとドロンに比べて、スミシ―は成績が低いけど、とても優しくていい子。
3体はよく遊んでて仲良しだったんだ。
だからこの日も、パッパとドロンがスミシ―にニンゲンの驚かせ方を教えてあげようと思ったんだね。
大きな鳥居をくぐってニンゲンの世界に行って。
そしたら、しばらくして。
スミシ―が迷子になっちゃった。
ニンゲンの世界は広いからたまにあるんだ。
パッパとドロンは、やれやれなんて言いながらスミシ―を探した。
なかなか見つからない。
このままスミシ―が迷子になっちゃって、さよならするのはイヤだからたくさん探した。
明日も、明後日も、もっと遊びたかったから。
……しばらくして、スミシ―が見つかった。
スミシ―はニンゲンに傷つけられているさなかだったんだ。
ニンゲンとは違う姿だったからなのか。
オドオドしていたからなのか。
ニンゲンたちは数人で囲んでスミシ―を傷つけていた。
そこからの出来事は一瞬だったよ。
ニンゲンを囲んでいるスミシ―を見つけたドロンは激高して、ニンゲン達を傷つけた。
それはそれは傷つけた。
傷つけて傷つけて。
ニンゲンは全員動かなくなった。
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続く
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