見出し画像

[2023.10.07]密室づくりが仕事のぼくは、宮崎を訪ねて瀬戸口俊介に思いを馳せる

好きな日本語ランキング上位の言葉、朝食バイキング。
冷や汁と肉入り飫肥天うどんと梨が美味すぎて食べすぎる。朝食を食べるだなんて久しぶり。

自分にとって旅=食が圧倒的なんだけど、やっぱり美味しいものは誰かと食べた方がより楽しい。
うまい!とか、熱い!とか、量が多い!とかは、独りで口に出しても宙に浮いて虚しい。
あと自分が美味いものを食うよりも、人に美味いものを食わせるのが圧倒的に好きだ。
これはあの人が喜びそうだとか考えながら弁当や惣菜を買うのは、趣味の一つである。美味い店に出会った時も、一口目からすでに、この味は次あの人に食わせたいなと考えている。
さらに食は、複数名で来た方が複数のメニューを頼めて楽しい。あれもこれも食べたいのに一人だと限界がある。大食いになりたい。

日豊本線という路線に初めて乗る。
お腹がいっぱいなのに改札そばのパン屋で生ドーナツきなこ味とローカル牛乳を買ってしまう。
ローカル牛乳なんて言葉ある?旅に出るとわりと高い確率で、自宅そばでは売っていない銘柄の牛乳を買ってしまう。味の違いなんてわかってないんだけど美味い気がする。
甘いもの業界の生何何、が好きじゃない。チョコレート、キャラメル、カヌレなど。ドーナツの生、もご多聞にもれず気に入らなかった。なんでだろう。田中義剛の悪印象だろうか。だがパン屋さんの佇まいがすごく良かったのとローカル牛乳のパッケージが可愛かったので満腹の胃を抱えたまま買ってしまう。宮崎、物価が安い気がする。
そして生ドーナツ、非常に美味くて軽い揚げパンという感じで最高だった。

2両だけのローカル線、Sufjan Stevensを聴きながら車窓の景色に耽るぞという思いが発車早々打ち砕かれる。江ノ電が家の隙間をすり抜けるより遥か近く、始終窓にぶつかる勢いで草が間近に迫ってくる。見える景色は間近に迫り来る草のみ。その向こうに広がるはずの景色はほぼなし。草のトンネル行く電車、日豊本線。最初のうちはこれはこれでGood bye Evergreenて感じがして良いね、なんて車窓を撮影して面白がっていたがすぐに飽きる。
本でも読むかと「急に具合が悪くなる」を広げるが、窓を叩く草の向こうからこぼれてくる陽の光が紙面をチカチカさせて読みづらいことこの上なくあきらめる。
Sufjan Stevens「Javelin」を聴くことだけに集中する。
そもそも一曲目のGoodbye Evergreenが好きすぎて先に進めない。普段、死んだ誰々のために作られた作品というものにあまり感情移入できないのだが、Goodbye Evergreenの静謐な歌い出しから狂騒的な中盤を経て聖歌みたいなコーラスと笛の音でフェイドアウトしていく感じは誰かを見送る感情に似ているななんて思った。Phoebe BridgersのI Know The Endとか、Billie EilishのHappier Than Everみたいに、序盤の静寂から最後にむけて徐々に狂ったように荒れていく曲が大好きだ。

なぜ都城を目指すのか。
都城が瀬戸口俊介生誕の地だからである。この店、この建物、この公園、この神社、この木、この看板、この学校、知ってるかな思い出あるかなと写真におさめながらただひたすら歩きつづけるだけ。それだけで楽しい。
ん?これってストーキング?もしかしたら気持ち悪い?と、ときおり頭をよぎるものの、この旅はすごく楽しい。イマジナリーフレンドって誰の幼少期にも当たり前にいるものだと思っていたし、正直今でも、わりと頻繁に頭の中の誰かと会話しながら行動をするんだけど、知人の地元を訪ねる旅は、自分の知り得るはずのない、幼い頃の知人と一緒に旅をしている気分になってとても楽しい。このシリーズでいろんな人の地元を訪ねたい。

教えてもらったトマトラーメンと、宮崎牛のステーキを食べるつもりだったのに、昨日のチキン南蛮と今朝の冷や汁がしっかり残っていてまったく腹減らず。
立ち寄った市立図書館が、ものすごくかっこいい上にきちんと機能的で、席も周りが気にならない良い塩梅になっていて、とても気にいる。仕事したり急に具合が悪くなるを読んだりしてたらいつの間にかすっかり長居する。充電もできる。とてもよい図書館。

西都城駅まで歩く。
西都城駅、静謐がすぎて改札入ったら妖怪電車来て黄泉の国まで運ばれるんじゃないかと思った。
そういえば瀬戸口さんも、夜の日豊本線は地獄行きかと思うと言っていた。
帰りの電車でまた、急に具合が悪くなるを読む。おもしろい。おもしろくしゃべれる、書ける人でありたい。

宮崎に戻り、駅前のお茶フェアで試飲したお茶があまりにも美味しくて、普段飲むペットボトルのやつとは、ラーメンとインスタント麺くらい違うことを知り、ついついたくさん茶葉を買う。急須がないよなと思いながら、買う。
その後、今一番宮崎でイケていると教えてもらったカフェTENDERに行く。
入るそうそう、店員さんが人生で生で見た男性の中でいちばんかっこよかった。すごかった。
あまりのかっこよさに怖気付き、うわずった声でアイスカフェラテとぶどうのパフェを注文。どっちも美味いし、かかってる音楽も好みだし居心地も良かった。パフェに入っているすごく噛み心地のよいゼリーとナタデココの中間みたいなものが異常に美味くてなんなのか聞きたかったけど、なにせかっこよくて感じ良くて気まずくて話しかけられず退散。

カフェを出て、またクレイトンハウスまで1時間ふらふら散歩。
今日はチキン南蛮とハンバーグのプレートにおしんこピラフ。ケーキはなし。とにかくおしんこピラフが好みの味すぎる。大満足。
クレイトンハウス関東一号店の店長になりたい。



雨が降ってきたので足早にホテルに戻り、申し訳程度に仕事して、瀬戸口さんとおしゃべり。
自分の地元勝手に行った写真送りつけてきて、ここどこでしょう〜か?って言って来るキモいやつ、こんなに楽しそうに相手してくれるんかい。って感動した。一人暮らしになってから、仕事と動物に一方的に話す以外の会話がほとんどないので本当に助かっている。

冷や汁もピーマンもチキン南蛮も好きだし、店主がかっこよすぎるカフェもあるし、まだ教えてもらって行けてない店あるし、高千穂も日南もパフェ屋さんも行きたいし、荷物増えるから我慢した気になる古着屋もあったし、好みの廃屋多いし、あと数日滞在したかったな宮崎。と思いながらまた仕事する。宮崎、好きになりそうな街だったな。

この記事が参加している募集

この街がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?